第5話(過去編)
毎回短くてすみません
卒業パーティーの日、私は結婚相手であるジルベルトにエスコートされ参加した。普段一人で参加していたからか周りからたくさんの視線を感じる。
「エルミューラ嬢のお相手、ジルベルト様ですわね。あの御二方は密かにお付き合いされていたのかしら」
「美男美女カップルですわね、これまでの秘密の逢い引き気になりますわ」
なんて声も聞こえた。うちは恋愛結婚を重視するから当然の声なのかもしれない
(いいえ、お付き合いの期間はほぼ皆無です。理想のカップルではなくすみません)
なんて思いつつこれまで壁の華だった私が初めてまともにパーティーに参加することができ心が浮き足立ってる。最初の頃は誘われることも多かったのだが話すのが苦手すぎて無言になりもしかしてこの人は怒っているのでは?と思われて以後誘われることはなかった。
「エルミューラ嬢、いやカノンと呼んでもいい?」
意外だった、そんなの了承以外の返事は無いだろう。
「ええ、よろしいですよ。こちらもジルベルト様と呼んでもよろしいでしょうか?」
なんです、その質問可愛すぎません?未来のパディントン伯爵家当主はどちらかといえば軽そうな人というイメージがあったのだが…彼も私の人見知りに最初は戸惑ったもののどんどん距離を近づけてくれた。上手く話せなかったと思っていたのだが一週間経って気づけば打ち解けてしまったのだ。『コミュ力オバケのチャラ男、でもやる時はやる』が彼に対する印象だ。
「やったー!あと様は要らないよ。ジルベルトって呼んで?」
「分かりました。ではジルベルトと」
「うん、そうそう、それでいい。それにしても今日のドレス似合っているね」
「そうでしょうか?そう言って頂けると嬉しいです。私の髪と同じ色の布を使ってます」
「そうだよね、本当に美しいよ」
家族以外に褒められたのは久しぶりだから嬉しい。引き続き彼と談笑していたら学園長が来た。開会式が始まる。
次回投稿予定は未定です。恐らく一週間以内には更新するかと思われます。