自分で自分を産みだすということ
ミノル「アレクサンドル・ビネガー・ジョー。稀代の天才、神童、天使などなど彼の別称を挙げていけばきりがありません。しかし不思議なことです。何故彼のような天才が生まれてしまったのか。そして私と彼に共通する特性。『フィリバスター』。長々としゃべってしまう病気みたいなものです。牛山議員もそれに罹っていたとか。アレクサンドル・ビネガー・ジョーの父は20年前に精子バンクを襲撃した精子強盗事件の真犯人でした。ジョーの父には名前がありません。なぜなら彼によれば神の子の親は神であり、神に名前は要らない。とのこと。ミュータントたちなどの研究を行っている国際機関GEMYは世界中から優秀な人間と優秀な家畜の遺伝子を集め、その交配をしていました。しかしミュータントは獣姦からごくまれに生まれる珍しい生物であり、それを人工的に作るのは至難の業。そこで世界中から優秀な頭脳を持った人間の遺伝子をミュータント作成とは別に集め、イノベーションを起こせる頭脳を持った人間を生みだそうとした。さらに男同士、女同士で交配できれば生産スピードが倍になることが見込まれます。その技術の開発も進められていました。そこで孤児たちを捕まえ、同性交配の実験が行われました。その孤児のうちの一人がアレクサンドル・ビネガー・ジョーの父親です。彼は同性でも交配できるように改造された最初の人類のうちの一人でした。しかし彼は自分の性的アイデンティティを失い暴走したのか、GEMYの精子バンクを襲撃しました。しかし伝説の傭兵と呼ばれたキング・マンモス氏が精子バンクの襲撃を物の見事に防ぎ切りました。しかしキング・マンモスをインターネットで調べてみると、悪評が目につきます。なぜかと言えばコンビニバイト時代、キングマンモスは何の罪もない女子高生を万引き扱いして別室に連れ込んでは、事に及んでいたからです。彼のせいで生まれたミュータントは200人にも上り、これはキングの子供たちと呼ばれ現在でも差別の対象とされているという問題が発生しています。キング・マンモスは空を飛べるように改造されたペンギンで、彼の愛くるしい容姿に騙された女子高生も多かったそうです。しかしキング・マンモスは女子高生をいきなりババアだというようになりました。彼のこの大地震とも呼ばれるコペルニクス的転回は政財界を揺るがしました。キング・マンモスは突如ショタ趣味に走ったのです。そしてビネガーの父は彼のドストライクのショタでした。そこで報酬として彼をお持ち帰りしてしまいましたが、ビネガーの父親……キング・マンモスでない人間の方は20年もの間キング・マンモスに監禁されていたようです。長い間キング・マンモスに子供を生むことを強制されたせいで彼の精神は完全に破壊されていました。しかし精子バンクはいろいろあってキング・マンモスが支配するようになり、ついにマイナス金利を導入したのです。すなわち精子バンクにある遺伝子情報をある程度の条件のもとに無償提供する。このことによって多くの生態系が破壊されてしまいました。さらに被害をこうむったのは甲賀の者に代表される、忍者たちです。彼らへの遺伝子汚染が完全に進んだ結果、彼らの体液は乾いたときに上からボールペンのインクで書いてもにじまないという特性を得ていたのです。これらはほんの一例にすぎず、キング・マンモスのマイナス金利政策は早くも大失敗だったという知識人たちが現れました。それはさておき、キング・マンモスは恐ろしいことを行っていました。まずビネガーの父を半分に割る。そして両方を違った方法で子供を産ませることにより、その違いを研究したのです。私が先ほど行ったサイコパステストの1番。増える妹はそれを元にしています。まあ半分に割っただけですので、無限に増えるわけではありませんが。語弊がありましたね。とにかく両方を違った方法で子供を産ませるといいますが、どういうことかと言いますと、まず左半分には着床時間などを完全にコントロールし、最も優秀な子供が生まれるように乱数調整する。右半分には数重視で生ませまくることで、その中から優秀なものを選ぶ。結論から言いますとキング・マンモスが生物である以上コンマ単位のずれを完全になくすことは不可能でした。