第六話『ブレイクタイム』
「さてと、じゃあ出発しますかねっと。おっと、最近はうるさいからな。皆シートベルトよろしくー」
ラボと呼ばれた施設。その地下駐車場から、ダイスケの所有する黒いワゴン車のエンジン音が鳴る。乗車し終えた六人は、各自下がったシートベルトの銀色の金具をカチッと差込口に入れて締めると、排気の音と供に揺れる車体は走り出し、ワゴンは地下駐車場から発進した。
道中。
「快適快適ぃ。夜の道はやっぱいいなぁ、トオルよぉ。昼間のあれだけ居た邪魔な車が、まるで居やしねえ」
「ダイスケ。頼むから法定速度を守ってくれよ。スピード違反なんてナンセンスな罪で捕まるなんて、僕はゴメンだからね」
「ったく厳しいなぁお前は。これだから運転しないペーパードライバーって奴はぁ…。ってか、いつも思うんだが、何で日常生活でテレポーテーション使っちゃいけねえんだよ」
「規則を忘れたのか?使えば僕たちも狩人に狩られる立場だよ」
「そう細々と気にする事はねえよ。それに俺らは一応公務員だろ?」
「公務員だろうと何だろうと、罪を犯して人に裁かれるなんて、僕のプライドが許さない」
ダイスケとトオルは、運転席と助手席を挟んで、他愛のない会話を交わしていた。
慣れた手つきで、やや重く設定された黒いギアとハンドルを華麗にさばき、軽快にアクセルを吹かすダイスケ。トオルは、ダイスケに細々(こまごま)と注意を促しながらも、表題に『超能力は本当に存在する!?』と書かれた、如何わしいゴシップ誌をパラパラとめくり、くだらない嘘の超能力が丁寧に合成写真付きで掲載されている記事を鼻で笑うように読んでいた。
「ってゆーか、このネイル。マジ可愛くて最高なんですけどー♪」
「…」
「フンフンフーン♪ねえ、リョウマもそう思うっしょ?っていうかマジ最高だよねー?」
「え?ああ…はい」
後部座席では、爪に描かれた煌びやかな蝶や花の模様を、満足げに見上げながら化粧を続けるカレン。ブレザーの千切れたボタンの所を触りながら下を向き、カレンの隣で、ひっそりと座っていたリョウマは、上機嫌に両手の爪を見せてくるカレンの質問に、「めんどくさい」と言った表情で、適当に答えた。
「…ふぁぁ…」
車内最後部に座っていたアカネは、今日の出来事に少し疲れたのか、車の窓枠に肘を乗せ、頬杖をつきながら顔をもたげ、声にならない小さな欠伸を繰り返し、ウトウトと美人顔についた目蓋をパチパチと忙しく昇降させている。
「…」
ショウは、そんなアカネの隣に黙って座っていた。車内の雰囲気に緊張していたのだ。
ダイスケの放った『飯屋』『腹ごしらえ』と言う単語以外は何の情報も無く、行く先もわからない、ただ小さなライトが薄明るく全体を照らすだけの車内で、チラチラと周りの様子を見ながら、緊張していた。
車内の誰かに親しげに会話することなどは、もちろん出来なかった。お互いに一番の知り合いの…と、いっても名前を覚えられた程度だが…先輩のアカネは、見たとおり眠気眼だし、起きぬけに夢と勘違いしてキスを迫って、ショウに怒っているのは確実なこと。人の良さそうな大人で、唯一話の通じそうな運転席のダイスケは、雑誌を読むトオルの会話と運転に夢中だし、前の席の二人は、まだどんな性格なのかもわからない。
これと言って、他人の会話に首を突っ込むようなバイタリティーも無ければ、他人を喜ばせられるエンターテイナーでもないショウ。携帯でメールでもしようかと、おもむろに学生服の外ポケットに手を入れたが、入っていたはずの携帯も無いし、まさに車内の状況は四面楚歌であった。
アカネに叩かれた頬に、涙の雫の跡がしみると、肌はヒリヒリと悲鳴をあげた。
