もう二度と
高野が杉野に近づく。教室であるため、生徒皆が談笑している。
勘の良い杉野なのであるならすぐに気がつくと思ったがなかなか高野に気づかない。
肩に手を乗せ、
「さっきはありがとうな。 それ、本?」
と少し息があがりつつ、杉野に聞いてみる。返事がないと思えば、杉野は寝ていた。
本を内容が気になった高野は本をとり上げようとする。だが、本を読もうとしても、謎に力が入っており、取りづらい。それに気がついた杉野は、少しキレ気味で、杉野はナマケモノのようにのっそりと起き上がる。杉野は本を机にかけてあるバックに本を急いで隠す。
「保健室から戻ってきたんだな。体調はどうだ? 無理すんなよ」
「さっきはありがとう。 体調はまぁまぁかな 体調は良くなってる。 てか、なんの本を読んでたんだ?」
「漫画だよ、漫画。それより、この後のホームルームが終わったら、ラーメン食いに行こうぜ」
心做しか、普段の杉野とは違う。もっとハキハキと喋るはずだ。目が戸惑っている。
歯に衣着せぬ杉野が懸河の弁ではなく、落ち着いて恥ずかしそうに喋る。
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放課後、高野は杉野おすすめのラーメン屋さんに向かう。
「最近、意趣返しとして殺人があったらしい。 最近物騒だような、強盗、拉致、そして殺人。」
杉野は下を見続けており、何も言葉を発せない。杉野は大きく息を吸い、心を落ち着かせ、
「俺、小説家になりたいんだ。」
「え?」
「あ、ごめんごめん。いまのは忘れて。」