第三十二話 式典開始・王族登場
白く輝くアストラル城の大広間。50年目の設立記念式典が華やかに始まろうとしていた。城内には煌びやかな装飾が施され、四方の白の門には厳重な警備が敷かれている。
「ふむ……なかなかの光景だな」レオナルド・アストラルが眉をひそめ、アスカたちをチラリと見やる。
「こんな者たちに任せて大丈夫なんですかねぇ……」彼の声には、少しの疑念と悪態が混ざっている。
その傍ら、赤いドレスに身を包んだ王女ヴィオラ・アストラルが腕を組み、気だるげにため息をついた。
「お兄様、あの子たち……本当に大丈夫なの?」
「ああ、ヴィオラ。ただ、僕は少々不安だよ……」とレオナルド。彼女は微笑みを浮かべるが、目は鋭く、周囲を見下すような視線を送っている。
ルシアン・アストラル王がゆっくりと玉座に座る。銀色の髪に優雅な装束。柔和な笑みを浮かべながら、参列者に向けて手をかざす。
「皆々様、アストラル城設立50年目の式典に、ようこそお集まりいただきました。どうぞ、平穏にお楽しみください」
広間の空気が一瞬で凛とする。式典の華やかさと、警戒すべき緊張感が混ざり合う。
アキコたちは、城の四方を見渡す。
南門:才塚アスカ+ノヴァ
北門:九足八鳥シュウスケ
東門:火野ミライ
西門:クレア・ナイトフォール
ミライの目は、赤い炎の気配を敏感に察知する。
(……紅蓮カナメ、ここで来るのか……)
シュウスケは壁際からにやりと笑い、影のように周囲を観察する。
「ふふ、弟子たち、楽しませてもらおうか」
こうして、アストラル城護衛任務の幕は静かに上がった――華やかさの裏に潜む、影の気配と共に。