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「大西 洋一」という名前

「大西洋」…今となっては誰が呼び始めたわからないが、これが俺のあだ名だ。


小さいころから、このあだ名のせいで嫌な思いをしてきた。

なんでこんな名前を付けたんだ!と親父に怒鳴ったこともあった。


親父は「大西洋てのは大きな海の名前なんだ。大西洋はすごーく広いんだ。お前には心が広い奴になって欲しいからそう付けた。」と、いわれたことがあったが小学生ながら重いと感じた。


知っていたから。自分の小ささを。


だが年を重ねるごとに、あだ名に対する嫌気はなくなり

呼ばれること自体はむしろ親しみを感じられてよかった。


今となっては叶わないが、親父に謝りたい気持ちでいっぱいだった。

もらった名前には文句しか言わなかったし、広い心も持ち合わせていなかったから。


俺が言うのもおかしな話だが、親父の心はそれこそ海のように広かったから、

きっと許してくれるだろうとは思っていた。

だけどしっかり口にして謝りたかった。そして礼を言いたかった。


親父は戦争で亡くなった。

その事実は親父と仲の良かったという同じ隊の人から直接伝えられた。

当時の俺からすれば知らない人で、そんな人に親父が死んだと伝えられても信じる気にはなれなかった。

けれど、親父に救われた事、親父はすごかったということを話しながら、涙を流すその人を見ていると、まぎれもない事実なんだと感じた。

そのひとは一呼吸置くと俺の目を見てこういった。

「大西洋一君。君のお父さん、海斗が最期に言った言葉を伝えるよ。」


俺が死んでも息子がいる。あいつはきっと俺より偉大な男になるぞ。日本を背負う偉大な男に。


俺はただひたすら泣いた。声をあげて泣いた。

はにかみながら、笑ってそう言う親父が想像できたから。

俺なんかを誇って周りに自慢するそんな親父が想像出来てしまったから。





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