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魔法少年☆ヒロユキ

作者: 明須久

 ピリカル・パリカル・マジカル・スパイス☆ ……変――身――!!!

 

 間一髪。魔人・イカヒドラの触手は空を切り、ヒロユキは幼馴染のサクラを小脇に抱えたまま跳躍していた。

 あとほんの数秒変身が遅れていたら……サクラの体は、あの毒手によって骨まで溶かされていただろう。サクラが立っていた辺りのコンクリート塀が、ジクジクと音を立てながら紫色の煙を立ち昇らせている。


「おい、あいつ前に戦ったときより強くなってねーか?!」


 上空を旋回している相棒に向かって、ヒロユキは叫んだ。


「前回取り逃がしたからや! やっこさん、ムキになってパワーアップしてきよったんや!」


 タコヤキみたいな顔をした『自称・ドラゴン』、ヒロユキの相棒ガーファンクルが答える。ヒロユキはサクラを抱えたまま、民家の上を回り込むように移動した。春先の風はまだ冷たく、屋根から屋根へ飛び移るたびに、股間がスースーしていた。


 そう、今現在、ヒロユキが身に付けているのはギリギリ丈の真っ赤なミニスカート。上半身は、肩口に翼をあしらったきわどいデザインのキャミソール、手には先端に星の付いたステッキ。そして頭にはピンクのコサージュをキメていた。飛び跳ねるたびに翻るスカートの裾からは、ボリューム感のあるペチコート、さらには下着が見えそうで見え――いや、完全に見えてた。今日のヒロユキは青いトランクスだった。

 スカートよりむしろ下着のほうが、丈が長い。


「せめて下にジャージだけでも履かせてくれ!!」


 ヒロユキはガーファンクルに懇願した。


「何回言うたら分かんねん! そのコスチュームの持つ魔力を最大限に引き出すためには、そんなもん履いたらアカンに決まってるやろ!」


 何も足さない、何も引かないが原則や――!

 このお決まりのこのやり取りが何回目かだなんて、もはやヒロユキにも分からない。素顔丸出しの衣装だったが、秘めたる魔力のおかげでまだ正体は誰にも見破られていなかった。

 突然警察や医療機関がヒロユキの家を訪問することもなく、今日まで魔法少年として戦い続けてこられたのは、確かにこの魔女っ子装束のおかげだ。『どこぞの変態が町を飛び回っている』、というのが町の住人の共通認識となっていたのも、また事実であったが。


「おっ、魔女っ子の兄ちゃん、今日もドンパチかい?」


 声のした方を見ると、商店街の一角から防水エプロンにゴム長靴の男がこちらを見上げていた。そのアングルだと、もしや大事なものが見えてやしませんかと、心配になりながらヒロユキは答えた。


「あぁ、魚屋のマサさんこんにちわ。いつもご迷惑かけてます」

「いいっていいって、そんなことよりサクラちゃん、しっかり守ってやんなよ!」


――――ご近所のほうも、慣れたものだった。


 ◇


「っと、ここならひとまず安全かな」


 町外れの公園に降り立つと、ヒロユキは腕の中で気を失っているサクラを、公園のベンチにそっと横たえた。ベンチの上には満開の桜が咲き誇り、花弁降りしきる中、やわらかな彼女の栗毛が乱れて広がった。桜色の唇の端に、ひとすじのほつれ髪が張り付いている。

 ヒロユキはそっとその頬をひと撫でして、手にしたステッキをきつく握りしめた。


(俺がこいつを……守る)


 そう誓ったあの日。このコスチュームに、初めて身を包んだときの記憶が蘇ってくる――。

 

 ◇


 魔法の国からやってきたと言う『自称・ドラゴン』ガーファンクル。ヒロユキが彼と出会ったのは今から約1年前のことだった。


 彼が言うには、ヒロユキの幼馴染のサクラの体には、どういうわけか絶大な魔力を秘めた結晶体が埋め込まれているのだとか。そのクリスタルを手にした者には、世界をも意のままにできる強大な力が与えられるという。彼の役目は、世界を手中に収めようと企む闇魔法の勢力から、その魔結晶を守ることだった。


「で、なんでお前は俺のところにやってきたんだ?」


 いきなりやってきて、人んちのクッキーをぽりぽりと頬張る不思議生物にヒロユキは尋ねた。


「ふぉふぇふぁわふぁわあ――ンガググ。それはやなぁ、この町には他に、対象年齢の人間がおらんかったからや」


 なぜ関西弁なのか。ヒロユキはあえて突っ込まなかった。


「対象年齢?」


「そうや、魔法を扱える人間の年齢は限られてるんや。魔法界は人間界に直接は干渉できへんルールでな。そこで、昔から今回みたいな事が起こると、若い人間を一人選び出して魔法の力を与えてきた。まぁ基本的には女の子や。男より魔法適応力が高いからな。そんで、選んだ人間に代わりに戦ってもらってきたんや」


