Ep9. 親
地下都市の更に下に位置する場所に兵器工場がある。この都市最大の広さを誇っており、リンのバトルスーツや人型兵器の開発を手がけている。
「これはこれは、アマミヤさんではないですか...いつお戻りに...?」
「数時間前くらいかな?チャチャ...お前ちゃんと飯食ってるのか?やつれてるぞ?」
「Eveが提案してくれた...これを作らないと...へへへッ...」
ーーーチャティ・チャコルスキー 通称チャチャ。 兵器開発一旦を任せている男だ。コイツに頼めば、基本なんでも作ってくれる。不眠不休でやるのが、問題だが...
「それが終わったら有給を取れ、まだ使ってないよな?...使えなくなるぞ?」
「有給なんていりませんよ...?仕事とはいえ、趣味のようなものです...へへへっ...」
ーーー...根っからの社畜、てところか。早死するぞ...
「趣味をするのは構わないが...それはリンがお前に依頼した「仕事」だ。寝れないなら俺が寝かせてやろうか...?」
「ヒェッ... だ...!大丈夫です...!すご...く、眠くなってきました...!」
ーーー見覚えのある男の登場だ... チャチャ、一体何をさせられたらここまで怯えるんだ。
「久しぶり...親父。」
「よぉ!デカくなったなぁぁぁ!!!いい面になりやがって!」
「やめろぉ!頭クシャクシャするなって!」
雨宮善道(アマミヤ ゼンジ) 路地裏で倒れていたリンを保護した男。名付け親でもある。この地下都市の全責任者だ。
「息子と久々の再開なんだぞ?このくらいさせろよぉ〜。」
「1回離れろ...暑苦しい...」
ーーー大勢に見られてるんだよ...恥ずかしくないのか?コイツは。
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住民区。地下都市に住む者は皆そこで暮らしている。見た目は巨大な団地だ。そこの一軒がゼンジの家である。3人はそこで夕食をとっていた。
「...で?ミサキはなんでここにいるの?」
「ゼンジさんに入れてもらったの!ご飯食べないか?、て。」
「じゃあ食べたらお家に帰れよ?」
「お前なぁ...彼女にそれはないだろ...これから家族になるかもしれない人なんだぞ?」
「ちっげぇよ!彼女じゃねぇ!友達だ!」
「私!頑張ります!お父様!」
「息子を頼んだぞ!ミサキちゃん!」
ーーー勘弁してくれ...
話は進み、本題へと入った。
「Eveが割り出した場所に偵察部隊を送ったが誰1人帰ってこなかった。情報はゼロだ。」
「全滅したか...あるいは捕虜になったか。まぁ、後者だろうな。最低でも1人は生け捕りのはずだ。恐らく今頃尋問を受けてる。ここ(地下都市)がバレるのは時間の問題だ。...親父はどうしたい?」
「言わなくてもわかるだろ?全員助ける。それに、息子に手を出した連中だ。黙っていられるわけない。」
ーーー全員死んでたらどうするんだよ。けど、ほっといてもここが血の海になる。
「親父...感情的になるのもいいけど。策無しに行っても無駄死にするだけだ。それに偵察部隊は精鋭だったんだろ?俺が行くよ。」
ーーー自分のケツは自分で拭かないとな。この糞は、綺麗に落ちるのだろうか...
「リン...お前はもう充分都市の...いや、ここにいる人達の為に働いてくれた。この恩はいつ返せばいい...今しかないだろ?「三本矢」の1人として...お前の父として... だから今回は、お留守番だ。」
ーーーもしかしてカッコつけてるのか?ミサキが寝てくれて良かった...こんなセリフ恥ずかしくて聞かせられない。まて...俺も...中々のセリフを。忘れよう。忘れられないが、忘れたことにしよう!
「はいはい...わかったよ。俺はもう寝るから...後は任せた。」
リンはミサキを寝室に運び、寝かせた。
ーーー悪いな親父...俺は今、反抗期なんだ。