第八章 チュートリアル終了
最近日本語で小説書くのに慣れてきた感はありますけど、同時になんか雑になった気がしなくもないです。書き方が硬いとか、変な叱りとかにならないように気をつけていますが、どうなんでしょうね。
街の城門前まで走ってきて、ラオロアは一旦止まる。別に走って突っ走るのを城門の兵士に止められたとかってわけじゃないが、だからってあんまりフリーダムなのもどうかと思ってな。
シルバーはどうやら完全に力加減をマスターしたらしい、走っていた後半では基本ずっとラオロアと同じ速度を保っているだけで、前みたいに振り回されることもなかった。
しかし、自分でやっといてわかったけど、体力は傷がつかない限りなにを継続でやっていても落ちないのは、さすがにやりすぎではないか?たしかに走っているだけでも結構いろんな神経を使うけれど、精神的な疲れもちゃんと感じる。んー。
「ログアウトしたら、あいつにちょっと聞いてみるか」
一人でぼやきながらシルバーを連れて町に入っていく。今度は普通に歩くだけだ。
「あ、そうだ」
ラオロアは一旦立ち止まり、付近を見渡す。そして前はどうやったのかを思い出し、目を閉じてすこし精神を集中する。すると次に目を開けるときには、そこにあるのは夜の街だった。
最初にゴブリンたちと出会ったときに分かっていたことだったけど、あまりにも自然な昼の姿にしか見えなかったから、暗視効果がつけられているとは思えなかった。だからさっき見えた昼の町と違って、今スキルをちゃんとオフにして見えるこの夜の街こそが本物だ。
闇に包まれながら、あちこちで人やいろんな火の元があって、なかなか賑やかだ。すこし露店とかをゆっくり見てみたい気もするが、金が多分足りない。
メニューを開くと、そこには所持金が1576Rと表示されてある。
さすがに金が入るタイミングが三つしかなかったから、何故この金額なのかとか分かりやすかった。手に入れた状況を知っている上で考えると、これはあくまでもプレイヤーに対する最低限の支給金でしかないことも理解できる。
一応最初にログインした直後で露店を見ていたけど、その時の金もなかったから相場があまり理解できなかったが・・・
「ポーション(小)の値段だけで300Rだったから、5個分しか買えない。ポーションの値段から推測する武器の相場は最低四桁のはず・・・下手したら武器の一つも買えない可能性があるな」
昔ゲームやるとき、初期装備は大体剛人のお下がりで、買い物したいときも剛人をパシリに使ったから、自分で買い物した回数なんて数えるくらいしかなくて、相場というものが良く分からないのだ。
そういうわけで、今の状況が不慣れだから、推測の元は現実での経験からよるものだ。
そしてそんなラオロアの中で比べるもののイメージはドリンクと包丁だった。
何故に包丁だというと、それがラオロアの認識上一番安い武器にしやすい刃物だからだ。
そのイメージを元に値段の比例を考えると、包丁なんて最低2000円前後じゃないかというものだから、今自分が使っている大剣の値段が大体3000Rくらいあるんじゃないかという認識になる。
あながち間違ってはいないけれど、武器に限らず防具の値段が最初からそんなにぶっ飛んでもいないというのがゲーマーの常識。値段的に防具を揃えたければ揃えるのだ。
同じくらいの支給金しかなかったはずのシルバーが身に着けている、あからさまに初心者セットの装備ではない重装備パーツがなによりの証拠だ。
「・・・」
しかし、それを今ラオロアに教えられるものはいない。シルバーは無機質な目をただラオロアに向けるのみだ。
金もないのに露店を見る必要を感じないラオロアはチュートリアルの示す道筋を辿り、早々に冒険者ギルドに到達した。呆れたことに、そのギルドの建物は前に使っていた訓練場のすぐ隣。
つまりは、チュートリアルで使うあの訓練場はそもそも冒険者ギルドのものだったのだ。
なんで気が付かなかったんだろう。
開いている両開きの扉を通って中に入ると、中には広い空間が広がっていた。まだアーリーアクセス期間だからか、NPCだと思われる冒険者がちらほらいるけど、それでもかなり空いている感じがする。
冒険者ギルドの中は基本的にカウンターとその向こうにある仕事場、多分依頼が貼られているでかい掲示板がいくつも距離を置いておかれている空きスペース、そしてテーブル席がある三つの区画に分かれている。テーブル席に座っている冒険者たちはなにか飲み物を持っているから、もしかしたら酒場みたいなサービスもあるのかもしれない。
