森の賢者
ウェノ王国には、騎士団や魔法師団といった武力行使を目的とした以外に、もう一つの特別な組織がある。
僧兵団は、その所属はあくまでも神聖教団の所属であり、如何にウェノ王国がその宗主国であるとは言え、組織としては完全に分かれている。
しかしながら、ウェノの建国期においては、神聖教の賢者と呼ばれる者達が、群雄割拠と言えば聞こえの良い、秩序のない世界に神の威光と奇跡をもって、後の王国たる礎を築いたと伝えられている。
海の賢者は女神の如き美しさを持つ、妙齢の女性であった。
大海原を思わせる、猛りながらも滑らかな髪を靡かせ、真珠の輝きを唇に乗せていたという。
母性の象徴とも見られる全てを平等に抱く、愛を伝えたとされる。
空の賢者は他の賢者に比べても、神に授けられた超常の力が強く、自在に大空を駆け、戦乱をその力もて収めたと伝えられる。
大地の賢者は、海の賢者の夫であるとされ、巌の様な厳しさと、自らの脚もて立つ者達を鼓舞し、王国という安泰に導いたと謳われる。
風の賢者と雨の賢者は双子の男女の青年で、自然の猛威と恵みを人々に知らしめ、共に生きる事の重要性を教えて回った。
そして森の賢者はオランウータンである。