序章ー死ー
こちらが本編です!
序章ー死ー
管理人の男は‘’囚人番号”を呼んだ。
「G000A!G000A?」
就寝前の点呼だ。
「B000R!B000R?」
夜風が冷たくなった頃に管理人は点呼を始める。
そして‘’存在確認”と‘’生存確認”をする。
「‘’やっと”死んだか…」
男はそう呟いた、
この日を待っていたかのように。
彼ら(・・)を扱うのは相当面倒だったのだろう。
それは何故か。
男は薄闇の中、彼らがいるはずの、思い出さえも
残すことが出来ない何も無い檻の中を凝視
するが、両者とも反応もなければ姿もない。
どこへ行ったのか?
夜が明け、管理人が‘’強制収容所”の周囲を
確認したが、前夜、応答がなかった2人の姿は、
やはりどこにもなかった。ついに死んだのだろう。
身体が‘’限界を”迎えたのだ…。
‘’1期生”は既に数年前に死んでいる。
彼らが、その最後の生き残りだった。
だから、十数年と短いように感じる
年月でも‘’彼ら”にとっては
長く生きた方だったのだ。
管理人は囚人簿の”囚人番号”を
バツ印で上書きした。
これで‘’1期生は全滅した”…。
そのはずだが、
何故か2人の‘’死体は見つからなかった”。