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フィリバスター牛山2 ~史上最長の呪文詠唱~  作者: 空な鍵
第三部:神話(新世界創造編)
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もう一度夜明けを諦めること

ミノル「あなたの境遇は調べさせてもらいました。と言っても、実名報道の能力によるリサーチは全て跳ね返されてしまうので、それは良くない。だからこそ私は捜査は足で行うという原則の下、宮沢検事に命じ、あなたの個人情報をすべて洗うことに成功しました。驚きましたよ。あなた、弁護士だったんですね。弱きを助け、強きをくじく、そうした弁護士だったんですね。ですが、あなたの目指した世界と言う物は、残念ながらなかった。私たち神が民を牛耳るということ以前に、人の心は汚れ切っていた。宮沢検事……あとは、お願いします。」


九式原罪「ソウダ ワタシハイツワリノタイヨウ キボウナドハテラセナイ」


宮沢「はい!私が説明させていただきます!まずですね、あなたはいつから太陽だったのかということです。女性はかつて太陽だったのに、今は月となっているという言葉がありました。ここで争点となるのは、じゃあ、今太陽なのは何なのか?いつから女性は太陽ではなくなったのか?それを考えていかない限り、真実にはたどり着けない。女性が太陽で亡くなったのは、はちみつハザードと時期がぴったり重なるのです。あまったるい乳の味が、はちみつにかき消された。それは決して無理な推論では、ないと思われます!そこで、私が語らせていただきます。最高裁判決です。私はプレイステーション・ビクターと塩雪花名狼の事件を追っていました。私は彼らを裁くことができた!しかし、それと同時に、私は追っても追い切れない巨悪に、目をつぶってしまった!その絶望感が、私を麻薬へと駆り立てたのかもしれません。」


宮沢は一呼吸置きました。そして、衝撃の言葉が、彼の口から放たれました。


宮沢「最強最悪の犯罪者……。それは太陽である!!」


ミノル「私は太陽を作ってから、太陽が人々に恵みを与えてきたのと同時に、太陽はたくさんの命を奪ってきた。だからこそ、被害者の会は、訴えた!太陽の所有者である、まだ10歳だった少女を告訴!!太陽に奪われた命の代償、すなわち70億円を求めて!!しかし少女は必死に語りました。今ある太陽は、偽りであるということ。人を殺してきた太陽は、地球温暖化で多くの命を奪ってきた殺戮者である太陽は、もういないということ。もちろん偽りの太陽でなおかつ弁護士であったあなたは、法廷に立ちました。しかし相手の弁護士が恐ろしく優秀だったようで、結果は惨敗だったようですね。」


宮沢「その一件以来、司法と言う物は崩壊した。もはや、所有することが罪だという風に皆が錯覚してしまった。物を所有するということは、その分の空間を占有するということ。バタフライエフェクトという言葉を聞いたことがありますか。要するに、メキシコのハリケーンの原因は、あなたの所有にあり、その罪を人類は皆、背負っている。つまりですね。あなたの原罪……。『夜明けを諦めること』ということは、皆が夜明けを諦めたということではなく、あなたが諦めたというわけなんです。」