ショウは表情を強張らせながら、ふと横にあった車の窓から、外を見た。
等間隔に並び道路を照らす、オレンジ色の暖かな光を出す街灯。シャッターの閉まった大型商店と隙間無くテナントの入った妖しげな雑居ビルがちらつく。どうやら寂れた繁華街の入り口のようだ。その道を数分進むと、すっかり深まった夜の街に光る一軒の店の広い駐車場に、ダイスケのワゴンは停車した。
「…ふぅううう、やっと着いたぜ。さあ降りてくれ。俺の腹ペコ具合も限界だ」
車についたデジタル時計を見ると、深夜2時をまわっていた。
ダイスケは、車のキーをくるっと回して抜き取ると、トオルやカレンに眼で合図して、ショウとアカネを車から降ろさせた。先に降りたリョウマは、店の入り口である、店のロゴの入った半透明のガラスドアについた銀色の手すりをクイッと外側に開くと、広い店内の暖かい風が、夜の冷たい風を押し出すように外へと放出される。
「いらっしゃいませー。六名様ですね。お煙草はお吸いになられますかー?」
店員の導きの声。その声に従うように、ショウ達は天井から禁煙席と書かれたプレートがぶら下がる区域に進み、四人掛けのテーブル二つに三人ずつ座った。片方にはダイスケ、リョウマ、カレン。もう片方にはショウ、アカネ、トオル。
午前2時の店内は、客も店員もまばらだった。
複数設置されたステレオ機材から流れる、最新の流行歌が一言一句逃さず聞こえるほど、店内は静かだった。
「よぉぉぉしっ皆ァ!好きなもの頼めよ。俺が奢ることなんて滅多にねえんだからな。さっ、遠慮しないでメニューの右から左まで、ズズズーイと頼んでやってくれよ。はっはっはっ!どうした?ほれほれ。頼みなさい餓えた子ども達よ!」
そんな静まりかえった店内に、席に着くや否やダイスケの大声。
透明のプラスチックスリーブに納められた、何枚かの冊子型のメニューを机に広げながら、ダイスケは勝ち誇ったように腕を組んで、チラッと片目で皆を見た。
「ダイスケさん…」
「ってゆーか、この店…」
「ファミリーレストラン…。通称ファミレスだね。それもかなり安めの」
ダイスケの勝ち誇った態度に反比例するように、皆の反応は散々だった。
リョウマ、カレン、トオル。皆、冷めた眼差しでダイスケを見る。
「な、なんだその目は!別にケチったわけじゃないぞ!一番近いのがここだったんだ!キチッと奢ってやるんだから、文句は言うなよ!」
「はーあ。頭脳だけでなく、天才かつ繊細な舌を持つ僕が、ファミレスなんかで食べる物は無いよ。ガッカリだな、ダイスケには」
「ってゆーか、夜=ファミレスの構図が安直だよねー。別に文句は言わないけどさー」
「…和食が良かったです」
「馬鹿野郎!午前二時にやってる飯屋なんてのは居酒屋か、ラーメン屋か、ファミレスぐらいしかねえよ!ラーメンは、カレンが嫌いだし。トオルはともかく、制服姿のお前等を居酒屋なんかに連れてってみろ!悪くすりゃ、明日の朝は全員鉄格子の中だぜ!」
「それにしてもファミレスとは、発想も財布の中身も貧困だね」
「ってゆーか、制服姿が駄目なら着替えすりゃ良かったじゃん」
「…居酒屋なら和食もありました」
「えええええええええええい!うるさい!これ以上言うと財布の紐閉じちゃうぞ!俺が怒らないうちに、好きなもの頼みやがれえええ!」
黙ったショウとアカネそっちのけで、この四人組のコントが続く。
