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第22話海洋(天空)冒険へ船出

子供は後先考えない

〜白鮫の見える港にて〜



ザザ〜


ザザ〜


大きな魚の船の甲板で2つの樽がコソコソと動いている。

中にはもえちゃんとひかる君が居た。


船員達のお話をこっそり聴くと、どうやらこの船も天の国に行くらしい。

大きな鮫の船に付いて天の国まで行くような事を船員達の話で分かった。


『このお魚も天の国に行くみたいね』もえ

『そうだね。じゃあ良いかなー』ひかる


天の国に通商条約の調印しに行くのが目的らしい。

そのメンバーに仙も混ざっていた。



仙が港に着くと人は(まば)らだった。

小舟には既に3名が乗り込んでいる。

見るからに貴族なのと、小柄だが体格の良さそうな男、顔見知りのサトキチ。

これからの船出に少々緊張するが、前回の通訳した功績があるから堂々としていよう。

胸を張って小舟に乗り込もうとしたら小舟の(そば)に居た


「これを、、」

『あぁ』

お婆ちゃんから(てのひら)サイズの印籠(いんろう)みたいな物を受け取った。

なんだこれは?この世界の御守りかな?

(みんな)に渡しているみたいで他の人も持っていた。


小舟に乗り込んだ。


キィ


「おはようございます」サトキチ君が挨拶してきた。

『おはよう』返事を返した。

「フォレストだ。宜しく頼む」貴族が言った。

『仙です。宜しくお願いします』

「マンジーロです。案内役です。宜しく」

『宜しく。案内役をするって事は天の国に行った事があるのか?』

「えぇ、色々あって2年程、天の国で暮らしていました」

『それはそれは、頼りにしてますよ』

「任せてください」


暫し仙とサトキチは雑談をしていた。


「そう言えば流石に子供達は居ませんね」サトキチ

『子供達が乗って居たら叱って追い出さなきゃならないところだったな』仙

「ははは、そうですね」サトキチ


ギィ!


ザァザァ


「待たせたな」声がして振り返ると男が乗り込んできた。

その男はエリィンタと名乗った。

「遅いぞ」見た目からして偉そうな貴族がチクリと言った。

「サ〜セン」

「良し、全員揃ったな。出してくれ」貴族が命令した。

「承知しました」船頭(せんどう)が返事をすると小舟を漕ぎ出した。


キィ、キィ


ザザ〜


ザザ〜



船頭が小舟を出した。これから始まる大海原への冒険!

二度目の乗船になる大きな大きな白い鮫は豪華客船みたいだなと仙は思った。


小舟は何故か豪華客船の乗り口を通り過ぎて行った。


『え!?』仙

「あれっ?」サトキチ


豪華客船の裏には、ひと回り、いや、ふた回りは小さい魚の船が停泊していた。

全長30m程だろうか、豪華客船と並ぶと小判鮫(こばんざめ)みたいだ。


ギギギとエラが挙がると階段が現れたので小舟を寄せて乗り込んだ。


〜大きな魚の船上にて〜


白い鮫と比べると小さいがウッドデッキの甲板に魚の骨の形をした天井があった。

骨の隙間からは異世界の紫色の空が見えた。鮫よりも大きく空が見えるのが気に入った。


甲板の右舷には樽が2つ置いてあった。

水夫がせかせかと動き回っている。

水夫達の服装はお洒落なツナギを着ている。

ゴーグルにピアス、黒いブーツ、腰にはナイフや色々な道具が収められている小さな鞄。



顎髭(あごひげ)をもじゃもじゃ生やした、ヒゲモジャの大柄な男が奥から出てきた。


「よく来たな、船長のウナビラッジョだ」その男は言った

「ちょっと待て!船長は俺だぞ。実際に魚を操縦するのは俺だ」チャラそうなエリィンタが喰って掛かった。

「貴族として階級が高いのはワシの方だ。船で1番偉い船長はワシだろう」


1番偉い貴族が困った顔をしていると、横からマンジーロが仲裁に入った。

「 お待ちください。操船は船長の仕事です」とエリィンタの肩を持った。

「そうだろう」エリィンタは得意気で、ウナビラッジョは不満顔になった。

「船長に命令するのが提督ですのでウナビラッジョ様は提督って事でどうでしょう?」

「それなら良いか」提督と呼ばれてヒゲモジャの機嫌が直った。エリィンタが微妙に顔をしかめた。

「この船は軍艦にもなりますから船長ではなく艦長でどうでしょう?」エリィンタの機嫌が直った。

面倒くさい奴らだな。




メンバーは

仙(天の国語通詞補佐)

サトキチ(天の国語通詞補佐)

マンジーロ(天の国案内役、通詞)

ウナビラッジョ(提督、ヒゲモジャ)

エリィンタ(艦長、航海術がある)

フォレスト(1番偉そうな人)