九式原罪「ソウダ オレハアノバデ カタリツクシタ ダガ トドカナカッタ!!」


九式原罪「オレノコエガナゼトドカナイ!ソノクルシミスラモトドカナイ!」


ミノル「いいえ。あなたの苦しみは、私にしっかり響いています。全て、受け止めてあげましょう。私もかつて、思ったことがあります。『俺の声が何故届かない!!その苦しみすらも届かない!!』私はフィリバスターという職業に憧れていました。国会で長々と演説をして、審議を遅らせることです。私の父は、私を虐待しました。しかしだからこそ、彼は私が畏怖する存在なのでしょう。私の父も、国会議員でした。まあ、今はもう父はこの世界にはいませんが……。父は当時の総理大臣の全権委任法に全力で対抗し、廃案へと送りこみました。しかしなぜ狂ったのか、今は分かりませんが、父は児童廃止法と中絶義務法を成立させたのです。その後、19歳である私は18歳を超えていても、数え年とかいう糞みたいな制度のせいで、法の網にかかったわけです。実の父に公衆の面前で処刑される気持ちも、あなたは分かっているでしょうね。あなたの裁判にて、傍聴席から飛び交う怒号。事象被害者遺族の慟哭。あれは裁判ではありません。公開処刑だったそうじゃないですか。私もその法廷記録、宮沢検事から見せていただきました。とにかく、私は喋り続けることで、最後の言葉を語り続けることで、処刑を免れようとしました。しかし失敗してしまいました。結局神となることができたとしても、自分の声が届かなかったという事実は変わらない。しかし、私は神となって、新たな力を得た!フィリバスターキャノンは喋った文字数だけ相手にダメージを与えることができる!もう私は時間稼ぎを強制される被害者ではありません!これからはあなたたちが命乞いをする番です!!……。そうした力におぼれ、愚民たちを狩りつくした時期があった。神獣を殺しまわった時期がありました。しかし。しかしですよ。空しいんです。私のスピーチの中身がない。あふれ出てくる感情を言葉に表しても、それは空虚。何故ここまで空虚なことを長々しゃべることができるのか。私は自分自身の薄っぺらさに驚かざるをえません。語るべきことが、何もない。ですが語り続けなくてはならない。所詮19年しか生きてきていません。語ることは少ない。だからこそ、自分、そして弁論の無力さをあなたと同じぐらい、分かっているつもりです。それが、自分を守れなかったか、愛する少女を守れなかったか、その程度の違いしかないのではないでしょうか。あなたの能力は知っています。相手の攻撃を100倍にしてカウンターする能力です。前回私はそれに殺されかけました。ではフィリバスターキャノンを発射しましょう。」


「待て、殻よ!!それは駄目だ!!また死ぬぞ!!」


ミノル「いいえ!私の苦しみ、そしてあの原罪の苦しみを耐えてこそ、分かりあえる!」


「私も死ぬことになる!!それをしてはいけない!!」


ミノル「フィリバスタァアアアアアアアアアアキャノォォォォオオオオオン!!」


1823文字のフィリバスターキャノンが九式原罪に襲いかかります。


九式原罪「ソウカ ナラ タエテミセロォオオオオオオオオオオオオオオオ」


九式原罪の特殊能力発動!!


フィリバスターキャノンを100倍にします!


宇宙を切り裂く閃光が、ミノルをめがけて走る!!


ミノルに182300ダメージ!!


九式原罪「バカガ タエラレルワケ―――」


ミノル「耐えましたよ。」(フィリバスターの防御能力だけどな。まあ、前回は予測できなかったから死んだが、来るとわかっていれば何の問題も無い。)


九式原罪「ナ、ナンダト……アリエナィィイイイイ」


九式原罪から、光が放たれます。そして……。


九式原罪「……。ものすごく、澄み渡った気持ちや。」


九式原罪「たしかに、今まで太陽として昇り、気に入らない奴を焼き殺していた。」


九式原罪「そして、偽りの太陽として、人々に偽りの希望を与えてたんや。」


九式原罪「それはリンチされて殺された、あの子へのせめてもの償いやった。」


九式原罪「でもな、それは前の太陽とやってることは何も変わらへん。」


九式原罪「暴力では何も解決しない。ありがとう。ミノルはん。」


九式原罪「ワイは、偽物の太陽だということを、もう一度皆に説明するわ。」


九式原罪は、地球に落下しようとしましたが、彁が呼びとめました。


彁「暃……。これが貴様の神名だ。」


暃「は?」


彁「なってしまえばよいのだ。太陽神に。偽りでも構わない。お前は今日から神だ。」


彁「焼きつくす太陽ではなく、暖める太陽となればよい。」


暃「ありがとな……。ミノルはん。」


彁「これより貴様を、『経済産業大神』に任命する!太陽神として、人々に貢がせるのだ!貢がせ、貢がせ、そして貢がせるのだ!少し黒点活動すれば、すぐにでも騙されてお祈りしてくれる!それを狙え!人民に対して、太陽のような暖かさで接するのだ!」


暃「分かったで!ワイはやるで!」


彁「………………。次は『麻薬』の神が欲しい。」


続く。


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