 わてはその人間を選び出す使者なんや。そう言うとガーファンクルは再びクッキーをぱくついた。


 いつの間にか、この町から同世代の人間が居なくなっていたなんて――とヒロユキは改めてこの町の過疎化、少子高齢化を憂いた。ヒロユキとサクラの二人だけだった学校も、去年とうとう廃校になり、隣町の学校まで遠路はるばる通う羽目になっていたのだ。


「だったらその役目、サクラにやらせればいいじゃねぇか。俺とあいつは一年しか違わないはずだ」


 我ながらグッドアイデア、と思ってヒロユキは提案したつもりだった。


「あほか。守るべき対象を戦わせてどないすんねん。それに、魔力の結晶が埋め込まれた人間に魔法を使わせるなんて、何が起こるか分からんやろ。下手したら魔法が暴走して世界が滅ぶで」

「じゃあ隣町の奴らにやらせるとか」

「学校のある昼間はええとして、夜間や休日はどう対応すんねん」

「うーん……」


 ヒロユキは唸った。どうやら自分しか適任が居ないのは理解できた。しかしこの話からは危険な香りがプンプンしている。悩んだ末に、ヒロユキは一番気になっている質問をガーファンクルにぶつけてみた。


「一つ、確認させてくれ。そいつらはサクラの体からどうやって結晶体を取り出すつもりなんだ?」


 ガーファンクルは咀嚼していたをクッキー飲み下し、一呼吸置いてから口を開いた。


「そら勿論、殺した後で体の中を探るつもりやろうな」


 一番聞きたくなかったその答え……。ヒロユキの中で何かが吹っ切れた。


「……受けてやるよ、その依頼」


 世界や、他の誰かのためではなく、幼なじみのサクラを守るために。


「よっしゃ、よう言った! あんさん今、最高にカッコええで! それじゃさっそく、変身の練習いってみよか」


 いそいそとガーファンクルはブレスレットのような物を取り出し、ヒロユキの手首に巻きつけた。


「変身の呪文は、こう、『ピリカル・パリカル・マジカル・スパイス☆』や!」


 そう言って、どや顔でポーズを決める珍獣がそこにいた。


「……俺が、やるのか、それを……」


 ごくり。ヒロユキの手のひらに、じっとりと汗がにじんだ。

 いや、ここまできたんだ、やるしかない。意を決してヒロユキは呪文を唱えた。もちろん振りつきだった。


「ピリカル・パリカル・マジカル・スパイス☆ ……お、おおおっ?」


 ブレスレットから帯のように飛び出した光が、ヒロユキの体を包み込んでいった。光帯はヒロユキの体に巻き付くようにして幾重にも重なり、収束していく。ヒロユキの体に定着した光は、足元や手先といった末端部分から徐々に物質化していった。


 やがて光が収まり、変身したヒロユキの姿が明らかになった。いつの間にか、手には魔法のステッキらしきものまで握っていた。


「って、なんじゃこりゃー!! 女物じゃねぇか!」


 鏡の前に立っていたのは、プリティーウィッチーな衣装に身を包んだヒロユキだった。


「先代の魔法少女のお下がりや! ええ匂いするやろ我慢せえ!」

「くんくん、あほんとだ……って変態か!」


 ヒロユキはステッキを床に叩きつけた。


「こういうのって普通、新しいの作るんじゃないのかよ!?」

「この不景気で人間界からの希望エネルギーも減収してるんや、新しいコスチュームを作る予算なんか何処にもないんや!」


 恨むんなら、お前らの世界に蔓延した、資本主義を恨むんやな――!!

 『自称・ドラゴン』ガーファンクル……とても魔法の国から来た奴の台詞とは思えなかった。


 ――あれからもう、一年近く経とうとしている。


 ◇


「来るで!」


 ガーファンクルの警告で現実に引き戻されたヒロユキは、イカヒドラの触手をギリギリで跳んでかわした。地面が抉れ、ヒロユキはそのままバック宙を決める。スカートがヒラリと翻り、トランクスがチラリと露出した。


 この市立グラウンドへの敵の誘導は、もはや手馴れたものだ。人に迷惑がかかりにくいこの場所が、いつもの戦場だった。ヒロユキは空中でステッキを構えると素早く呪文を唱えた。手にしたステッキが巨大な剣に変わる。肉弾戦――それがヒロユキの戦闘スタイルだった。


「魔法少女のセオリーなんて、知るか――ッ!」


 ヒロユキは声を振り絞り、魔人に斬りかかっていった。毒手をくぐり抜け、イカヒドラの懐に飛び込む。


 ――初めて戦ったときは震えが止まらなかった。アニメの魔法少女とは全然違う、下手をすれば死ぬような戦いがそこにあった。遠距離魔法をいくら撃っても倒れる気配のない魔物。一撃で仕留めなければ、一撃でやられる世界。普通に生きていれば経験することのない、命のやり取りの連続だった。


