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メイキング  作者: せつぷらちなむ
第三章 アストラル城篇
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第三十七話 北門の兄貴

アストラル城の北門。

静かな警戒線の中、九足八鳥ろくろみシュウスケが影のように立っている。

手にはタコ包丁。小さく光を反射させ、まるで悪戯な微笑みを浮かべているかのようだ。


「ふふ……今日も退屈はしなさそうだね」

シュウスケは小声でつぶやき、門の奥に潜む気配を探る。


――敵が姿を現した。

軽装の盗賊数名。しかし、リーダー格は特別だ。

鋭い目つきで、王を狙う姿勢を見せている。


「……ここで待ち構えるか」

シュウスケは体を沈め、敵が踏み込むのを待つ。


戦闘開始。

タコ包丁の刃先がひらりと舞い、敵の攻撃をかわす。

雑魚たちはあっという間に片付け、リーダー格との一騎打ち。だがしかし、一瞬にしてシュウスケの刃の餌食となった。


リーダー格が倒れ際、低く呻くように言う。

「敵を倒すには……まずは内部から……」


シュウスケは一瞬眉をひそめる。

「まさか……」


──静寂を破る、微かな足音。

王の背後で、黒い影が滑るように動く。

一歩、また一歩……刃先を握る手がわずかに光を反射する。


レオナルド・アストラルが気づき、慌てて王に目を向ける。

「陛下、後ろ──!」

しかし間に合わない。影は王のすぐ背後、あと一歩で距離を詰めている。


王は息を止め、肩越しに敵の気配を感じる。

「……っ、なに……?」

その手には冷や汗がにじむ。


──次の瞬間、シュウスケの黒い渦が体の周囲に現れた。


次元移動ワープ


体の一部を瞬時に移動させ、全身ごと王の背後へ。


王の背後、敵の刃が肩に届く寸前で、シュウスケのタコ包丁が鋭く振り下ろされる。

「……これで終わりだ」


敵の刃は空を切り、王は肩越しに危機から解放されたことを感じる。

「……はっ……!」息を吐く王。

視線の先には、影のように現れ、影のように去るシュウスケの姿があった。


レオナルドは呆然と立ち尽くす。

「なっ……まさか……!」


王の命は九足八鳥ろくろみシュウスケによって守られた。

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