狼狽し、静まったファミレスで堂々と大声を出すダイスケに、氷のように冷え冷えとした言葉を投げかける面々は、ダイスケの態度に渋々メニューを開き見る。どれもこれもありふれたメニュー、変わりばえの無い洋食、これといってオススメの無い中華と和食。残っている物といえば、パフェやアイスクリーム、パンケーキなどの甘味。メニューの中の写真は、さも美味しそうに撮影してあるが、実際出てくる物といえば、まあ想像の通りである。皆、冷めた態度でパラパラと見て、フンッと鼻で笑いながら、メニューを閉じるとダイスケに渡し、こう言った。
「ダイスケ、君が先に決めたらいい」
「ってゆーか、ダイスケさんがお金払うんだしー」
「…ダイスケさん、どうぞ」
「え、あ?あ、ああ。へへっ、じゃ、じゃあ、そうさせてもらおうかなー」
ダイスケはメニューを見た。しかし、メニューを見ながら悩んだ。
ありふれて変わりばえのない洋食、これといってオススメの無い中華と和食。甘い物も余り好きではないダイスケは、らしからぬ優柔不断さを見せて悩んだ。
「ぐぬぬぬぬ…!き、決まらん…!」
苦しみの汗。苦渋の表情。洋食、和食、中華のページを何度も何度も右往左往して、イライラが募り過ぎたのか、ダイスケは歯茎が見えるほど口を開いて、奇妙な唸り声を上げた。ショウ、アカネを除く他の三人は、それを見ながらニヤニヤする。知っているのだ。こういう場所に来て、いつも快活で気風の良い彼が、人一倍悩む事を。逆に言えば、三人にとって、それが何よりのダイスケからのご馳走であった。
そして、ダイスケがメニューとの格闘をすること数分。
テーブルに近づく足音が一つ。
メニューに苦しむダイスケを見て、その口から、残酷にも、言葉が言い放たれた。
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
「あ、いや。まだ決まってない…」
ダイスケは気まずそうに答えた。決まっているはずがない。めくられたメニューのページは、盛大にクリームが塗りたくられたプリンアラモードとフルーツパフェの写真。甘い物が嫌いな彼が、開く事のないページだった。女性店員は、メニューを持ちながら、あたふたとするダイスケの姿を見ながら、冷静に言った。
「はい。では、ご注文お決まりになりましたら、そこのお呼び出しボタンを押していただけますでしょうか」
「は、は。す、すいません。ははは、この店は人を迷わせるのが上手いなぁ。どうも毎回来るたびにメニューが多くて目移りしてしまうよ、はっはっははは…」
後頭部を右手で掻きながら、吹き出る汗を止めることも出来ずに、ダイスケは乾いた苦笑いと、時間稼ぎのせめてもの冗談を、店員に言った。店員は冷静で、顔にも出さなかったが、ダイスケの表情と態度を見て、なんとなくその優柔不断さを、心で微笑んだ。
だがその時、テーブルから聞こえる耳慣れた声が三つ。
「リオン風ステーキ。ああ、もちろんパンで。食前にビシソワーズスープ」
「えーっと。アップルジュースに、シーザーサラダとミニサイズカルボナーラ。あ、食後にチョコレートパフェもつけちゃおーっと♪」
「…卵雑炊と…田舎風ぜんざい…」
「ええええええっ!?お前らもう決めてたのかよっ!」
三人の注文にメニューをひっくり返して驚くダイスケ。
その拍子に落ちそうになるテーブルの水の入ったコップを、落ちる前にすかさずリョウマとカレンが止める。そしてトオルは、ピッピと注文を打ち込む店員に向けて、続けて言った。
「アカネ君は海老マカロニグラタン、ショウ君は和風ハンバーグのライスセット。ああ、言わないでもわかるよ。心を読んだからね。で、ダイスケは?」
「え、ええっと、そうだなぁ…」
「すいません店員さん、地中海ピラフの大盛りで」
「お、おいトオル!勝手に決めんな!」
