第15話魔法学
ひかる君の魔法研究
魔法……それは魅惑的で幻想的で便利でファンタジーだ。
誰しも使えたらいいなと思いながら実際に生み出そうとはしない。
そんな事をすれば厨二病だと笑われてしまうからだ。
だが周りの嘲笑に負けずにコッソリと夢を追い掛けた学者達が居た。
〜ひかるの魔法学入門〜
僕の名前はひかる。
神子園に通う幼児だ。
今日は先生が絵本を呼んでくれた。
クラス全員が先生のお話を聞いている。
大きい絵本を開いて子供達に見せながら語り始めた。
「むか〜し、むか〜しある所に鳥さんと仲良しの竜がいました。
竜と鳥さんはお花畑に遊びに来ました。
竜がお花畑の真ん中に座っていると鳥さんはパタパタと竜の周りを飛び回っています。
竜は鳥さんと違って身体が大きくて飛べません。
竜は鳥と一緒にお空を飛びたいと思っていました。
そこに魔法つかいのお爺さんが通りかかりました。
……ナンヤカンヤあって、竜はお空を飛べるようになって鳥さんと仲良く暮らしましたとさ、おしまい」
「なんやかんやって何よ!そこが楽しいんじゃない」聴衆の幼児から不満があがった。
「ぶ〜ぶ〜」
「エミリ先生ーちゃんと読んでよー」
「もう時間が無いのよ。おかえりの時間だもの」エミリ先生
「ぶ〜ぶ〜」
「それに何回も読み聞かせて飽きちゃったわ」エミリ先生
「まほーのお話がいいのに〜」
「魔法なんて無いのよ」エミリ先生
「え〜でも、けんきゅーしてる人はいるよ〜?雀街にいるんだって」
「あんな変な人達に関わっちゃダメよ。それに魔法なんてあっても危ないだけよ」
「なんで〜?」
「火の魔法がつかえたら火事になっちゃうでしょ?危ないのよ。はい!おしまい!それじゃあ皆さん、さようなら」エミリ先生
「は〜い、先生さようならー」
ぞろぞろとお部屋を出て行く。
僕もお母さんが迎えに来ていてお部屋を出た。
クラスにと〜っても可愛くて、と〜っても不思議な女の子が居る。
仲良くなりたいのに上手くいかない。
でも魔法が使えたら仲良くなって、あんな事やこんな事も出来るのにな。
その為ならどんな困難も乗り越えてみせる、、、と思ったかどうかは定かでは無い。
神子園から帰宅すると最初のミッションが待っている。
それは、、親の目を盗んで外出する事だ。
〜ひかるの家〜
[ひかる]という名前は実は生まれた時に付けられた名前では無い。
最初は[さや]君だった。お爺ちゃんが名付け親だ。
さやエンドウ豆みたいで可愛いからだとか。
だから2歳まではさや君とかさっちゃんとか呼ばれていた。
それをお父さんが僕を[ひかる]に改名してしまった。
物事がついた時にはもう[ひかる]と呼ばれていたので違和感は無かったけど
お母さんがお酒飲んだ時に酔っ払って喋ったのを聞いて知った。
お母さんは女の子が欲しかったみたいで、弟はお母さんが名付けて[まな]と呼んでいる。
弟はまだ赤ちゃんで小さく病弱だ。お兄ちゃんの僕が守ってあげないといけない。
魔法を学びたいもう一つの理由だ。
普段、お母さんがまなの面倒をみている隙に抜け出すのだけど今日は
お婆ちゃんがまなの面倒をみていて、僕はお母さんに見張られながら勉強させられている。
ひ〜ん。勉強は嫌いじゃないんだけど今日は雀街に行きたいんだ。
ふと見ると窓に小さい手が見える。可愛い顔が見えた。焦げ茶色の光沢のある髪とぱっちりしたお目め。もえちゃんが覗き込んでいる。
お母さんは気が付いていない。
サッと見えなくなっちゃった。
窓は床から1m程の高さにある
キンコーン!不意に玄関から音がした。
「まぁ誰かしら?」ひかる母
パタパタと玄関に向かった。
その隙に窓に駆け寄るともえちゃんがニッコリしてた。
『ひかる君、今から雀街に行かない?』もえ
『うん!』ひかる
思いもよらないお誘いだ。これはデートかな?
