第1話
ゆっくり更新です
目覚めるとそこは自分が3年前まで生活していた馴染み深いエルミューラ家の自室だった。
自分はあの出産中に死んだはず。ならどうして生きているのだろう。しかも私がここ3年生活していたのはパディントン伯爵家の一室だったはずだ。結婚後は彼が自分を監禁し3年間あの部屋から出られなかった。
ならば何故自分はこの場所に居るのだろうか。
取り敢えずベッドから出た。そこで感じる違和感。
んん?なわんだかサイズ感がおかしい。ものが大きくなったような感じ、そこで自分の体を見回す。
私の身体縮んでる!?
そう思い鏡の前にまで移動した。そこで写し出された自分の姿はとても幼い。年齢でいえば3歳くらいだ。
「えぇ、どうして。これは夢?夢なのよね」
自分の頬を思いっきりつねってみた。しかし痛みを感じる。
「夢じゃ、ない…」
どういう状況なのだろうか、自分はさっきまで出産していたし死を悟って意識を失ったはず。
混乱しかない、自分の身体は縮み居るはずのない家に居る。
とにかく今は状況確認だ。時計を見ると今は6時前、この家ではそろそろメイドが起こしに来る時間なはずだ。
そう思っているとノックが聞こえた。
「お嬢様、失礼致します。起こしに参りました」
そして彼女は私の部屋に入ってくる。
「おはようございます、カノンお嬢様。今日は起こしに来る前に起きているとは早いですね、偉いですよ」
彼女の名前は確かルルだ。私が幼い頃に我が家で働いていた私付きのメイドだったはず。私が6歳の頃には結婚してこの家を辞めていったのだ。私は彼女を姉のように慕っていたし大好きだった。やめてしまった時は別れ惜しく大泣きしまったくらいだった。
そんな彼女が居る。もしかして、私はある仮説に行き着いた。
「ルル、1つ聞いていいかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
「私の年齢って今いくつ?」
私が急に年齢なんて聞いたから彼女は、不思議そうに思いながらも答えてくれた。
「何を仰っているのですか?カノンお嬢様の年齢は3歳ですけど」
やはりこの仮説は当たっていた。
私は過去に戻っている。