隣の訓練用のフィールドにいく扉もちゃんとあるが、それ以外にも扉があるから、多分他にもなにかサービス的なものがあるのだろう。すぐには思いつかないし、多分まだ使えないからと、ラオロアはそれらを無視した。
とりあえず、依頼は常時のものだったらしいから、受けていなくとも提出できるのだろう。だからラオロアはカウンターに一直線に向かった。
カウンターに幾人もの受付人がいるけれど、仕事中なのは二人だけ。だからラオロアは適当に空いているのを選んで近づいた。
「こんばんは、冒険者ギルドへようこそ」
ラオロアに気づいた受付人は定番の挨拶をする。ラオロアはそれに頷くが、まだ返事はしない。その代わりとは言わないが、ラオロアは無遠慮にその受付を観察しいた。
この受付は女性で、綺麗な顔にケモミミが付いている。しかし、ひどく現実味がない。一応言ったことある露店でも似た感じだったけれど、最初もそれが普通だと思っていた。
これはゲームだから、中のキャラが全員中に人が入っているわけではなく、機械的なAIがNPCを操るのがほとんどだと最初も説明を受けている。
しかし、チュートリアルにて出会ったゴルディマは違った。それに、モンスターの反応だって機械的とは言えなかったし、だから逆にそっちを普通だと思い込んでしまった。
一見自然そうな作りだし、他のプレイヤーだったら多分喜ぶほどよくできている。けれど、喧嘩ばかりしていたラオロアから見たら、その動きが機械的すぎてどうしようもなく違和感が目立つ。
こう言ってはなんだけど、ラオロアからしたらむしろシルバーのほうがより人間らしさが出ているのだ。
しかし、これが普通のNPCだとするのならば、ゴルディマはプレイヤーか?いや、感じれた感情は本物だった、セリフからしてもこの世界の原住民みたいな視点だったし。なにより最初にログインしたプレイヤーでも二日ほどしかやっていないはずだから、ゴルディマと相対した時に感じたほどのレベル差がありえない。
中に演じる人でもいるのだろうか?
まぁ、どうでもいいか。
考え事に集中しすぎて、どうやら受付の人のセリフをある程度聞き飛ばしてしまったようだ。とりあえずメニューらしいものは一切出ていないから、会話をしろ、ってことなんだろう。
「冒険者ギルドのクエストを受けるのに、ギルドへの登録は必要か?」
とりあえず話してみる。
どこまで会話が可能なのだろうか。というより、キーワードを拾って、それにより返事する会話を選び出す仕組みならば、完全な言葉じゃなくでもいいかもしれない。わざと片言を使う必要もないけど。
「冒険者ギルドのクエストを受けるには、冒険者ギルドへの登録が必要です」
ふむ、これだけか。どうやら一応情報は聞いた範囲だけ答えてくれるらしい。その範囲を決めるのが使われたキーワードなんだろう。それだけで試してみるか?
「冒険者ギルドは?」
「冒険者ギルドとはいわゆる何でも屋や退治屋の組合みたいなものです。その組合に登録することで自由に所属可能で、ギルドの発行する依頼を受けることが可能になります。また、証として与えられる冒険者の称号とランクには特典が与えられます。ただし、冒険者ギルドは所属可能の中立勢力の一つなので、プレイヤーズギルドとしてカウントされません」
今度は結構長いなぁ。まぁ、でも大体わかった。
依頼を受けられて、ランクと称号によって特典がもらえること以外、全部意味不明だということが。
ラオロアは一度目を泳がせる。
中立勢力。言葉はわかるけど、今後どう関係してくるとか、ゲームとどう関係するものなのかとか、そんなところがわからん。
「まぁいいか・・・ギルドへの登録したい」
分からないものなんて放置するか無視するかに限る。今すぐどうとなるようなものでもないし。
「承知いたしました」
そう返事が返ってきた途端、ラオロアの目の前にメニューが自動で開いた。
【中立勢力・冒険者ギルドへの加入登録を申し込みます】
【登録するプレイヤーの情報を確認してください。名前以外の開示する項目を設定してください】
【個人名称:ラオロア・アドル(公開)】
【性別:雄(公開▼)】
【種族:半獣人(公開▼)】
【称号:降り立つ異世界人▼(公開▼)】
【二つ名:―(公開▼)】
【この内容で登録しますか?】
すこし触れてみたところ、▼というのはドロップリストのアイコンで、それを触れると選択可能な項目が表示される。
今見えるものに別に隠すものでもないから、公開のままにしとくか。
称号についてはすこし考えたけど、特に困らないだろうという結論に至った。むしろ公開する称号を選べるのがすこし気になるな。これって、なにか仕掛けとかあるのか?それとも単に表示したいものを選べるだけ?
