第十四話 森の奥で次なる試練
モンスターを倒し、森に一瞬の静寂が戻った。
アスカはまだスコップを握りしめ、息を整える。
「はぁ……はぁ……これが……進化したスプーン……!」
アスカの目は輝き、手に馴染む感触を確かめる。
「ふん、やればできるじゃない」
ノヴァが横で小さく笑う。
「でも、油断は禁物よ。森の奥にはさらに手ごわい相手がいるわ」
「ふっふーん、次はどんなのかなぁ♪」
ミライは目を輝かせながら、炎の玉を手のひらでくるくる回す。
「でもあんまり強いやつだと、アスカが心折れちゃうかもね〜」
その声に、シュウスケが木の枝から降りてきて、にやりと笑う。
「いやいや、弟子一号ちゃん。心配するな。僕が見守ってるから、森の悪ガキどももすぐ黙らせてやるよ♪」
アスカは少し照れながらも頷く。
「……はい、お願いします!」
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森の奥、光が届かぬ場所で、今度の試練が姿を現す。
巨大なツタに覆われた「森の魔獣」、その姿はゴーレムよりもさらに凶暴そうだ。
「うわぁ……これは……!」アスカが後ずさる。
「落ち着け。観察して弱点を見つけるのよ」ノヴァが冷静に指示する。
「よし、スコップの出番だね!」アスカは深呼吸して構える。
「ふふふ……ちょっと弟子ちゃんたち、ここは僕に任せな♪」シュウスケが軽く笑う。
魔獣が低く唸り、巨大なツタを振り回す。
アスカはスコップを振り上げ、ツタをかわしながら一撃を叩き込む。
その感覚に、体が自然と動く。
「おお……弟子一号ちゃん、さっきより動きがスムーズになってる!」
シュウスケが褒めるように言いながら、タコ包丁でツタの一部をサクッと切り裂く。
ミライも炎でツタを焦がし、ノヴァが弱点を指示する。
三人の連携が絶妙に絡み、アスカはスコップを振り続ける。
そして――ついに、魔獣は倒れ、森に勝利の静寂が訪れる。
「や、やった……! 今度は……もっと手応えあった!」
アスカは笑顔でスコップを高く掲げる。
「その調子だ、弟子ちゃんたち♪」シュウスケがにやりと笑い、肩を叩く。
「でも、次はもっと手ごわい奴が待ってるから、気を抜くんじゃないぞ〜」
「うん、絶対負けない!」アスカは胸を高鳴らせる。
(このスコップと仲間たちがいれば……どんな敵も乗り越えられる!)
森の奥に、まだ見ぬ試練の影。
――修行編は、これから本格的に動き出す。