#1
真島 琴美。
それがアタシの名前。
都立海空高校 2年B組。
そこがアタシのクラス。
泉 筝。
アタシが恋した相手。
彼はアタシと同じ年のクセに寂しがり屋で、
彼はアタシと同じ年のクセに煙草を吸ってて、
アタシは彼のことが好き。
彼はどうなのかは知らない。
ただ寂しいのが無くせればそれでいいのかもしれない。
アタシである必要なんてないのかもしれない。
でも、今は、このまま彼と過ごせればそれでいい。
「ねぇ、煙たいんだけど」
アタシが換気扇を付けながら言う。
「ああ、そうだな」
彼は自分の椅子で煙をゆっくりと吐きながら言う。
「はぁ・・・この煙の何処がいいのか、アタシには分からんよ」
アタシがいるのは彼の部屋。
彼は一人暮らし。
ここにアタシがいる理由は彼の彼女だから・・・でもいいけど。
本当は彼の宿題をアタシが写してる。
彼は不良だが、頭と体はいい。
頭がいい理由は分からないけど、体は週何度かある肉体労働の報酬だ。
「眠い」
「だからって、アタシの背中に抱きつく理由が分からないんだけど?幼児プレイ?」
「黙れ、寒いんだよ」
「布団被ってなさいよ」
「騒ぐな。やっぱ騒げ、体温が上がって暖かい」
ついに彼は背中に顔をすりつける。
「や、止めなさいっ!」
たまらなくなってアタシは彼を両手を使って引き剥がす。
「うわっ、寒っ!」
彼はアタシの左手を右手で、右手を左手でどかして胴に抱きつく。
「暖かい・・・zzz」
アタシが恥ずかしくなって顔を赤くしてる間に彼は顔を胸に付けて寝てしまう。
「・・・・・ぇ?ちょっと?」
アタシは座ってる。
彼はアタシに抱きつく状態で寝てる。
「宿題が・・・それに動けないからトイレとか・・・帰れないのは平気だけど・・・」
「Zzz」
「はぁ・・・明日の朝だな」
アタシは彼の背を撫でながら思う。
「寒いわけないでしょ、くっ付きたいならそういいなさいな」
今は7月、冷房を付けていたけど、今は切ってある。
「Zzz」
「馬鹿ね、莫迦のほうが合ってるかもしれないけど」
アタシは言葉では彼並には出来る。
そのまま、アタシは彼に重なるように眠った。