第2-4萌
……………
菜美「今日はほんとに楽しかった」
誠(俺を辱めたからな………)
俺達は、ホテルを後にした。
何か、もう………
恥ずかしくて死にそう。
俺と菜美は、近くの公園へ向かい休憩をとった。はぁ、ため息ばっかり………だって、疲れた。精神的な意味で。
菜美「ありがとね♪」
不意にそんな言葉が聴こえた。
この笑顔はまやかし、この笑顔はまやかし、この笑顔はまやかし………。
菜美「映画を誠と見て楽しかった」
ここで、菜美の意外に大胆な所が見えた。
意外に可愛いところも………いや、まやかし。
まやか……………
菜美「初めてメイド喫茶に入った時は、すごく恥ずかしかった」
そうには見えなかったが……
菜美「誠の為に、メイド服を着たときも本当に恥ずかしかった」
うん。確かに、もじもじしてた。
菜美「でも、すごく楽しかった。誠と一緒だったから」
っく!!!この笑顔もまやか…………し。だけども………やっぱり可愛い!
男の弱点。それは、女の子の笑顔だということが良く分かった。
誠「俺も、すごく楽しかった」
本心の言葉。今日は充実した一日だった。
一日リア充になれて、ほんとに良かった。
菜美「うん♪帰ろっか♪♪」
笑みでそう答えた。
勿論、俺も笑みで返した。
???「おい」
さて、帰ろう帰ろう。
???「待て、っつってんだろうが!」
考えた。絡まれる予想はしてたけど、今は午後四時だよ?完全に油断してた。
誠「僕達に何か用ですか?」
まぁ、定番な質問だろう。
???「良い女、持ってんじゃねぇか」
菜美「ビクッ」
絡んできた相手は三人。皆、???、だったから、分からなかったと思うけど。
とりあえず、不良A君、不良B君、不良C君。皆、ゴツい。
これ以上、サブキャラの説明は要らねぇだろ。
文字数の無駄だ……………
不良A「こんな男、捨てて俺達と遊ばない??」
菜美「い、いや………」
ロリコン共め。
さて、選択肢はいくつかに分かれている。
選択肢1:一人で逃げる
選択肢2:菜美と一緒に逃げる
選択肢3:菜美を逃がして勇敢に闘う。
選択肢1は、ありえない。そんな薄情な男じゃない。
選択肢2は、多分、追いつかれて意味がないと思う。
選択肢3は、勝てる自信が全くない。
誠「頼む、見逃してくれ」
選択肢4の命乞い。
不良B「だっせ~~女の前で頭下げやがった」
あぁ、ダサい。惨めで意気地なしだ。そんなことは、頭の悪い俺だって分かってんだよ。
菜美が傷つくより、100億倍ぐらいマシだ。
誠「頼む」
俺は、深深く頭を下げた。
菜美「誠…………」
怯えきっていて、涙を浮かべている。
ゴメン………俺が弱いばっかりに。
不良C「やだね~~お前を打った押して、女を頂く」
誠「菜美逃げろ!!!」
俺は声を張り上げてそう言った。
菜美「で、でも…………!」
誠「頼む!お願いだ!逃げてくれ!!!」
もう………嫌なんだ!!!
女の子の悲しい顔を見るのが、一番辛いんだ!!!
もう、見たくない!
スタッ!
菜美は無言で踵を返した。
雫を目に浮かべ、走り去ると同時に、少し雫が瞳からこぼれ落ちた。
ゴメンな…………その言葉で胸がいっぱいだった。
不良A「待て!!」
不良B「ほっとけ」
そうしてくれると、ほんとにありがたい。
不良C「逃がした罰、しっかり償ってもらう」
誠「望むところだ!!!!!!!!」
三対一。勝てる訳もなく…
パンチは顔面に、キックは腹部に……………
もう、どんだけ浴びたか分からない。
唇は切れていて血の味しかしない。
痛みの感覚すら消えてる。
視界は、ぼやけて視野が見にくい。
ハァハァ…………………
せめて、一発ぐらいは殴りたい。
不良B「こいつ…………まだ、立てるのか?」
立ってる感覚すら分からない。
クラクラ……して………バタッ
俺は倒れた。今は、ずっと、天を見る事しか出来ない。
不良C「とっとと、ずらかるぞ」
不良共は何処かに去っていった。
不良共が消えてから少しして………菜美が現れた。逃げたんじゃなかったのか………
菜美ほすぐ近くまで来て、ゆっくりとしゃがんだ。
髪がじゃまして、菜美の顔が良く見えない。
けど、菜美の瞳にはたくさんの雫を浮かべ、ポロポロと落ちていることが良く分かった。
その落ちた雫が俺の額に滴る。
泣かせてしまった。あんなにも誓ったのに………
女の子を泣かせてしまったのだ。
誠「泣かないで」
菜美「ゴメンなさい…………私のせいで」
誠「なかないで」
俺は、繰り返し言った。
お願い、泣かないで。心でもそう願った。
心が通じたのか、菜美は服で、ゴシゴシと涙を拭った。
そして、菜美はゆっくり立ち、俺に背を向けた。
夕日がバックだと凄く絵になるな。
菜美「ありがと♪とってもカッコ良かったぞ♪♪♪♪」
振り返り、髪が気持ちの良い風でユラユラ揺れて、満面な笑みでそう言った。
疲れも、痛みも、苦しみも………全て、吹き飛んだ。
その笑顔を見るだけで、頑張れる。勇気が出る。
その笑顔を見てしまったおかげで、菜美のことを不覚にも世界で一番可愛いと思ってしまった。