第十三話 修行場のお試しボス戦!スプーン進化の時!
初心者クエスト「森の修行場」に挑んだアスカたち。
スライム退治を終えた矢先、巨大な“お試しボス”が出現し――。
森の奥から現れたのは、木の根をまとったゴーレム。
体長3メートル、腕は丸太のように太い。
「ひぃぃぃぃっ! な、なにあれぇええ!」アスカがガクガク震える。
「落ち着きなさい。これは“修行場ボス”――初心者が越えるべき壁よ」ノヴァが冷静に言い放つ。
「言うのは簡単だってばぁあああ!」
ゴーレムが腕を振り下ろす!
「ミライっ、避けて!」アスカの叫びに、ミライが炎をまとわせてカウンターを叩き込む。
しかし、硬い樹皮に弾かれる。
「くっそ、全然効いてない!」ミライが歯ぎしりする。
「火力不足ね……アスカ、あんたの出番よ」ノヴァの声が鋭く飛ぶ。
「む、無理だってぇ! スプーンだよ!? こんなデカブツに効くわけ――」
その瞬間、アスカの手の中のスプーンが光を放った。
「え、ちょっ……なにこれ!?」
スプーンの柄が伸び、金属音を響かせながら変形していく。
数秒後――アスカの手に収まったのは、鋭い刃先と頑丈な柄を持つ スコップ型の武器。
「す、スプーンが……進化した!?」
「おいおい、やるじゃないの弟子一号ちゃん!」シュウスケが木の枝から笑いながら見下ろす。
「な、なんか……振りやすい!」
アスカが渾身の力でスコップを振り下ろす。
――ドガァッ!!
地面ごと叩き割るような一撃に、ゴーレムがよろめいた。
「やった! 効いてる!」アスカが目を輝かせる。
「ほら、調子に乗ってもっと振り回せぇ♪」シュウスケが茶化す。
「の、乗せられてる気がするけど……えぇい、いっけぇぇぇ!」
炎の玉を放つミライ。
弱点を見抜いて指示するノヴァ。
そして、スコップで全力攻撃するアスカ。
三人の息がぴたりと合い、最後の一撃がゴーレムを粉砕した。
――ドォォンッ!
静寂の森に、勝利の余韻が広がる。
「や、やった……勝ったぁああああ!」アスカがその場にへたり込む。
「ふん、やればできるじゃない」ノヴァが小さく笑う。
「スコップ勇者、誕生だね!」ミライがハイタッチを求める。
スコップを握りしめ、アスカは胸を高鳴らせる。
(この武器と一緒なら……もっと強くなれる!)
こうして、アスカの“能力”がついに形を変えた。
――修行編は、まだ始まったばかり。