「登録するときに称号は後からでも変更できるのか?」
「登録された称号の情報は、冒険者ギルドの受付にで変更することができます」
「なにかこだわる理由でもあるのか?」
「こちら側に登録する称号の情報によって、初めて受けられる依頼もございます」
「ふむ」
ラオロアは手を動かし、称号のリストを開く。選べる普通の称号は【降り立つ異世界人】と【ゴルディマの最初の訓練生】の二つだけしかない、残りは全部意味不明な凝視ものばかり。この中で依頼と関係がありそうなものとしたら、あの変にリアルなゴルディマ・ライアスと関係を示す称号だろう。
すこし気が乗らないけれど、一応それに変更することにした。それから登録情報の確認っと。
【中立勢力・冒険者ギルドへの加入登録が完了いたしました】
「ん?」
ラオロアはもう一度、今度は自分のメニューを開く。
新しい項目が追加されていたから、ドロップリストのときみたいに点滅するボタンがある。それに触れると、冒険者としてのステータスが開けた。
【冒険者ギルド】
【ランク:F】
【称号:ゴルディマの最初の訓練生】
【二つ名:-】
特にこれと言って気になるものはいない。だからそれを閉じて、ラオロアは本来見たかった所持称号リストのほうを呼び出す。
【降り立つ異世界人】
【竜?に凝視されし者】
【鳥?に凝視されし者】
【獣?に凝視されし者】
【???に凝視されし者】
【ゴルディマの最初の訓練生】
【新米冒険者】
今更気が付いた。
チュートリアルで戦い方を教えてくれたゴルディマの称号に、最初という二文字が付いている。
確かにあの時ゴルディマも似たようなことを言っていたけれど、あの時の言い草は踏み込んだことに対して言っていると思っていた。
しかしこの称号の内容を見る限り、あのチュートリアルを受けたのはラオロアが初めてみたいなことになっている。
どういうこと?
これってギルドに問い合わせすればなんか答えてくれるのか?
「ゴルディマ・ライアスって人はギルドにいる?」
「申し訳ございません。他の冒険者の情報を問い合わせできるのはランクCからです。」
ふむ。
つまり、あれはギルド側の人間ではないってことだな。
二択のうち一つを否定して、はっきり冒険者だと言っているようなもんだし。ならばこれは、プレイヤーのチュートリアルでの手ほどきを依頼されてもしたのか?
「チュートリアルについては?」
「申し訳ございません。ランクAの依頼【チュートリアル①】は【降り人】以外・ランクB以上の冒険者しか受け取ることができません」
ほう?
しかし、いいのか?こんなあからさまに情報をもらえるのって。
ラオロアはしばし考えて、あきらめた。ゲームだし。聞き出す方法を知っている者の勝ちでいいだろう。
というか、そろそろ本題に入りたいのだが。一度後ろを見る。
あれ?シルバーがいない。
すこし見回すと、隣のカウンターのほうで自分の動きをそのまま繰り返しているシルバーの姿が見えた。
「・・・」
これって、まさか。自分の真似してる?それで登録できるのか?
でも、シルバーって確か行動は真似するけど、一度も声を出していなかったよな・・・むしろ口すら開けたことがないのかもしれない。
そんなんで登録ができるのか?
