第三十九話 仮面
アストラル城の北門周辺。
レオナルド・アストラルは汗を流しながら木刀を握りしめ、正面に立つシュウスケを見据えていた。
半分が能面、半分が般若――異様な仮面が夕陽に照らされ、揺らめく。
「どうして……その仮面をつけている?」
「聞いてどうするのさ」
「あなたのような男が、なぜそんなものを……!」
レオナルドの問いに、シュウスケは短く息を吐く。
「理由を知るには……命がひとつ、足りないかもね ♪」
その声音には、冗談とも本気とも取れない重みがあった。
──刀が構えられる。
レオナルドの目には怒りと焦りが混ざっている。
「タコ包丁じゃなく、本気の剣で勝負してくれ!」
「……死ぬよ」
「構わない!」
風が吹き抜ける。
木の葉が舞い上がり、その一瞬の隙に――レオナルドの剣が突き出される。
しかし次の瞬間、シュウスケの姿が消えた。
「なっ……!? どこだ──」
背後。
冷たい金属音が鳴る。
「……戦う覚悟と、死ぬ覚悟は違うんだよ」
刃がレオナルドの喉元すれすれで止まる。
シュウスケの声は低く、淡々としている。
「俺は“命を奪う側”に立つことしか、許されなかった人間だ」
レオナルドは息を呑む。
「許されなかった……?」
仮面の奥から、微かに震えるような声。
「この仮面はね、“過去を忘れないため”につけてるんだ」
そして背を向ける。
「真実を知りたいなら……もっと強くなれ」
──その夜、
レオナルドは仮面の奥に見た“わずかな人間らしさ”が、脳裏から離れなかった。
⸻
一方その頃、城下町では――
アスカたちがスイーツショップ巡りをしていた。
「ちょっと待って! このパフェ高すぎない!?」
「世界の経済バランスが狂ってるだけ」
「説明しないで現実見せないでぇぇぇ!!」
ノヴァの冷静なツッコミ、ミライの突発購買、クレアの上品な立ち姿。
その賑やかさが、シュウスケの暗い影と美しく対になっていく。




