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第二十二章 試練の果てに

さきほどまで五十四名余の合格者と十九名の隊長たちで溢れ返っていた広大な講堂には、しんとした静寂が落ちており、その静けさを破ったのは、壇上に立つギルド職員だった。


「君たち四人は、ギルド上層部の判断により、ここに残された」


彼は声音を低くし、威厳を込めて講堂中に響かせる。


「――大型ブレード・ラプター討伐。この件において、君たち四人は他の合格者と比べ、はるかに高い貢献度を示したとギルド上層部は判断し、その功績と、ハンターとしての可能性を重く見ている」


俺は息を呑んだ。

(やったぞ!あの死闘が……ダンとの戦いが、仲間たちとの苦労が、こうして認められた)


職員は一拍置き、さらに続ける。


「……よって、君たちはここ『ハーバー・クラウン』を拠点とする五つの特務狩猟団に入団を許された。この特務狩猟団は、各島に根付く十九の狩猟団とは異なり、群島全域を守護する役割を担う」


クゥン、クゥン。

カイルの匂いが驚きと、少しの誇らしさに変わった。けれど緊張も強くなっている。僕には詳しくは分からないけど、きっと今は、とても大事なことが起きているんだ。


職員は真剣な口調で説明を続けた。


「彼らの務めは十九の島々への増援と支援、『ハーバー・クラウン』の治安維持、さらに群島を形成する十一の主要島における調査と報告。そして、ギルド評議会を通じ中央評議会へ繋がる――群島全体の均衡を司る任務だ」


「ハーバー・クラウンと十九の島々だけじゃなく、十一の主要島まで……群島全体を守護する役割とは、想像以上に重い任務だな」


深海神リヴァイア・オブリヴィオンへの復讐という目標は変わらない。だが群島全体を守るという使命の中でこそ、俺はもっと強くなれるかもしれない。


「この責任の重さに、身が引き締まるわ」

(私、レインも妹のために強くなりたかったけど……まさかこんな重大な任務を任されるなんて)


職員の説明が終わると同時に、扉が開き、重々しい足音とともに三人の隊長が講堂へ入ってきた。


先頭の男は白髪まじりの短髪に無精髭を蓄えた風貌。まさに歴戦の剣士という姿だった。


「俺はグレッグ・フォース、鉄牙隊の隊長だ!」


「カイル、リオ――お前たち二人を我が鉄牙隊に迎え入れることになったから、これからはよろしく頼むぞ!」


俺は、鋭い眼差しで二人を見据える。

(あの大型ブレード・ラプターを討伐した中心人物か……確かに、ただ者ではない気配を纏っているな)


「何十年も討伐されなかったブレード・ラプターを屠ったその手腕、見事! 我が隊でもその力を見せてくれ。期待しているぞ!」


その言葉に胸の鼓動が早まる。己の歩むべき道が、いま確かに定まった。


「こちらこそ、よろしくお願いします、隊長!」


リオと共に挨拶を交わすし、辺りを見渡すと、ケビンとレイナもそれぞれ、自分の隊長と向き合っていた。


「私はシルバー・グリーン、翠牙隊の隊長をしている」


「お、お会いできて光栄です、グリーン隊長!」


「そんなにかしこまらなくていいよ、ケビン君。私は、君の冷静な判断力と適応力を評価しているから!これからは、その力を翠牙隊で存分に発揮してくれ」

緑の外套をまとった隊長が静かに歩み寄り、ケビンの肩を叩いた。


「こちらこそ、よろしくお願いします!」


「私はアイスローズ・フロスト。ご存じの通り、白牙氷隊の隊長よ」


「は、はい! よろしくお願いします、フロスト隊長!」


「“はい”は一度でいいの、レイナ・クロス。あなたの意志の強さと美しい戦闘技術は我が隊にこそふさわしい。だからこれからは、その強さをもっと磨くために、全力で励みなさい!」

氷のように美しく冷徹な笑みを浮かべ、彼女と視線を交わす。


「はい、承知しました! フロスト隊長!」


「ええ、今度はうまく返事ができましたね」


他の二人と互いに別れの挨拶を済ませ、俺とリオは、グレッグ隊長に導かれ、鉄牙隊の拠点へと向かう。


「いいか、忘れるなよ二人とも! 狩猟団はただ狩りをする集団ではない。仲間を護り、群島を護り、そして己の魂を護る者の集いだ。仲間との絆こそが、俺たちの力の源なんだ!」


少し間を置き、隊長は真っ直ぐに俺たちを見据えた。


「お前たちにはランスロット、セリナという優秀な仲間がいる。その二人と共に戦い、共に成長しろ! いいな!」


「はい! 隊長!」


俺は、その言葉をしっかりと胸に刻む。

まだ会ったことのない仲間たち――ランスロットとセリナ。どんな人物なのか。不安もあるが、隊長の言葉を聞くと、きっと素晴らしい仲間なのだと思えた。


ワンワン

新しい人たちの強くて、優しそうな匂い。

カイルも嬉しそうだし、きっといい仲間になれる。


やがて、正面には、大きな牙の紋章が刻まれた圧倒的な威厳を放つ、鉄牙隊の拠点が目の前に現れた


この建物を前にして俺は、歴史の重みを感じずにはいられなかった。

「ここから、俺たちの新たな日々が始まるんだな、リオ!」


「そうだな……カイル! いよいよ俺たちの新しい日々が始まるんだ!」


この新しい家で、ダンとの約束も、深海神への復讐も――俺のすべてが動き出す!


試練は終わり、鉄牙隊の仲間として群島を守護する使命を背負うカイルの真の戦いが、いま始まろうとしていた。

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