前に自分がメニューを操作するときに、それを真似してシルバーが自分のメニューを呼び出し、その影と形を見ることができたのを思い出す。ラオロアはすぐにそれを実行して、さっき追加された冒険者の項目を呼び出した。
【冒険者ギルド】
【ランク:F】
【称号:ゴルディマの最初の訓練生】
【二つ名:-】
そして視線を動かすと、シルバーのほうにはたしかに同じ窓の形のものがそこにあった。
謎だ。
溜息を付きながら、ラオロアはまたメニューを閉じた。なんか、心配して損した。
てっきり声も出さずに自分の後ろにいたかと思ってたし、もしかしたら代わりに登録とかなにかしらのことをやらなければいけないかと思ったのに。
手間が省けたと思っておこうか。
「常時クエストを受けるか報告したい」
「承知いだしました。ラオロア様はランクFの冒険者で、今受けられる常時クエストはこちらになります」
【冒険者ギルド・常時クエスト】
【未鑑定アイテムを求む①】
【ランクF】
・薬草?・鉱石?・肉?・皮?
以上の未鑑定アイテムを求めています。
【報酬:500R】
【この依頼を受けますか?】
あやふやに言ってみたものの、やっぱり先にクエストを受けないとだめなんだか。
ラオロアは確認を選ぶと、さっき飛び出たクエストの詳細が消えた。
「依頼を受注いたしました。アイテム回収系の依頼は、必要なアイテムを受付に提出していただければクリアできます」
「じゃあ、そのまま提出する」
「承知いだしました。ランクFクエスト【未鑑定アイテムを求む①】の指定アイテムを提出してください」
そしてまたメニューが表示されたとき、それはトレード用のものだった。
ラオロアは試しに指定されたアイテムではないものを載せてみる、そしてそれで確認を押す。
そして速攻でトレードが拒否されて、同じ窓がまた表示された。
「なるほど」
もう一度開かれたトレードの窓に、ラオロアは今度指定されたアイテムを載せていく。気になっているから、複数持っているアイテムは二つずつで、そして今度は確認を押すとトレードが成立した。
「依頼されたアイテムをたしかにお受け取りいたしました。依頼の達成おめでとうございます」
【依頼を達成しました】
【報酬:500Rを受け取りました】
【追加報酬:300Rを受け取りました】
【チュートリアル③が終了しました】
【チュートリアルを全部クリアしましたので、チュートリアルモードは解除されました】
【チュートリアルモードによるダメージ倍率調整は正常値に戻ります】
輝く金貨のアイコンがメッセージの下に表示され、そして所持金のほうに飛んで消えていく。
「・・・ふむ、なるほど」
なんだろう。ゲームだなぁ以外の感想が沸いてこない。エフェクト処理はまさしくいつも通りのゲームだが、実際に現実みたいに作られているこの仮想空間では、感じられる現実味とは色んな意味で噛み合わない。
ここら辺をもうちょっとリアルにできたらなぁ。
カウンターの前に立たせているし、会話もさせているんだから、アイテムの提出はいろいろと問題があるとしても、報酬を貰うあたりを手渡しのようにできないかなぁ。
いろいろと思うところはあるが、それはともかく。
さっきはチュートリアルの終了メッセージも出ていたけど、一番気になるのはチュートリアルモードでダメージ倍率が正常に戻るあたりだ。やっと、ずっとラオロアに引っかかっていたあの疑問の答えを見えた気がする。
ラオロアはこれまで数回バトルを経験してきたわけだが、たとえ普通のプレイヤーと違ってあの段階で職業を一つ多めに取っているとしても、あからさまに敵が弱すぎるのだ。
特にラオロアにはデバッフが付いていて、ステータスの四割を封じられている状態だ。それなのにも関わらず、最後のピッグマンの群れと戦う時に普通に勝ってしまっている。確かにすこし難易度の高い戦いだったけど、逆にいうとそのくらいの難易度しかなかった。
文字通りに理解すると、チュートリアルモードでは基本与えるダメージも受けるダメージも倍率調整していて、プレイヤーが強くなり、モンスターが弱くなるようにされていることになる。
それならばたしかに納得できる。
今一番の問題としては、その倍率がよくわからなかったから、これからの戦いはどうなるかがまったく予想が付かないあたりなんだけど。
今は狩りに戻るつもりはないから、これは明日でまた考える案件だな。
さて、それならばと、ラオロアは思考をクエストのほうに戻す。
とりあえず依頼の指定アイテムを上乗せすると、その量に応じて報酬も上乗せするということがわかった。
