第二十九話 クレアの微笑み
ギルドを出て、街の小さな広場で休憩するアスカたち。
「ふぅ……やっぱり街は落ち着くなぁ」アスカが息を吐く。
「無理をしすぎるのも良くないわ」クレアが静かに水筒を差し出す。
アスカはその手を受け取りながら、思わずつぶやく。
「クレアって、いつも冷静すぎて……でも、こういう気遣いできるんだね」
クレアは柔らかく微笑むだけ。
「……たまには、少しでも安心できる瞬間があってもいいでしょう」
その微笑みに、ミライが興味津々で近づく。
「ねぇねぇ、クレアって戦闘中もあんなに冷静なのに、ちょっと笑ったりするんでしょ?」
「えぇ……小さな瞬間ですけど、あります」クレアは静かに肯く。
シュウスケが木の影からにやりと顔を出す。
「ふふ、弟子ちゃんたち、クレアの微笑みを見たら、戦意も上がるぞ」
「もう、からかわないで!」クレアは目を細めるが、ほんの少し口元が上がって笑顔になる。
アスカはスコップを握りしめ、クレアに聞く。
「どうして私たちのチームに加わってくれたの?」
クレアは真剣な目で答える。
「あなたたちの可能性を信じたいからです。共に歩めば、きっと大きな力になれる」
その言葉に、アスカは胸が熱くなる。
(クレアがいるなら、私ももっと強くなれる……!)
広場の片隅で、清代からの通信が光る。
「次の任務はアストラル城の護衛か。準備を怠るな」
アスカたちは顔を見合わせ、自然とうなずく。