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メイキング  作者: せつぷらちなむ
第三章 アストラル城篇
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第三十八話 王の感謝と、城下町の休日

玉座の間。

静寂の中で、ルシアン・アストラル王はゆっくりと立ち上がった。


九足八鳥ろくろみシュウスケよ。そなたのおかげで、我が命は救われた。……この恩、決して忘れぬ。」


シュウスケは膝をつき、答える。

「……王の無事が第一。それだけです。」


玉座の横、レオナルド・アストラルは黙したまま拳を握っていた。

自分の剣は届かず、父の背を守れなかった。その現実が胸を刺す。


「……すまぬ、レオ。お前の心も、分かっておる。」

王の言葉に、レオナルドは頭を下げることしかできなかった。



謁見後の廊下。

「おい、シュウスケ。」レオナルドが呼び止める。

「……どうすれば、お前みたいに戦える? 父を守れるようになりたい。」


シュウスケはしばらく無言でレオナルドを見つめ――

タコ包丁を軽く回し、肩をすくめた。


「夜明け、北門。……遅れるな ♪」


レオナルドは一瞬目を見開き、そして深く頭を下げた。

「お願いします。」



その頃、城下町では――。


「じゃーん! 見て見て、ノヴァ! この帽子似合わない?」

「アスカ……それ、センスないよ?」

「いや! オシャレでしょ!?」


火野ミライはクレープ片手に笑い、クレアはアクセサリーショップの前で目を輝かせている。

アスカは財布を握りしめて頭を抱えた。

「うぅ……楽しいけど、メイキングの通貨ってリアル換算したらいくらなんだろ……?」

「知らない方が幸せよ」ノヴァが淡々と答える。


その時、通りすがりの人々の会話が耳に入る。

「最近、“八部鬼衆はちぶきしゅう”って名の連中が動いてるらしいよ。城の外でな……」

「またプレイヤー狩りか……。怖い世の中になったもんだ。」


ノヴァの目がわずかに光る。

「……記録完了。警戒レベルを引き上げます。」

「ちょっ、せっかくのショッピングなのに怖い話やめてよ〜!」アスカが叫ぶ。

「でもやっぱり気になるね……この“八部鬼衆はちぶきしゅう”って。」


笑いと不穏が入り混じる午後。

少女たちの穏やかな時間が、次なる嵐の前触れに過ぎないことを、誰も知らなかった。

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