最終的には右半分のほうが優秀な子供を生んだのです。左半分は捨てられてしまったわけですが、ここで考えてほしいのが彼は一体これからどうすればよいのかということです。そもそも遺伝とは何でしょうか。2人の遺伝子を半分ずつ受け継ぐというのが分かりやすい解答でしょう。つまりです。左半分がキングマンモスを縦に切り、彼の右半分と合体したのはそういう理由からでしょう。半分ずつに切ったのを組み合わせるのと、遺伝子を半分ずつ受け継いだのとでは、実質的な違いが無いのがわかるでしょう?そこでキング・マンモスは名誉の死を迎えました。数多くの命を奪い、数多くの命を生みだしたかつての英雄はマイナス金利の失策を取り戻すことができず、愛人に寝首をかかれたのです。あな恐ろしや。誰も老いには勝てないのでしょう。もうめんどくさいのでビネガーの父をクイーン・マンモスと呼ぶことにします。とにかくクイーン・マンモスは生殖をおこなうことなく、自分自身が相手との子になりました。これはフロイトの夢の類型で見られるとおり、自分が自分を出産するということはメジャーです。古代から伝わるエディプス・コンプレックスという物がありますが、そういうことです。自分が自分を出産するという生物、いや自己としての矛盾をクイーンは生みだしてしまった。キング・マンモスに壊される前の彼なら後戻りできたでしょう。しかし彼は破滅の道を進んでしまった。GEMYの精子バンクのデータから、精子を供与した人間・動物の住所を調べ上げ、ひたすら彼らと合体し自分を出産していった。後に彼はこう述懐しています。これをするたびに、自分自身が失われていくのを感じていた、と。こうして全人類・全種族の素晴らしいキメラとして生まれ変わったクイーン。彼は名前を改めました。『アレクサンドル・ビネガー・ジョー』に。彼の年齢は戸籍上こそ未成年ですが、実際には40歳を超えているとも噂されています。彼が虐待を受けていたということを先ほどお話していましたが当然でしょう。自分で自分を出産しているのだからもちろん父をその身に宿していて、というより自我に父親が入り込んでくる。これは立派な暴力です。彼はすべてそのことを私に話してくれました。そして私が彼の一部になることを要求してきたので、貞操と生命の危機を感じ今は絶交しています。しかし心の支えなのは間違いありません。友の過ちは、1度は許すものでしょう?彼が頭を冷やすのを私は待っています。」
牛山「これからは地獄で待つといい。」
ミノル「まだ話は終わっていませんよ。フィリバスター病……。その原因となったダチュルウィルスの開発者、エノラスト・ドレイルの話をしなくてはなりません。そして、第三次世界大戦の原因となったあのテロについて。」
そのころ国連総会では
ビネガー「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」
鳥川総理「アリアドネ大統領が……。ビネガーの一部に……。」
キメラ国務長官「ふん。ようやく『生まれた』か。最初からこうすればよかったんだ。」
キメラ国務長官「ビネガーを机羊国・センチピードと融合させ、彼ごと核で破壊すればそれで話がすむ。」
キメラ国務長官「そうすれば、この私、オクトパス・グリルがマメリカ大統領に就任することができるのだぁ!!長い間変装した甲斐があった!!」
キツネキ「ひどい……。」
鳥川総理「この……。売星奴がぁああああああああ!!!!」
鳥川総理は怒りに燃え、飛び上がる。
そして国連ドームの天井を突き破り、どこかに行ってしまった。
キツネキは思考する。
そうだ、これは鳥川総理の必殺技「フライアウェイ」。
真っ赤に燃えながら大気圏外から落下してくることで、
相手に隕石のごとき一撃を喰らわせる技!
でも、もともと時間稼ぎように作られた技だから、飛び上がるまで時間がかかるんだ。
なら、わたしが時間稼ぎしないと!!
キツネキ「……ビネガーさーーん!残念ながら、あなたの自己生殖には弱点がありまーす!」
ビネガー「おぎゃ?」
オクトパス「ほう。かわいいお嬢さんなのに勇気あるじゃないか。あの腰ぬけ総理のように逃げてもいいんだぞ?」
つづく。




