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「えい! こんにゃろ!」と言ってくままるに追いついたみぞれはくままるに飛びかかりました。
二人は泉の近くで、じゃれ合うようにして、ぽかぽかと相手のことを叩きながら、倒れ込みます。
そんなけんかをしている小さな二人を見て、作りものの森の木々たちも笑っています。
泉の透明な水には青色の空が映り込んでいます。とても綺麗です。
その鏡のような青色の湖の水面に、なにがが映り込みます。黄色に光っているなにか。それはどうやら舟のようでした。三日月のような形をした舟です。
「あ、くままる。舟がありますよ! お月様みたいな舟です」とみぞれは黄色の舟を見つけて言った。
「舟に乗るの?」とくままるは言った。
「はい。乗りましょう! 乗ってみたいです!」
みぞれはそう言うと、くままると一緒に、黄色に舟のある泉の岸辺のところにまで行きました。
二人がそこにたどり着くと「なにかわたしにごようですか?」と黄色い舟が言いました。
「あの、お舟に乗ってもいいですか?」とみぞれは言いました。
すると黄色い舟は「いいですよ。どうぞどうぞ」とふふっと笑ってみぞれとくままるに言いました。
「どうもありがとう」と二人は言って、黄色い舟に乗りました。
すると黄色い舟は勝手にゆっくりと森の泉の上を動き始めました。
みぞれは作りものの森の美しい風景を、くままると一緒にすこし体を乗り出すようにして、大きな瞳をきらきらとさせながら眺めました。