水夫10名程




大鮫の水夫と魚の水夫で赤と白の手旗で合図を出し合って出航の時を迎えた。


ゆっくりと鮫が向きを変え空へ動き出した。

それに続いて我々が乗り込んだ大きな魚も続いて出航した。


ボボー!ボボー!鮫から汽笛が吹いた。

ポー!ポー!魚も汽笛を吹いた。



ザザ〜



大海原ならぬ大空へと船出(ふなで)!2つの樽を乗せて。


仙は後ろを振り返った。

段々と異世界の都市が離れて都市の全貌(ぜんぼう)が明らかになった。


なんと浮いているのだ!都市が。

そして鮮やかな赤色のドームに覆われている。


都市に雨が降らない理由が解った。ドームに包まれていれば中に雨は降らないな。

ゴツゴツした大きな大きな岩が都市を支えて浮いている。


現世と同じ青い空の真ん中に、紫色の空が真っ直ぐ伸びていて、鮫と魚の船はどんどん上昇して行った。

ピンク色の雲の塊を越えると視界が一気に開けた。


世界は広い!広い!広過ぎて寂しくなるぐらいだ。

その広い世界を雄大に泳ぐ大鮫の姿が頼もしく見えた。


(まばゆ)い太陽が雲と薄い赤の空を照らしてキラキラ輝いている。

この空にも生物が住んでいるみたいで時折、変わった魚やクラゲが浮かんでいる。


下の方ではワイバーンの群がくの字で飛んでいる。




しかし、航海は難航を極めた。

艦長と提督がお互い勝手な命令を出しては現場を混乱させていたのだ。


「鮫の下に潜れ!」

「鮫の前に出ろ!」

「食事だ!」

「まだ早い!」

「左だ!」

「右だ!」


ギャアギャア、万事この調子だ。


だがこの混乱も30分もすると収まった。

艦長と提督が酷い船酔いでダウンしたのだ。


オェ〜〜〜


おぇえ〜〜



指揮はマンジーロが取り船内が落ち着いた。


ふと見ると右舷にあった(はず)の樽が左舷に移動している。

左右に揺さぶられて動いたのだろう。


危ないな、と思い樽の1つに手を掛けると(あっ)と嫌な予感がした。


シーン




樽を持ち上げると鞄を抱えた幼女がちょこんと座っていた。


『見つかっちゃった〜、きゃはは』

『え〜』隣りの樽から男の子が顔を出した。


楽しそうな事があると必ず居る2人組だ。

流石に外国まで付いて来るとは思っていなかったので、しばらく絶句した。



……(どうしよう??)



『ダメじゃないか、付いて来ちゃ』取り敢えず叱ってみた。


『え〜、もえ、ちゃんと準備してきたよ。お菓子いっぱい持ってきたし』

もえちゃんが鞄を開けるとお菓子と水筒が入っていた。


『え〜、そんなんじゃダメだよぉ』

ひかる君が鞄を開けるとおにぎりと水筒が入っていた。


(ピクニックに行くんじゃねぇぞ……)頭を抱えてしまった。



「うわっ!その子供達は何だ!?どっから入った??」艦長がフラフラした足取りで寄って来た。

『すいません……付いて来ちゃったみたいで……』

「すいませんで済む問題じゃなだろう。しかし航海は止められないからな。国と親には俺から連絡しておくから〜……ウッx吐きそうだ」

顔色の悪い船長は船室に消えて行った。


『きゃはは、見て!見て!ひかる君!お空キレイ』

『わぁ〜!すごい、すごいー!来て良かったー!』


紫色の空にはクラゲがふよふよ浮いていたり、お魚が優雅に泳いでいたり、緑のマリモが(いく)つも浮いていたり、まるで羽衣(はごろも)(まと)ったみたいな細長い魚がキラキラ輝いて優雅に泳いでいる。


一度、間違って回遊魚の群れに船が突っ込んでしまった時は大変だった。

大きな秋刀魚が次々とぶつかってきたが、何とか逃げのびた。

大きい秋刀魚はマグロの大群みたいだった。


船内で一泊して、翌日は地上の補給の島に降下した。


〜補給の島にて〜


ザザ〜。


南国の白い砂浜でもえちゃんと砂遊びをした。

ひかるは現地の人が不満を言っているのを聞いた。


大鮫の船の補給物資を積み込んだのにお金を貰っていないらしい。

僕達が乗ってきた魚の船の方にも補給物資を積んでいたけど、ウナビラッジョがエリィンタと浜辺で口論していた。


「代金を払う必要なんて無い。天の国の奴等は払っていないだろ!」ウナビラッジョ

「それは正義に(もと)る」エリィンタ

「いいじゃねぇか!金が勿体無い!天の奴等と同じでいいじゃないか」ウナビラッジョ

「我々は原住民と関係が築けていないので、しっかり積荷の代金を払いましょう」エリィンタ

「ふん!勝手にしろ」ウナビラッジョはドスドスと魚の船に帰っていった。


エリィンタは現地の人に代金を支払うと、現地の人は喜んでいたみたいだ。


お昼になって仙おじさんが呼びに来て船内に戻った。


〜海洋(天空冒険1〜2日目終了〜


順調な航海にも不穏な影が……

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