第三十三話 東門決戦 火野ミライ vs 紅蓮カナメ
アストラル城の東門前。城の石畳に朝日が差し込み、金属の門扉を赤く照らしている。式典の開始に向けての人々のざわめきが遠くに聞こえる。
ミライが炎の玉を片手に握り直す。背筋を伸ばし、瞳に決意の炎を宿す。
門の向こう、クナイを構えた紅蓮カナメがにっこり笑った。忍装束を身にまとい、炎が周囲を赤く染める。
「ふふ、楽しみましょう、火野ミライ」
二人の間には緊張が張り詰め、石畳に影が揺れる。
「行くわよ!」ミライが炎の玉を放つ。
「受けてみなさい!」カナメはクナイを振り上げ、炎の結界を瞬時に展開した。
赤と橙の炎がぶつかり合い、光と熱が石畳を揺らす。火花が飛び散り、空気が熱を帯びる。
ミライは炎の弾を次々と操り、回転しながら攻撃を避ける。カナメもクナイの軌道を変え、連続で斬り払いを繰り出す。二人の技術は互角。
「やるわね…でも私も負けない!」ミライは足を踏み込み、炎の旋風でカナメを押し戻す。
「ふふ、熱いじゃない!」カナメも一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに笑顔を取り戻す。
東門前、二人の炎が交錯し、光と影の演舞が続く。
ミライの額に汗がにじむ。だが、冷静さを失わず、一撃一撃を正確に狙う。
「……このまま押せば、仕留められるかも」ミライは小さく息をつき、心を集中させる。
しかしカナメは一瞬の隙をついてクナイを振り回し、ミライの攻撃をかわす。
「まだまだ…楽しませてくれるわね、ミライ」
激しいぶつかり合いの中、ミライは火の玉を一点に集中させ、カナメのクナイの軌道を読んで炎の渦を作り出す。カナメは身をかわしつつも、思わず一歩後退する。
「くっ…!さすが…」ミライの胸に小さく燃える誇り。
ミライは深呼吸し、目の前の紅蓮カナメに再び集中する。二人の炎が、東門に新たな戦場の色を刻む――。