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プロローグ:境界線のエチュード


 銀河帝国の朝は、人工太陽の規則正しい光によって強制的に幕を開ける。

 エルシエラは、絹の寝具の中で微かな溜息を吐き、重い瞼を持ち上げた。

 視界に飛び込んできたのは、昨日と何ら変わらない、豪奢を極めた天蓋だ。

 鏡の中に映る自分は、相変わらず「宇宙一」と称される完璧な造形をしている。

 銀糸を紡いだような髪をメイドたちが整え、鳶色の瞳に虚無が宿る。


「姫様、本日の外交スケジュールでございます」


 無機質なメイドの声が、エルシエラの心に冷たい石を投げ入れた。

 帝国第二皇女という肩書きは、彼女にとって、重すぎる装飾品に過ぎない。

 窓の向こうには、厚い大気層に守られた穏やかな王都の景色が広がっている。

 だが、彼女が求めているのは、そんな守られた温室の平穏ではなかった。

 あの光の届かない宇宙の深淵、名もなき星々の息遣いを感じたかった。


「……ねえ、この鳥籠の外では、どんな風が吹いているのかしら」


「風、でございますか? 王宮の空調は常に最適に保たれておりますが」


 メイドの噛み合わない返答に、エルシエラは力なく微笑むしかなかった。

 自由を望む心は、この星の重力に縛られ、日々少しずつ削られていく。

 淑やかな皇女を演じながら、彼女の指先は密かに、地図をなぞっていた。

 いつか、この場所を捨てて飛び出すための、心の地図を。


 一方、帝国の監視網を嘲笑うかのように、アステロイド・ベルトの影。

 巨大な宇宙海賊船のブリッジで、カイザルは安物のコーヒーを啜っていた。

 かつての王子としての気品を、荒々しい革のジャケットで覆い隠して。

 周囲では、強面の海賊たちが騒がしく計器を叩き、冗談を言い合っている。

 彼らはカイザルの冷淡な面に怯えつつも、その背中に絶対の信頼を置いていた。


「船長、次の獲物は帝国軍の輸送艦で決まりだな?」


「……いや、あんな鈍重な奴らは面白くない。もっと、血が滾る獲物を選べ」


 カイザルはモニターに映る帝国の紋章を、冷めた目で見つめた。

 型に嵌められた王子の椅子を弟に譲ったのは、退屈への嫌悪ゆえだ。

 支配も、服従も、この広大な宇宙の前では滑稽な儀式にしか思えない。

 彼はただ、誰にも縛られない「個」として、星の海を泳ぎたかった。

 だが、その心にも、どこか埋まらない空白があることを彼は知っている。


 一人は光り輝く檻の中で、一人は暗い自由の海の中で。

 互いの存在すら知らない二人は、同じ夜空を見上げ、同じ渇きを覚えていた。

 この静かな日常が、まもなく音を立てて崩れ去ることも知らずに。

 銀河の歯車が、ゆっくりと、しかし確実に回り始めた。



この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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