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アクトレコード  作者: せつぷらちなむ
第二章 月影の廃坑篇
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第十六話 謎の通信者・清代《きよしろ》

モンスターを倒した余韻に浸る一行。

アスカは進化したスコップを抱きしめながら、まだ信じられない様子だった。


「……わたし、本当にやれたんだ……!」


「調子に乗るなよ。修行はこれからが本番だ」

ノヴァが涼しい顔で言い放つ。

その横でミライは満面の笑みでアスカにハイタッチをしていた。


「でもさ! あんな大きな敵を倒したんだ。すごいじゃん!」


アスカはおずおずと手を合わせ――ぱちん、と小さな音が森に響いた。


そのとき。


――ピピッ。


耳の奥に、不自然な電子音が鳴り響く。

「えっ!? な、なにこれ!?」

アスカが慌てて周囲を見回す。


《通信着信:差出人不明》


視界にウィンドウが浮かび上がり、黒いシルエットのアバターが表示された。

輪郭はぼやけ、顔はまったく見えない。


「……聞こえるか?」

落ち着いた低い声が響く。


「ひゃっ……ひゃああ!? だ、誰ぇ!?」


「名は清代きよしろ。才塚アスカ。君の進化を確認した。だが――それはまだ始まりにすぎない」


「きょぉしろぅ…キョウシロウさん?」


シュウスケが木の枝から身を乗り出し、ニヤリと笑う。

「おいおい……怪しいやつの登場だね。一号ちゃん、こういうのは気を抜くなよ〜?」


「う、うん……」


清代キョウシロウの声は静かに続いた。


「キョウシロウではない。才塚アスカ。君の〈メイク〉は“物を作る”だけではない。本質は――“世界の形を再定義する”力だ」


「え、せ、世界!? ちょっと待って、話が急すぎるよぉ!」


「今はまだ器が小さい。だが、力を伸ばしたければ“月影の廃坑”に来い。君に必要な試練が待っている」


その言葉と同時に、ウィンドウが砂のように崩れ、通信は途切れた。


残された一行は沈黙する。


「……どう思う?」ミライが眉をひそめる。

「真偽はともかく、情報は本物かもしれない」ノヴァは冷静に結論づける。

「フッ……怪しいやつほど掘り出し物を隠してる。僕の勘だけど、弟子ちゃんたちにとって悪い話じゃないよね♪」シュウスケが肩をすくめる。


アスカはスコップを握りしめた。

胸の奥で、不安と同時に高鳴る期待。


「……月影の廃坑……行ってみるしか、ないよね」


こうして一行の次なる目的地が示された。

それは、さらなる力への扉か――それとも新たな罠か。

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