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異世界召喚されたけど、もらったチートが鑑定だった。  作者: 十乃字
第一章 神様、リセマラしてください
3/203

3.期待は抱くだけ無駄だった。


 遺跡神殿内の中庭で、王国の兵士たちによる俺たちの修行が始まった。


 最初は身体を慣らすラジオ体操のような運動をやらされると、そのまま剣の素振りや組手、魔法を使う練習と中々のスパルタ詰め込み教育だ。


 魔法使いは基本的には後方からの遠距離攻撃や援護が主流ではあるのだが、この世界に安全の保障なんてものはない。魔法の適性が高い三山さんと小宮も、必死に剣を振り回して汗を流していた。


 戦闘訓練の成果は元々運動部の公志郎が一人飛び抜けていたが、魔法戦士適性のある西野も体育の授業の時以上に身体が動いているように思えた。


 これが適性による差なのだろうか。それでも役立たずと見捨てられないようにお手本の兵士たちの動きを注視していると、鑑定スキルによる情報ウインドウに新たに『レベル』というものが見えるようになっていた。


 兵士たちは軒並み20レベル以上。高い人ほど偉い傾向があるのか、大抵何かしらの役職を持っているみたいだ。一番高いのはセイラ王女の護衛らしい近衛兵さんで、レベル43となっていた。


 兵士以外では、神官が10レベル以上、俺たちの世話など色々手助けしてくれているメイドの皆さんは5レベルくらいしかない。


 意外にも、セイラ王女は20を超えていた。荒事担当の人たちが高めなのは分かるけれど、王女様が妙に高いのが不思議だ。


 そして俺たち日本人組はと言えば、想像通りと言うべきか全員がレベル1だった。


 この世界で年を重ねていけば上がるのか、とも色々な年齢の人がいるメイドさんたちを見ても、レベルと年齢にも相関はなさそうだ。兵士の人たちが軒並み高いのは、やはり戦っているからだろうか? レベルが上がるだけで強くなる?


 俺の訓練に付き合ってくれている兵士のゴランさんに尋ねてみると、


「確かに戦いを生業にする者はレベルが高くなるようです。ですが、私たちの不慣れな鑑定魔法ではレベルが見られませんので、特別な時に鑑定士に記録してもらい、それを報告すると昇進に響いたりする物という認識なのですが……」


 俺も最初は見えていなかった事を考えると、鑑定には熟練度のような物があるのかもしれない。


 普段は簡単に調べる事が出来ないものだから、強くなったからレベルが上がるのか、レベルが上がったから強くなるのか、この世界の人はあまり興味がないのかもしれない。


 厳しい訓練をさせられていることだし、レベルが上がれば強くなるだろう、というのは少しゲーム的な考えすぎるだろうか。


 いずれレベルが上がれば分かるだろう。そう思っていた。




   ◇




 訓練開始から三日目。


 なんと三山さんと小宮のレベルが2になっていた。


 基礎訓練だけでレベルが上がるのにも驚いたが、それが魔法使いの二人だった事も意外だ。


 この調子でレベルが上がるのであれば、メイドさんたちのレベル5何てあっという間に抜いてしまいそうだ。この成長の速さが召喚勇者が特別な由縁なのだろうか?


 また、三山さんは指先に火を灯す初級魔法を、小宮は拳大の物を仕舞える収納魔法を扱えるようになっていた。出来る事は手品と変わらないが、友人たちの手の平で起こる不思議な現象に俺たちは思わず感嘆の溜息を漏らしていた。


「小宮がこの調子で魔法を使いこなせれば、転移魔法で帰れるんじゃない?」


 そんな甘い考えが頭を過ったが、


「残念ながら……。今までの勇者様にも時空魔法使いの方がおられましたが、転移魔法で異世界へと渡ったという記録は残っていません」


 期待をするな、ということか。


 その日の訓練終わり、気が付けば公志郎と西野もレベルが2に上がっていた。魔法が使えるようになったわけではないけれども、単純な足の速さから力比べまで、訓練での身体の動きのキレが前日までとは明らかに違っている。


 僅か数日でここまで変わるものだろうか。スパルタ教育のおかげか、それともレベルによる恩恵か。


 さらに二日後、ようやく俺のレベルも2に上がった。


 しかし魔法は使えず、模擬訓練でも公志郎どころか文化系でオタク仲間だった西野にまで遅れを取るようになっていた。


 同じく二人と身体の動きに差が出始めた三山さんと小宮が励ましてくれるが、二人の魔法は火が大きくなったり、仕舞える量が増えたりと進捗を見せている。





 わざわざ誰も言葉にしないけど、自分が一番分かっている。やはり、俺の適性では……。


※誤字修正しました。

※一部文章を修正しました。

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