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創世のEve  作者: Un.K.n0̸wn___
第1章 不穏な空気
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EP.2 黑狐

僕は、屍の上を歩き続けている。人の死があるから。僕は生きているんだ。そんな生活に耐えられなかった。なんどもなんども...この世界から消えようとした。けれど、無駄だった。そう、怖かったんだ...死ぬことが...いや、怖かったのは死ではなく、死までの道のりだ。痛みはそうだが... 1番はそこじゃない。それより別の何か... だがそれがわからない。


この世界に生まれてから、ずっと考えてきたことがある。自由とは何なのかを... 残念ながら、中学になった今でもわからなかった。そもそも、親の顔すらまともに見たことがない... 母は僕を産むと同時に亡くなったと聞いた。父はテレビやニュースでしか見たことがない。なぜ僕に会ってくれないの... なぜ、僕の人生なのに、好きにさせてくれないの... 親にとって子とは一体...なに?


こんな僕にも反抗期はあった。中学の入試問題を白紙で提出したのだ。だが、結果は合格。行きたかった中学の入試問題は満点で出したと確信していた。だが、不合格。 原因は...父だ。それ以外考えられない。恐らく...いや、確定で賄賂だろう。何がしたいんだ...



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


中学入学から半年が経った。


ーーーこの目立つ黒いセダン...人に見られる度に不快に思う... 他とは違う特別な人間だと...自分が思わなくても、そう思っていると他者が感じている。そんな気がした... ただ、普通に生きたいだけなのに...



執事「レン様、もう学校には慣れましたか?」


レン「なんでそんなことを聞くの...?」


執事「単なる興味ですよ〜!私もレン様のように頭が良ければ、いつか一緒に仕事ができるかと!」


ーーー僕があそこの中学入れたのは、自分の力では無い。皮肉のつもりなのかな。...いや、知らされてないのだろう。こいつは、頭が悪いから... けれど、悪い奴ではない。


レン「そうだね...!その時がきたら...父さんを超える会社を作ろう...!」


執事「え...?レン様は会社を継がないんですか!?」


ーーーこいつも結局そっち側の人間か...


執事「私はいいと思いますよ!」


レン「え...?」


執事「レン様にはお話してませんでしたね!実は私には、レン様と同じくらいの娘がいましてね?夢についてよく話すんですよぉ!」


ーーーこの男の話はいつも長い...割愛...


執事「...で!私が何を言いたいかなんですけど!この世に不可能なんてないんです!諦めなければ夢は叶う!、てね!」


レン「ハハハッ、君はほんとにバカだね。何を言いたいのかさっぱりわからない。」


執事「私結構真面目に話してたんですけど!」


ーーーありがとう。君のような人がいるから、僕は前を向いていられるのだろう。


執事「今日も寄ってきます?マッグ!今期間限定のバーガーがありまして!美味しいらしいんですよ!」


レン「そうだね...!こういう時でしか、食べられないしね。寄ってくれるかい?」


ーーー優しいんだね。君は... 僕とは違う... 君ならきっといつか...


執事「レン様!伏せ...!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕は気づけばセダンに寄りかかっていた。気絶していたみたいだ。


ーーーだれ...この人? 黒狐のマスクをしてる... 返り血が凄い... 僕を...殺しに...?


レン「だ...れ...?僕を...殺すの...?」


リン「俺は...君をぉ...助けに来た!正義のヒーローだ!名前は...」


ーーーヒーロー...? どちらかと言えば...ヴィランだよね...


リン「名前は...無いんだ...最近始めたばっかりでね。考え中...」


レン「そうな...んだ...」


ーーーヒーローなんて口実...なんだろう。この人は何か目的があってここにいる。僕を助ける為じゃない。

...!


近くには先程まで会話をしていた執事の姿があった。息がない...死んでいる。



レン「また...死んだ...僕の為に...また死んだ...」



ーーーねぇ...君の夢はなに...? なんで夢が叶うなんて笑顔で言えたの... 教えてよ...


リン「君...名前は?」


ーーー僕の名前なんて聞いてどうする...


レン「ノバラ...レン。」


ーーーなんで僕は...この人に名前を...


リン「レンくんかぁ... あ、そうだ。腹減ってないか?」


ーーーなんでそんなことを聞くんだ...


レン「お腹...空いてる...」


ーーーなんで僕は答えてるんだ...


リン「レンくん! マッグ行こうぜ!今期間限定の...」


ーーー ...! 行きたい...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リン「ボンボンも...モグモグ... 庶民と同じもの...モグモグ...食うんだな...モグモグ...うめぇな!これ! そういえばなんでハンバーガー2つも買ったんだ?」


レン「別に... 僕が食べるわけじゃない...」


リン「ふ〜ん... あの死んだ黒服の人にあげるのか?」


ーーーなんで...わかったんだ。


レン「違う...違うよ...」


リン「なんで嘘なんて付くんだ? バレバレだぞ? 理由も無く、涙が出る人... ほとんど、いないし。」


...溢れるばかりの涙が目から流れ出していた。


ーーー...涙? ...! いつから... 僕は心を塞いで生きてきた。なのに...どうして... そうか... そういうことか...


レン「ぼ、僕は...」


リン「無理に話さなくてもいい。辛い気持ちはわかる。誰だって、好きな人が死んだら悲しむ。」


レン「ち、ちが...!」


ーーー違うんだ!そうじゃない。僕が流しているこれは、悲しいからじゃない。嬉しいんだ...!


リン「わかった、て... 落ち着け... 俺は便所に行ってくる。 後で話してくれ。」


そこから...黑狐が帰ってくることは無かった... それよりも先に迎えが来たからだ。 僕は...別れの挨拶くらいはしたかった。だが、周辺を探してもその姿は確認できなかった...


ーーー別れの挨拶...僕は何を考えているんだ... 違う!そんなもの...してたまるか...! 僕は出会ったんだ! 初めて同じ目線で会話ができる人を...! 無名のヒーローか... 絶対に見つける!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


黑狐を見つけるのは、そこまで苦労はしなかった...


レン「今から探して欲しい人物がいるんだ。頼めるかい?」


セバス「かしこまりました。」


セバスチャンは仕事が早い。それに物分りがいい。僕が知る限り、ここまで使える人材は知らない。


レン「髪の毛は白髪...年齢は僕と同じくらいだと思う。関東地方を中心に探してくれ。くれぐれも内密で頼むよ。」


セバス「かしこまりました。」


レン「あと、別件だけど...これを、父に持って行ってくれ。」


セバス「...! これは...」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どこにでもありそうな県立中学校に僕は辿り着いた。...ここで黑狐が誰なのか、答え合わせできる。


ーーーここ、普通の学校...だよね。偏差値もそこまで高くない。これには、なにか意味があるのかも... いや、今はよそう... やっと会えるんだ。僕のヒーロー。


レン「...こちらに転校して参りました。野薔薇 蓮(ノバラ レン)です。よろしくお願いします。」


クラスの生徒は僕がノバラ家であることが分かると...目をキラキラと輝かせる者... 憎しみを抱く者がこちらを見ていることが分かった。だが1人は違った。 日本人にして白髪... 女性のような顔立ち...


ーーーわかるよ...君なんだよね。雨宮凛(アマミヤ リン)くん。


こうして僕は、黑狐と再開をすることになった。

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