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雪にソーダ水  作者: ルカ
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可哀想な自分

美雨は母親のいつも怒ったような、不機嫌なような、なんとも言えない顔が嫌いだった。


だから、わざと嫌われるような態度を取ったりする事もあった。


叱られ嫌われる事で、可哀想な自分になるのも好きだった。


美雨が住んでいる所は自然が多い所だったので、よく弟や友達と外で遊んでいた。


ふと、遊んでいる時に


「家出した時はこの草むらの中で住めないか?」


「この古い小屋は誰も住んでいないのだろうか、もしそうなら、ここで寝泊まりする事は出来ないだろうか」


と、考えながら遊ぶ事がよくあった。


そんな事を考えている時はワクワクするし、かわいそうな自分になる事を楽しみにもしていた。


母親や家族を心配させたい。


いろんな意味で後悔して欲しい。


そんな思いからだったのかもしれない。


母親とはこんなものなのか。


母親とはみんなどんなものなのか。


小さい頃、仲の良かった友達の家に泊まりに行ったことがあったが、友達が夜「お腹が空いて眠れない」と母親に言うと、「リンゴをむいてあげようね」と言ってくれた。


衝撃的だった。


「リンゴをむいてあげようね。」


そんな優しい微笑みで


そんな優しい話し方で


そんな事を言われた事はなかったから。


ある日、弟に「なんでかーさんは、ねーちゃんばっかに怒るんだろう。」と言ってきた事がある。


やはりか…。やはりそうだったのか…と。


美雨はまたそんな可哀想な自分にドキリとし、不思議な気持ちになるのだった。

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