「うぉぉぉぉぉぉ……!!」


 咆哮を上げながらヒロユキは魔人の腹に刀身を叩き込む。コスチュームの魔力でヒロユキのスピード、力は生身のそれとは比較にならない。重い手応えを感じながらも勢いに任せて強引に振り抜いた。


 ―――― 一刀両断。


「いや、まだ死んでへん!」


 ガーファンクルが叫ぶ。

 ヒロユキはすぐさま振り返り、大剣を構え直した。真っ二つになったイカヒドラの体を注視する。緑色の体液を撒き散らしながら、二つの塊が激しくのた打ち回っていた。緊迫した空気の中、時間だけがゆっくりと過ぎていく……。


 どれくらいの時間が経ったのだろう。ついに力尽きたのか、イカヒドラの体はピクリとも動かなくなった。


「やったか……?」


 一瞬の気の緩みを突き、突如バラバラになった二体が独立してヒロユキに襲いかかった。

 咄嗟のことでヒロユキの反応が遅れた。二体同時に捌くことができず、触手の一本がヒロユキの腕をかすめる。手にした剣が弾き飛ばされ、もとのステッキに戻って転がった。


「なんつう生命力や! 大丈夫かヒロユキ!」

「あぁ、いや……どうやら骨が折れたらしい」


 だらりと垂れ下がった右腕を庇いながら、ステッキの元へ走るヒロユキ。魔法少年の回復力は伊達ではない。骨折程度なら数時間で治癒できるレベルだ。が、この腕ではもう、剣は振るえない。


「ヒロユキ、攻撃魔法や!」


 左手でステッキを構え直すと、ヒロユキは回転しながら呪文を唱えた。


「ピリカル・パリカル・マジカル・パピルス――地獄の業火で焼き尽くせ☆」


 二つの胴体の断面を中心に、爆炎が広がる。炎はあっという間にイカヒドラの体を包み込んだ。


「ふははっ、どうや! 体の内側から焼かれる気分は!」


 どこぞの悪役のような台詞を吐きながら、ガーファンクルがガッツポーズを決めた。二つの肉塊が、黒煙を上げながら徐々に消滅していく――。さすがの魔人も、体内から焼かれては身がもたなかったようだ。


 ◇


「しかし今回も派手に痛めつけちゃったな、これ……。グラウンド整備のじいちゃん、ごめんなさい」


 深々と地面が抉れ、焦げ跡が残るグラウンドの惨状を前に、ヒロユキが呟いた。


「なんの、最近じゃこの整備が生き甲斐になってきとるんじゃよ」


 いつの間にか、重そうなコンダーラを引きずった老人がそこに立っていた。疾風のように現れて、疾風のように整地する。グラウンド整備のおじいちゃんその人であった。


「いつも迷惑かけてすいません」


 グラウンド荒らしの常習犯であるヒロユキは、深々と頭を下げた。


「ええんよ、ええんよ。それよりお前さん、こんなところで油売ってていいんか?」

「そうだ、サクラ……。じいちゃん、ごめん、後は頼みます!」


 頭を下げ、民家の屋根伝いに消えていくヒロユキの後ろ姿を見つめて老人は溜息を吐き出した。


「ええのう、あのキャミソール。儂もあと20年若けりゃのう……」


 ◇


 桜の花びらが舞い踊る――。

 公園のベンチの上、何事もなかったかのように眠るサクラが身じろぎをした。


「う、うーん……」


 どうやら気がついたらしい。サクラはヒロユキの腕の中でうっすらと目を開けた。


「女装の……お兄ちゃん?」


 幾度となく危機を救ってくれたこの人物を、サクラはそう呼んでいた。


「……あ! や……っ!」


 自分の体勢に気づいたサクラは、逃げるように身をくねらせて、立ち上がった。ヒロユキは自嘲した――そうだよな、女装した男に抱かれてたら無理もないよな。


「……また助けてくれたんだ、ありがとう」


 なるべくヒロユキの方を見ないようにして、サクラは言った。正体こそ気づかれていないものの、ヒロユキの心中は複雑だ。


(もし正体がバレたら、軽蔑されるだろうな……)


