表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第2-4萌

……………




菜美「今日はほんとに楽しかった」




誠(俺をはずかしめたからな………)


俺達は、ホテルを後にした。


何か、もう………


恥ずかしくて死にそう。


俺と菜美は、近くの公園へ向かい休憩をとった。はぁ、ため息ばっかり………だって、疲れた。精神的な意味で。




菜美「ありがとね♪」


不意にそんな言葉が聴こえた。


この笑顔はまやかし、この笑顔はまやかし、この笑顔はまやかし………。




菜美「映画を誠と見て楽しかった」


ここで、菜美の意外に大胆な所が見えた。


意外に可愛いところも………いや、まやかし。


まやか……………




菜美「初めてメイド喫茶に入った時は、すごく恥ずかしかった」


そうには見えなかったが……




菜美「誠の為に、メイド服を着たときも本当に恥ずかしかった」


うん。確かに、もじもじしてた。




菜美「でも、すごく楽しかった。誠と一緒だったから」


っく!!!この笑顔もまやか…………し。だけども………やっぱり可愛い!


男の弱点。それは、女の子の笑顔だということが良く分かった。




誠「俺も、すごく楽しかった」


本心の言葉。今日は充実した一日だった。


一日リア充になれて、ほんとに良かった。




菜美「うん♪帰ろっか♪♪」


笑みでそう答えた。


勿論、俺も笑みで返した。




???「おい」


さて、帰ろう帰ろう。




???「待て、っつってんだろうが!」


考えた。絡まれる予想はしてたけど、今は午後四時だよ?完全に油断してた。




誠「僕達に何か用ですか?」


まぁ、定番な質問だろう。




???「良い女、持ってんじゃねぇか」




菜美「ビクッ」


絡んできた相手は三人。皆、???、だったから、分からなかったと思うけど。


とりあえず、不良A君、不良B君、不良C君。皆、ゴツい。


これ以上、サブキャラの説明は要らねぇだろ。


文字数の無駄だ……………




不良A「こんな男、捨てて俺達と遊ばない??」




菜美「い、いや………」


ロリコンどもめ。


さて、選択肢はいくつかに分かれている。


選択肢1:一人で逃げる


選択肢2:菜美と一緒に逃げる


選択肢3:菜美を逃がして勇敢ゆうかんたたかう。


選択肢1は、ありえない。そんな薄情な男じゃない。


選択肢2は、多分、追いつかれて意味がないと思う。


選択肢3は、勝てる自信が全くない。




誠「頼む、見逃してくれ」


選択肢4の命乞いのちごい。




不良B「だっせ~~女の前で頭下げやがった」


あぁ、ダサい。みじめめで意気地なしだ。そんなことは、頭の悪い俺だって分かってんだよ。


菜美が傷つくより、100億倍ぐらいマシだ。




誠「頼む」


俺は、深深ふかぶかく頭を下げた。




菜美「誠…………」


怯えきっていて、涙を浮かべている。


ゴメン………俺が弱いばっかりに。




不良C「やだね~~お前を打った押して、女を頂く」




誠「菜美逃げろ!!!」


俺は声を張り上げてそう言った。




菜美「で、でも…………!」




誠「頼む!お願いだ!逃げてくれ!!!」


もう………嫌なんだ!!!


女の子の悲しい顔を見るのが、一番辛いんだ!!!


もう、見たくない!




スタッ!


菜美は無言できびすを返した。


しずくを目に浮かべ、走り去ると同時に、少し雫がひとみからこぼれ落ちた。


ゴメンな…………その言葉で胸がいっぱいだった。




不良A「待て!!」




不良B「ほっとけ」


そうしてくれると、ほんとにありがたい。




不良C「逃がした罰、しっかりつぐなってもらう」




誠「望むところだ!!!!!!!!」


三対一。勝てる訳もなく…


パンチは顔面に、キックは腹部に……………


もう、どんだけ浴びたか分からない。


唇は切れていて血の味しかしない。


痛みの感覚すら消えてる。


視界は、ぼやけて視野が見にくい。


ハァハァ…………………


せめて、一発ぐらいは殴りたい。




不良B「こいつ…………まだ、立てるのか?」


立ってる感覚すら分からない。


クラクラ……して………バタッ


俺は倒れた。今は、ずっと、天を見る事しか出来ない。




不良C「とっとと、ずらかるぞ」


不良共は何処どこかに去っていった。


不良共が消えてから少しして………菜美が現れた。逃げたんじゃなかったのか………


菜美ほすぐ近くまで来て、ゆっくりとしゃがんだ。


髪がじゃまして、菜美の顔が良く見えない。


けど、菜美の瞳にはたくさんの雫を浮かべ、ポロポロと落ちていることが良く分かった。


その落ちた雫が俺の額にしたたる。


泣かせてしまった。あんなにも誓ったのに………


女の子を泣かせてしまったのだ。




誠「泣かないで」




菜美「ゴメンなさい…………私のせいで」




誠「なかないで」


俺は、繰り返し言った。


お願い、泣かないで。心でもそう願った。


心が通じたのか、菜美は服で、ゴシゴシと涙をぬぐった。


そして、菜美はゆっくり立ち、俺に背を向けた。


夕日がバックだと凄く絵になるな。




菜美「ありがと♪とってもカッコ良かったぞ♪♪♪♪」


振り返り、髪が気持ちの良い風でユラユラ揺れて、満面な笑みでそう言った。


疲れも、痛みも、苦しみも………全て、吹き飛んだ。


その笑顔を見るだけで、頑張れる。勇気が出る。














その笑顔を見てしまったおかげで、菜美のことを不覚にも世界で一番可愛いと思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