子供用の机をずらして踏台にして窓を開けて、窓によじ登って飛び出した。
もえちゃんは外から何か踏台にして覗いていた。
2人とも身長は1mなかった。
「誰も居なかったわ、、」ひかる母が独り言を言いながらリビングに戻るとひかるは居なかった。
手を繋いで駆け出した。
『きゃはは、こっちよ』もえ
『場所は分かってるの?』ひかる
『うん!階段の所で絵を描いているヒトラーおじさんに雀街の場所を聞いたもの』もえ
『ヒドラー?恐い竜の怪獣の?』ひかる
『ヒトラーよ。奥さんは違う名前で呼んでたから嘘っこの名前みたいだけどね』もえ
『ふ〜ん。何で違う名前を名乗っているんだろ?』ひかる
『大昔、絵描きに成りたかった人の代わりに描いてるからだって言ってたよ。よくわかんないよね』もえ
〜噴水広場にて〜
噴水でお水を両手で受け止めて飲んだ。もえちゃんは持ってきた水筒にお水を容れている。
側の大きい階段を登ると疲れちゃったので階段の上の方で休憩。
階段に2人で腰掛けた。
『はい』もえちゃんがポーチからお菓子を出してくれた。
『わぁい』ひかる
街を眺めた。
西洋の建物は美しく観る者の心を豊かにさせてくれる。
建物の細部に細かいお洒落がしてあって楽しませてくれる。
『美味しいね』もえ
『うん』ひかる
『今日は居ないかな?』もえ
『ヒゲラーのおじさん?』ひかる
『きゃはは、ヒゲじゃあないよ〜』もえ
「誰が髭おじさんだ」背後から声がして振り返ると大きい白い板と絵の具を持った大柄なおじさんが現れた。
熊みたいなおじさんは紙が貼った板を立て掛けてドカッと座った。ちょっと恐い。
小さい手が筆に伸びた。
『おひげ〜』もえちゃんが筆で熊おじさんの口に髭を描いた。
「あ、こら!」絵描き
『きゃはは!』もえ
『逃げろー』ひかる
もえちゃんの手を取って駆け出した。
ダダダダッ
「こら〜」絵描きのおじさんが背後から怒る声がした。
ハッハッ、ハアハア……
『こわかったね〜』もえ
『こわかったー』ひかる
『きゃはは』もえ
『あははは』ひかる
安堵感とドキドキから笑い合った。
〜雀街の建物の一室〜
色々な職業の10名に満たない大人達が黒板と会議室に集まっている。
会議室には黒板と机と椅子があった。
黒板の前に1番年配の人が座っている。
「え〜ではこれより第1回魔法とはなんぞや?魔法研究大会議を始める」
『はじめる』もえ
『はじめる』ひかる
「え!?」
「え?」
「え?」
大人達が振り向くと小さい幼児2人が席に着いていた。
『ぎちょー続けて』もえ
『続けて』ひかる
……
「あぁ、オホン!そもそも魔法というのは……解らん!!なんだ魔法って!?」議長
「えぇ〜!」
「そこから?」
出席者から不満が挙がる。
「だって、わからんもん!」議長
「火を出すとか、凍らせるとか、爆発させて敵を倒すとかあるでしょ!」
「そうだそうだ」
「そんなの実現可能なのか〜?」議長
「燃やせる物があればいけるでしょ!」
「じゃあ火から」議長が立ち上がって黒板に火と書いている。
ボッと小さな音がして横を見ると、もえちゃんが右手の人差し指を立てていて、指の少し上の空中に火が点いて直ぐ消えた。大人達は気が付いていない。
「火種が要るだろうね。火打ち石とかね」
「何か燃え続ける媒体が無いと火は直ぐに消えてしまうんじゃないか?」
「それならガスを使えば良いじゃないか」
「それって魔法って言えるのか?」
……
「まぁ細かい事は置いておいて実現できるなら代用しても良いんじゃない?」議長
「それなら火打ち石とガス缶で作るか」
「どうせなら杖とかに仕込んだら良いんじゃない?」
「オォ〜!魔法使いっぽい」
ワイワイ
「じゃあウチで火打ち石を作るよ」
「じゃあ俺はガス缶を用意する」
「杖は任せろ」
「それじゃあ持ち寄って試作品を持ち寄ってみようか」議長
「意外といけそうだな、完全な魔法とは言えないけど」
「細かい事はいいんだよ」
ガヤガヤ
「それでは次は氷はどうだ?」議長がまたも立ち上がって黒板に氷と書いている。
シュ〜ウ、コロンと小さな音がして横を見るともえちゃんが両手で見えないボールを持っている。
机の上には小さい氷が転がっていた。何だろコレ??
「さっきの杖と同じで良いんじゃない?」
「でもガスは燃えるだけだろ?冷やす物が無いんじゃないか?」
「いやいや、ドライアイスってのがあってね……」
お話を聞いていたら、なんだか眠くなっちゃったな。
ウトウト……
もえちゃんもコックリコックリしてる。舟を漕いでいるって言うんだっけ?
「それじゃあ次は、、、爆発系!」議長
ヒュー!ヒュー!
「待ってました!」
「それだよ!」
歓声が騰がって、ビクッ!として起きた。
どうやら寝ちゃってたみたいだ。
議長はまたも黒板に何か書いている。
隣りを見ると可愛い寝顔で机に俯しているもえちゃんにキュンときた。
『可愛い!』ひかる
思わず抱き付くと眠りを邪魔されたお姫様は右手でひかる君を払い除けた!
『ん〜』
ボフン!!遠ざかるもえちゃんを見た所までは覚えていたが、
そのまま壁まで吹っ飛ばされて気を失った。
大人達が振り向くと机に突っ伏して寝ている幼女と床で寝ている幼児が居た。
「疲れて寝ちゃったか〜」
「はははは、男の子の方は寝相が悪いね〜」
薄れゆく意識の中でそんな会話が聞こえた。
……
誰かに抱きかかえられて階段を降りている。
何か良い臭いがするな。
気が付いたら家のベッドで寝ていた。
次の日にお母さんに怒られたのは言うまでもない。
ーひかる君の魔法研究1日目終了ー
次話はもえちゃんのペット育成日記2日目です。




