1 おはよう。子くまさん。
くまくまくま。
おはよう。子くまさん。
ある日、小さな女の子は夢を見ました。とても幸せな夢を。いつまでも、いつまでも、眠ったままで、ずっと見ていたいとも思うような、とても幸せな夢を。
その夢の中で、小さな女の子は小さなぬいぐるみの子くまさんと出会いました。
小さな女の子と小さなぬいぐるみの子くまはお友達になりました。
そして二人で夢の中を冒険することにしたのです。
小さな女の子の名前はみぞれ。
小さなぬいぐるみの子くまの名前は、くままる、と言いました。
作りものの森の中
「こっちにはいったいなにがあるんですかね?」きょろきょろと森の中を探索しながら、みぞれは言いました。
みぞれのいる森は少し変わった森です。どこか変なのです。全体的に丸っこい。なんだかすべてがぬいぐるみのような布と綿で、作られているような森でした。
「食べものか、飲みものがあると嬉しいです」みぞれはひとりごとをいいながらてくてくと森の中を歩いていきます。
本当はさっきまでお友達の子くまのぬいぐるみのくままると一緒に森の中を歩いていたのだけど、けんかをしてしまって、離れ離れになってしまったのでした。
でもそのことをみぞれは全然気にしてはいないようです。(だって、くままるが悪いんですから、いいんです)