第4話(過去編)
5年目の春、一人の少女が私たちの学年に編入してきた。名はコルネット・ヴァール。ヴァール子爵家の養女になった元平民である。ここの学校は貴族のみしか通えないのだが実はその子爵家の当主の愛人の娘だったことが発覚しこの度養女として迎えられたそうだ。
そんな彼女のクラスはレオン様が居るところ、クラスの遠い私には縁も無いだろうと過ごしていた。
彼女にレオン様を取られるとも知らずに。
彼女はラッキーなこと、私にとっては不幸なことなのだけどレオン様の隣の席だった。
生憎この学校はグループ活動も多く班の人とは距離が縮まりやすい。私は人見知りで誤解されっぱなしだったけれどね。
それに隣の席の色々不慣れな女の子を放っておくような人間じゃないことも知っている。
私が一人のひたすら勉強に打ち込んでいる間に彼と彼女は惹かれあっていたみたいだ。
「学年では身分差のある大恋愛なんて羨ましいわぁ」なんて言われてたそうだ。まあ、その話も後々聞いたのだけど。
そして卒業まであと3ヶ月くらいの頃、
私がそれに気付いたのは彼らが思いを伝え合うであろう日の前日。遅かったのだ、気づいた頃には。
廊下で楽しそうに談笑している彼らを見て、明らかに両思いなのだと感じた。
「あっ、カノ…」
声を掛けられそうになったけど逃げた。だって失恋した現実なんてすぐには受け入れられないから。
翌日には学園で開かれるイベントがある。そこで例年告白大会が起きている。きっと2人はこの日に思いを伝え合うに違いない。
だから私は身を引くことにした。
そこからは失恋から早く吹っ切れたいと思い卒業してすぐには結婚したいと父に見合い話をお願いした。急に何があったのかと家族は混乱してたけれど笑顔で誤魔化した。
卒業まで残り少ない期間、失恋のショックからレオン様の顔も見る気にはなれず徹底的に彼を避ける生活を送っていた。
学園生活を送りながら休日には見合いのために実家に帰る生活を送る日々、私はその見合いで夫であるジルベルト・パディントンと出会った。彼はレオン様とは違った雰囲気のイケメンだ。私と同じ伯爵家の子息で学年のテストでは私やレオン様に継いで3位という好成績を修めていたはずだ。成績も良く見た目も美しいから学年ではレオン様と並び2大イケメンなんて言われていたのも知っている。
それなりに好条件だった彼との結婚を選ぶ事にした。結婚が決まった頃にはもう卒業まで一週間。卒業記念パーティーのドレスは選び終わったしあとは時間を待つだけだ。孤独だった学園生活、でもそれは思ったより私にとっては大切な時間だったらしい。学校との別れを惜しみながらも卒業パーティーを待った。
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