「フッ、君は決めるのが遅いんだよ!待ってたら、夜が明けてしまうよ」
「くそー…」
ダイスケはコップの水をグイッと飲むと。トオルに言い返すこともせず、その場にドスンと座った。頼まれた注文を復唱し、メニューを下げて厨房へ向かう女性店員の顔が、ダイスケの目には、一瞬にやけたように見えた。
数十分後。頼んだメニューが大体そろうと、六人は置かれたナイフ、フォーク、箸、スプーンを手に持って、だいぶ遅い夕食をとり始めた。
――――――――――――――――――
「俺の心、本当にわかるんですね」
突然、ショウはトオルに問いかけた。
目の前には付け合せの野菜と、180g程の俵型のハンバーグが一つ置かれた鉄皿。その横には適度にご飯の盛られた白い平皿。ハンバーグは、大根おろしの和風ソースがかけられ、食欲をそそる青じその匂いに、空腹を駆り立てられたショウは、別皿に盛られた御飯を平らげ、ハンバーグも程なく胃袋に消えていた。
「少し待ってくれたまえ」
ジリジリと鉄板皿の上に焼かれた牛肉のステーキを、ナイフとフォークを巧みに使って、一口サイズの小切りの肉片を口に運んでいたトオルは、口内の牛肉を数度早めに噛んで飲み込むと、ナイフとフォークを横に置き、口に付いた肉汁を紙ナプキンで拭いた。
そしてショウに向かって、少し幻滅したように、こう答えた。
「参ったな。和風ハンバーグぐらいで能力を認めるなんて。まあ、認めるのは癪だけど、ダイスケの言った事が本当だったようだね。一杯の極上のコーヒーより、一食の腹ごしらえ。こんなに簡単なら、部屋に爆発する時計を置くなんていう大仕掛けは必要なかったかな?」
「その超能力…、本当に俺にもあるんですか?」
「さっきも言ったろ。『微弱』だけどあるって。僕たちのような黒い眼の者だけが許された特権。いや、君の言葉で言えば『普通じゃない者』って所かな」
「すいません…さっきから、生意気言って」
目線をそらして、気持ち申し訳なさそうに謝るショウ。トオルは、その謝罪の態度に若干不服だったが、ダイスケがさっき言った『大人の余裕』を見せようと、優しげに微笑みながらショウに言った。
「なあに君が謝ることはないよ。僕も最初は偶然気付いたんだ。それから訓練をして、こういう風に、世間に対して悪さをする同属達を狩っているんだ」
「か、狩る?」
ショウの疑問の声に、トオルは一度眼鏡を指でクイッと上げると、少し時間を置いて冷静な口調で答えた。
「ああ、君にはまだ言ってなかったね。僕達の仕事さ。狩人って居るだろ?猟銃や武器を持って害獣を退治したり、狩猟する人たち。僕たちチームの正式名称は『黒い眼の狩人』。現代世界に生きる、能力を使って犯罪を起こす輩を消す、現代の始末屋。世間一般で言うところの警察?治安を守るための保安隊というか…。まあ、ようするに国の機関に雇われた超能力チームの一つだね」
「超能力チーム…そ、それで俺は、これからどうすればいいんですか」
「さっきとは打って変わって、君も随分察しがいいね。じゃあ、さっき言えなかった本題を話すかな。アカネ君も聞いてくれ」
「…はい」
一口だけ食べて、そのままになっていた海老マカロニグラタン。外の暗闇にポツポツと映る、車のライトの光をボーっと見ていたアカネは、トオルの声に振り向いた。そして、ショウと供にトオルの話を聞いた。
「ここまで仕事の内情を話しておいてなんだけど。君たちには自由に選べる選択肢が二つある。冷静に僕の言葉を聞いて欲しい」
ゴクリ。トオルの言葉に生唾を飲むショウ。
「一つ。君たちの潜在的な能力を存分に開花させて僕たちの…つまり狩人の仲間になるか。もう一つは、今日一日の記憶を消されて普通の現代社会に戻るか。まっ、後者の場合は国家からの半永久的な監視付きだけどね」
