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異世界召喚されたけど、もらったチートが鑑定だった。  作者: 十乃字
第三章 冒険者という生き方
51/203

50.クマさんには出会っていた。


「えーと、カルロさん。この死体、どうすればいいんですか?」


 魔法銃の出所を追及しようとするカルロさんを押し止めて、レッドベアの死体と向かい合う。


 でかい。


「ああ。討伐証明として右手を切り落としてくれ」


 言われるままに、レッドベアの右手を切り落とす。これだけでも俺の頭くらいの大きさがありそうだ。


「残りはどうしましょう?」


 熊肉? 熊皮? 使い道は色々ありそうだけど。


「肉も皮も爪も、町に持って帰ればそれなりに売れるが……。今日は討伐を優先したい。解体に時間を掛けたくないんだ。捨て置いてくれ」


「分かりました」


 でも、勿体ないよなあ。とりあえずは仕舞っておけばいいか。


 レッドベアの死体をアイテムボックスの亜空間に放り込むと、またしてもカルロさんが呆れた顔をしていた。


「お前今、アイテムボックスに仕舞ったのか?」


 ……あ。そういえばアイテムボックスは、使用量に応じて魔力を削られるデメリットがあるんだっけ。


 勿体ないからと、気軽に物を入れるべきではないのだろう。魔法の方は。


 カルロさんに魔道具であることを伝えると、


「どこでそんな珍しい物を……」


 と恨めしそうな顔で魔道具を見つめられた。そういえば、アイテムボックスの魔道具は使い勝手が悪いせいで、需要と供給が一致しない希少品になってるのか。


 改良品がいくつでも作れる、なんてのは黙っていた方がいいかな?


 「貰い物です」とカルロさんの追及を逃れて、レッドベアのいた場所を調べる。


 レッドベアから噴き出した血で辺り一面血みどろになってしまっているけれど、そこには何かの死体が残っている。


 人の死体だったら嫌だな、と思いつつ鑑定すると、


≪ガープの死体≫

≪人が可食できる魔物。鋭い角は鉄を貫ける≫


 おお。これがガープか。……元の姿が全然分からないな。


 血と泥で赤黒く染まったガープは、レッドベアに食い荒らされて原型を留めていなかった。しょうがないので角と魔石だけを剥ぎ取っていくことにした。


「レッドベアはガープも食べるんですね」


「雑食みたいだからな。ガープの天敵なんだよ。だから、討伐依頼が出るのさ」 


 レッドベアも食えるみたいなのに、肉としての価値が低いから害獣扱いとは、哀れな。


 そうは思いつつ、どうせ食べるなら美味い肉がいいなあと未練がましくガープの残骸を眺めてしまうのだった。




   ◇




 次に出会ったレッドベアは、こちらに気付いてしまったので、魔法銃で一撃、というわけにはいかなかった。


 そこで前に出たカルロさんが、小さな盾で器用にレッドベアを押し止めて見せた。


 動きを止められたレッドベアの隙を突いて、魔法銃をレッドベアの頭に押し当てて発射する。


 頭が弾け、カルロさんに蹴られて仰向けに崩れ落ちるレッドベア。


 返り血でドロドロになった俺たちに、ミゼさんが水球をぶつけて洗ってくれる。


 しかしカルロさん、双剣で素早く動くのかと思いきや、あんな小さな盾でタンク役までこなすなんて。


 関心していると、乱暴に水球をぶつけられたと感じたのか、ミゼさんを睨み付けたカルロさんが、


「お前は何が出来るんだ?」


 と挑発的に問い掛けていた。


 「そうだな……」とミゼさんが逡巡すると、ブオンッと鈍く風を切る音がして、ズドンと鉄塊が叩き付けられる音が辺りに響いた。


 ミゼさんが一瞬で取り出した金棒がカルロさんを掠め、レッドベアの死体に突き立てられていた。見れば、討伐証明部位の右手がもぎ取られている。


「こんなとこだ」


 「どうだ?」とにこやかに問い掛けるミゼさんに、ピクリとも動けなかったカルロさんが直立不動で冷や汗を流す。


 しばらくして、「よくわかった、もういい……です」と震える声で答えていた。


 うんうん。カルロさん、そのおっかない人のマウント取ろうなんて思わない方がいいよ。


 したり顔で頷いていたら、視線の合ったミゼさんに半眼で睨まれた。


 俺は何もしてないよ……。


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