第十九話 炎の舞姫、紅蓮カナメ
月影の廃坑奥、赤い炎が坑道を照らす。
アキコたちは慎重に進む。
「……ここ、なんだか熱い……」アスカが息をのむ。
「落ち着きなさい」ノヴァが冷静に応える。
坑道の先で、炎の渦が立ち上がる。
その中から現れたのは、忍装束をまとった少女だった。
赤髪を揺らし、クナイを手に炎をまとわせて立つ。
「九足八鳥……」
「…まぁまぁ…説明は後 ♪」
「ここは私の場所……通りたければ私を倒しなさい!」
クナイから炎の結界が発生。坑道をまるごと赤く染める。
「わっ……ここに入ったら……!」ミライが目を見開く。
「……挑発ね」ミライが応える。
アスカはスコップを握り、距離を置いて観戦。
「アスカ、ほどほどにね」シュウスケが影から囁く。
炎の中で、二人の炎使いが火花を散らす一騎打ち。
•紅蓮カナメはクナイで舞うように攻撃。
•ミライは炎の玉を放ち、舞う炎で応戦。
坑道は光と影、火と火のぶつかり合いで熱気が満ちる。
アスカはスコップで結界の端を削り、少しだけ援護。
シュウスケはからかうように見守り、時折小声で挑発。
「ふふ……面白くなってきたじゃないか♪」シュウスケの声。
「……負けない!」ミライの炎がさらに紅蓮カナメを打ち据える。
坑道の炎が揺れる中、紅蓮カナメのクナイが舞い、ミライの炎が跳ね返る。
「くっ……熱い……でも、ここで引くわけには!」ミライが息を荒くしながら応戦する。
そのとき、カナメの目が一瞬アスカの隣にいるシュウスケを捉える。
「……九足八鳥、覚えておきなさい。」
その瞬間、戦闘の勢いを止め、カナメは炎の結界の中から後退する。
火の粉が舞い散る坑道に、残されたのは息を整えるミライとアスカ、そして静かなノヴァだけ。
シュウスケは影から現れ、アスカに向かって軽く微笑む。
「まあ…大丈夫そうだね」
彼の余裕の態度に、アスカは少しほっとする。
ミライが肩で息をしながら振り返る。
「……やっぱり、ただの熱血キャラじゃない……」
「でも……負けてない!」炎を胸に抱え、再び気合を入れる。
アスカはスコップを握り直し、目を輝かせる。
「……この力をもっと伸ばす!次は絶対負けない!」
坑道に静寂が戻る中、三人は次の探索に向けて歩き出す。
遠くに見え隠れする黒い影――紅蓮カナメは、まだ物語の中で輝き続ける。