常時クエストだからかもしれないが、今度は別のクエストで同じことを試してみるか。
他にやることもないから受付から離れる。その瞬間にシルバーがついてきたけれど、ラオロアは一目を向けるだけで特に気にしなかった。
そろそろ慣れたかもしれない。
依頼が貼り出される掲示板のあるエリアはすこし気になるけれど、ラオロアはそれに一目を向けるだけで冒険者ギルドから出て行った。
外に出た後、一度訓練場に行ってみたけど、ゴルディマはいなかった。他にもプレイヤーらしき人影はない。
空を見上げてみると、遠くに光る結界の境界が目に映る。グルグルと回る魔法陣が町の真上にある紋章と呼応するかのようにうっすら光るのも見えている。
【獣の目】を切ったから、見えるすべてがそのままの夜景としてみることができる。しかし、だからこそラオロアは気になってしまうのだ。
ゲームに入る前には確かにゲームの中と現実の時計を表示する機能がホログラムで表示されていたけれど、このゲームに入ってからのメニューでは現実の時間を表示してくれなかった。
ゲームにログインして、ここまで来るのに結構時間が経っている感覚はあるし、それが余計にラオロアに違和感を与える。
なんというか、それを気にする前には全然そうでもなかったけど。気にしてからすごく体がだるそうに感じるのだ。
まるで長くベッドで寝過ぎてしまったような、体が鈍って硬くなる感覚。
そしてうずうずと落ち着かない、今すぐにでも起き上がって背伸びしたい欲求。
実際に今ゲームの中に立っている自分に、現実でベッドに寝て居る自分が急に感じられるようになってしまい、今のラオロアに強烈な違和感を与えている。
「・・・そろそろログアウトしたほうがいいか」
そう呟いて、ラオロアはメニューを開く。指がログアウトのボタンのある場所に移動して、一度止まる。
思い出したかのように振り返ると、シルバーがそこに立っているのが見えた。同じ動きで、同じ操作をしようとしているのが。
「お前もログアウトするのか?」
「・・・」
「・・・あぁ、余計なことを聞いたな」
自我があまり見られないシルバーに、会話も返答もまだ求めない、それでもついつい話しかけてしまう。それが別に悪くもなんともないから、やめるとも思っていない。
話しかけられたからなのか、シルバーは物まねをやめて、手を下ろした。
「俺はこれからログアウトするから、また今度な」
すこし歩きよってみても、シルバーは動かなかったから、ラオロアはそのまま傍まで行って肩を叩く。
そのラオロアの手の動きを追って、シルバーは無機質な目で、無表情ながらすこし不思議そうにラオロアを見る。
その仕草は人間の言葉を聞きなれていない動物にそっくりで、なのに身長は調整されたラオロアのキャラクターとほぼ同じくらい高いときた。
そのギャップに当てられ、ラオロアはすこし笑いを堪える。
喧嘩早いそうに見えて、ラオロアは結構動物好きなのだ。
野良犬やら野良猫と寝床を共にすることもあれば、食事を分けたこともある。街中に繰り出すと結構あちこちといろんな野良動物を構っていたりする。
なんとなく、仲間意識みたいなもんでも持ってしまったからなんだろうか。シンパシーというのかな?
親も家族もいなく、一人で町中を彷徨う自分が、野良犬と大してなにも変わらないと。
まぁ、親父に拾われてからも、自分で好き好んで町中を彷徨う変人だけど。
目の前に立ち棒しているシルバーを見て、ラオロアはすこし離れながらそれを思い出す。
もちろん誘ったのはその素質からでもある。
しかし目をつけたのは、野良動物に感じていたのとよく似たようなものを、ラオロアはシルバーから感じ取っていたのかもしれない。
「それじゃ、また明日な」
「・・・」
「何時になるかわからないけど、多分朝にまた来る」
それだけを言い残して、ラオロアはログアウトのボタンを押した。
魔法陣みたいなエフェクトが地面に浮かび上がり、そして宙に上がる。その中に飲み込まれるかのように、ラオロアの姿が消えていく。
「・・・」
シルバーはそこに立ち尽くしたまま、その魔法陣が天に届くように飛んでいくのを、ただ静かに見つめていた。
主人公の性格からして多分これからあんまり全開のステータスを見ないので、書く機会が減るかもしれません。
自分が楽になるためにとはいえ、結構な労力をかけて、レベルや職業に応じるステータス計算をしてくれるエクセルファイル作りましたし、変化あるときにここにさらしていくべきなんでしょうか?