第4話 始まり④
異能/魔法の話に加えて、実際に経済や統治、思想などの話も学べる内容となっておりますので、どうぞお楽しみください!!!
これから異世界です!
(日本人の若い人間なんて、ろくな人間はいないと思っていたが、やはり優秀な人間もいるものだな)
バンディもまた、15分ほどの会話の中で、対話相手に感心していた。おそらくマリン達もそう考えているのだろう、話が弾んでいた。
外交の場などで多くの日本人と会った事があるが、政治家などの高齢の人間は凄みはあるが英語は話せず、また教養や知識があるとは思えなかったし、若い政治家などはヘラヘラしているだけで、全く使えない事が一目でわかる様であった。
目の前にいる若者は自身に満ち溢れており、英語も堪能で、感性や知識もある。アメリカの留学時代によく会った類型だ。
ふと博物館長のマルセが口を開いた。
「ここはね、多くの人が死んだからという事もあるのかな、不思議な感覚になる人が多いんだ。ちょっとだけ見ていたつもりが、3時間以上、立ち尽くしていた人、冗談ではなく本当に霊が見えたという人。。。その中でも、あそこの部屋が一番ショッキングだよ、、、あ、小さい部屋だけど、ちょうど収容所として使用されていた当時は1部屋に8人入っていたんだ、いい機会だから、みんなで入って見たら?」
マルセが案内した部屋は周りより一層暗い感じのする部屋であり、やはり当時の様子を示す絵画が飾られており、その中にはぎゅうぎゅうに詰められた8人が寝ている様子が書かれていた。8人はマルセの言葉に、特に返事をせず、神妙な面持ちで、言うとおりに入っていった。
ユージはバンディと話していたため、並んで部屋の奥の方に入っていった。ユージとバンディの後をセタ達が入ってきた。
「こ、これは身動き取れへんな・・・」
部屋に入ったマサが声を絞り出した。人が5−6人立っているだけで既に、全く隙間の無い部屋だった。
満員電車の様な形で8人目のマリが部屋に入った瞬間、視界がブラックアウトした様な感覚になった。全く前が見えない状態になったのだ。
「あれ、停電かな?」
エリカの声が聞こえた、この国に入ってから、カフェ、レストラン、ホテル、色々な場所で停電をしていたので、あまり焦りはない声だった。
しかし、その瞬間、人とぎゅうぎゅうになっていた感覚から解放され、体が自由になったが、相変わらず目の前は全く見えない。よく考えると、現在は昼で、陽の光も入ってきていたので、停電で視界がブラックアウトするはずがない、先ほどは急なことに驚いていたが、おかしい。
さすがに不安になり、日本語でマサ達に声をかける。
「あれ、マサ達大丈夫?」
「おお、俺は大丈夫やけど、なにこれ、全く前が見えへん・・」
「私もおるでえ」
「私も大丈夫だよ」
意図を察した3人がそれぞれ返事をしたので、ユージは安心した。次に「Everyone, are you alright?」と声をかけたが、返事がない。先に出ていったのだろうか?一瞬、東南アジアでよくある様な犯罪や、何か騙されたりしていないか不安になったが、先ほど話していた人物達を思い出し、その考えをすぐに打ち消した。
「とりあえず見えないながらでも外に出ようか、エリカさん、見えないから大変だと思うけど、外に出て見てくれない?」
ユージが、入り口に一番近いはずのエリカに対して外に出る様に促した。
「うん・・・・」
と言ったきり、全く声が聞こえなくなった。
「エリカ、どないしたん?」
「エリカさん、大丈夫か?」
マリとマサが同時に声を上げたが、返事が返ってこない。
「なんかあったんか?」とマサが動く音がしたが、その後、またしても音が消えた。
「マリちゃん、いる?」
ユージはとっさにマリのことを呼び、確認した。
「うん、おるでえ。。エリカとマサどうしたんかなあ・・」
「マリちゃん、俺が手を出してるから、その手を探って、掴んで」
不安そうな声を出したマリにユージは早口で指図した。
「うん・・・あっ、あった」
すぐに二人の手は触れ、お互いに掴んでいた。依然として目の前が見えない中で何が起こっているかわからないため、二人とも強く握りしめていた。
ユージはマリの手を掴み、外に出る様に壁伝いに移動した。
「っ・・・まぶ・・」
その瞬間、一気に陽の光が目に飛び込んできた。
そこは広大な草原と、2−3キロ先だろうか、遠くに城と街が見えた。
「なんだこれ・・」
と言いながらハッと横を見ると、マサとエリカと、、、手を握っていたマリが横に立っていた。
「ユージ・・どさくさに紛れて何しとんねん・・」
「最低・・」
マサとエリカが完全に誤解をした非難をした瞬間、ユージはマリの手を慌てて離した。
「いや、マジで心配したんだからな!」
ユージは反論した。が、マリは目の前の光景に明らかに狼狽していた。
「これ、、、絶対違う国やんなあ・・」
そうなのだ。自分たちも東南アジアの地理に詳しいわけではないが、この光景は明らかにアジアとは違う光景であることと、そんなことより何より、先ほどまでいた博物館が跡形もなく、なかったのだ。
「ど、どゆこと?」
ユージは馬鹿みたいな言葉しか出てこなかった。
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