危険の伴う能力者相手の始末屋仲間か、私生活を覗かれる監視付きの日常か。
選択肢という割には、随分と極端な条件の提示だった。ショウは普通の生活に戻りたかったが、国家の監視という言葉に少し動揺した。
「…」
隣に座ったアカネは、どうするのだろう。ショウはアカネを横目で見た。
だがショウが見たアカネは、提示された選択肢に動揺もせず、トオルから少し目線をそらして、ただ黙っているだけだった。
「井沢ショウ君。君の心は非常にわかりやすいね。精神感応は余り得意じゃないんだが、君の心は手に取るようにわかるよ。まっ、僕としては、前者をオススメするよ。そうすれば、君の好きなアカネ君とも別れないで済むし」
「え!?どういうことですか」
「…」
アカネは、ただ黙っている。
黙るアカネを見て、トオルはショウに向けて言った。
「アカネ君はもう決めたのさ。普通の生活を捨てて、僕たちの仲間になることをね」
「!?」
ショウは驚いた。そしてアカネの姿をもう一度見た。
白い肌の美人顔は、トオルの話しも程ほどに、遠いほうを見つめている。
群を抜く美人ではあるが、心は何処にでも居る普通の女の子であり、一番傷ついて欲しくない自分の憧れの先輩が、自由に選べる二つの選択肢から、危険な始末屋家業に手を貸すほうを選ぶ。通常の中学生の思考から言えば、わざわざ降りかかる未知数の危険に飛び込むより、どちらかというと保守的に、監視付きでも良いから普通の日常生活を選ぶはず。
それなのに何故?ショウは、予想と違う先輩の心中に疑問の念を抱いた。
「まあ彼女は彼女なりに考えがあるのさ。で、どうする君は?井沢ショウ君」
さっきからトオルに自分の心を覗かれていることを認知しながら、それでも疑問に対して思考することをやめないショウ。当然だ。あの老婆に襲われた図書室の絶望の中で、たとえ自分が犠牲になって死のうと、命を懸けて守り抜こうとした女性が、自らその絶望の中に飛び込んでいく。これほど不可解な事はない。
そして、沈黙を打ち破るようにアカネが静かに口を開いた。
「…井沢君。別に私の選択に君がかまう事はないわ。私に遠慮せず後者を選択して。私は君の心に応えられないし、自由な君の心を奪う権利なんてない。そのうち時がたてば、私の事なんて忘れるわ。君は普通の生活に戻るのよ。いいえ、戻りなさい。それが普通でありたいと思う君の最高の選択のはずよ。そうよね?そして、普通の生活に戻ったら、どんなに小さくてもいいから幸せを手にして。これから失ってしまうかもしれない私の分まで。お願いよ」
彼女は笑っていた。さっきまで暗い表情だったのに、ショウに投げかける微笑み。
誰が見ても作り笑顔…いや、精一杯の優しさの欠片が散りばめられた、彼女の最高の笑顔の演技。ショウは、優しい口調から放たれる、彼女の切実な言葉の数々に耳を塞ぎたくなった。
数日前には、学級は違えど同じ学校、同じ学生、同じ人間という、ごく近くに感じていたアカネとの距離が、どんどん離れていく。これほどアカネを遠くに感じたことが、今まであっただろうか。寂しい。悲しい。なぜこんなにも彼女の優しい言葉と、黒い眼に浮かんだ輝く笑顔が、自分の心には痛いのか。
ショウは、決心した。
たとえ、その気持ちが彼女に報われない結果だとしても、溢れ出、沸き上がる自分の心に嘘をつけるほど、彼は器用な少年ではなかった。
「お願いします!俺を仲間にしてください!」
少年は、覚悟を決めて大人になる。
ただ内に秘めた、その思春期の心の滾りに従って。