「気がついて良かった。それじゃ、俺はこれで……」


 ヒロユキが早々に立ち去ろうとした、その時だった。


「なんだ、これは……」


 ヒロユキの体がほのかな光を発していた。


「なんやて! そうか、そうやったんか……」

「どういう事だ、ガーファンクル!」


 ガーファンクルは柔らかな笑みを浮かべて言った。


「魔法少年の役目が終わる時がきたんや」

「なんだって?」


 遠くを見るような眼をして、ガーファンクルは語った。


「最後やったんや、さっきの敵で。あんさんは、いつの間にか闇魔法の勢力に壊滅的な打撃を与えてたんや」


 ほんまにすごいやっちゃで――そう言ったガーファンクルの体は少し透け始めていた。


「おい、消えちまうのか?!」

「役目が終わったんや……わてはこのまま魔法の国に帰る。あんさんの変身ももうすぐ解けるわ」

「そ、それは困る! ここにはサクラも……そうだ、サクラの結晶はどうなる?!」

「心配いらんで、サクラはんの結晶は人体には無害やから。安心して今までの生活を……」


 そう言ったガーファンクルの姿は、もはや眼を凝らさなければ認識できないほどに消えかかっていた。


「ほんならな……あんさんとの日々、楽しかったで――」

「待てよ、勝手すぎるぞ! ガーファンクル――!!」


 ヒロユキが言い終わらないうちに、ガーファンクルの姿は全く見えなくなっていた。いつの間にか変身が解け、ヒロユキは普段着に戻っていた。

 背後からサクラの気配が近づいてくる。


「ヒロユキ……お兄ちゃん……?」

「人違いだっ!」


 背を向けたまま、走りだそうとするヒロユキをサクラが呼び止める。


「待って! やっぱりそうだ、ヒロユキお兄ちゃんなんでしょ?」


 強い風が吹き、桜の花びらを辺りに巻き上げた。サクラの言葉で、その場から動けなくなったヒロユキは「……んで分かるんだよ」と、小さく呟いた。

 クスリと笑ってサクラは言う。


「分かるよ、小さいころからずっと一緒だったんだもの。昔からずっーと、私のこと守ってくれたのはヒロユキお兄ちゃんだった」


 サクラの手がヒロユキの背中にそっと触れた。


「この一年くらい、危ない人達からずっと守ってくれてたんだね。はじめは誰だか分からない、おかしな格好の人だと思ったけど……。週一くらいのペースで助けてもらううちに、この人がヒロユキお兄ちゃんだったらいいなって、そう思うようになったの……」


 そんな頻度で戦っていたのか、とヒロユキは思った。

 いや、そんなことよりも――変身した自分を受け入れてくれていたサクラのことが、ヒロユキはかつてないほど愛しく思えた。


「サクラ、俺はお前が――っむ!」


 振り向いて何か言おうとしたヒロユキの口を、サクラの唇が塞いでいた。


「隙ありっ。えへへっ」


 たたっと、ヒロユキから離れると、くるりと振り向いてサクラが言った。


「今までのお礼だよ!」


 普段から紅潮気味の顔が、さらに真っ赤に染まっていた。


「お、おま、お前――――!」


 ヒロユキは酸欠のように口をパクパクさせている。

 その時、聞き慣れた声が頭上からヒロユキ達に降り注いだ。


「ヒューヒュー! お二人さん、お熱いなぁー」


 桜の樹の枝に寝そべり、ガーファンクルが二人を見下ろしていた。


「お前……! 魔法の国に帰ったんじゃなかったのかよ!」

「いやー、帰るには帰ってんけど、また新しい任務を命じられてもうたんや」


 ぽりぽりと頭をかきながら、ゆっくりと降下してくるガーファンクル。


「闇の勢力は去ったけど、魔結晶を狙う奴らは他にもいてる。結晶が人間界に及ぼす影響もまだはっきり分からんからなぁ」


 要は、結晶体の監視を命じられて戻ってきたのだった。


「ま、今後ともよろしゅう頼むわ、魔法少年☆ヒロユキ!」

「ほんとに勝手すぎるぞお前!」

「とか言うて、さっきは突然の別れに泣いてたくせにぃ」

「なっ……、泣いとらんわ!」


 ここ一年繰り返してきた、他愛もないやり取りが心地良かった。


「あ、あの……ガー、さん?」


 おずおずと、サクラがガーファンクルに話しかけた。


「ガーさんか、悪ぅないな」

「その……、いつから見てたんですか……?」


 まさか思い切ってやった大胆な行動が、他の誰かに見られていたなんて――サクラにとって、それは非常に気になる事だった。

 すがるような目で見つめられ、ふぅむ、と顎の辺りを撫でながら勿体をつけてガーファンクルは言った。


「せやなぁ、『ヒロユキ……お兄ちゃん……?』『人違いだっ!』の辺りからかな?」


 即興のモノマネだったが――果たしてそっくりだった。


「あ、あわ、ぷしゅー…………」


 恥ずかしさのあまり卒倒しかけているサクラの体を支えながら、ヒロユキはガーファンクルに向かって声を張り上げた。


「……全部じゃねえか!」


 桜舞い散る春の公園に、ヒロユキの叫びがこだました。

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