表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/87

エピローグー5

《それと、最後にもう一つ》


「ん?」

 まだなにか、話すことがあるのだろうか。

 俺は再度、スピーカーに耳を近づける。

 と――


《ヒロさん、実家ではお世話になりました》

《いつか、新潟でもイベントをやりたいと思っています》

《これを聞いてくださっているか分かりませんが、今度、新潟でイベントやろうという話が出ています。その時は――》


《《遊びに来てください! 待ってます!》》


 最後は二人そろって、『声を作っていた』。

 じゃなくて。

「いや! ちょっ! ええ!?」

 ヒロ――俺のことだろう。

 他に該当者がいない。

 本名がバレないよう配慮しつつ、誰に向けているのかはっきり分かる形で、直接的なメッセージを送られた。

「……言われなくても、新潟でイベントやるなら行きますよ」

 内心、滅茶苦茶嬉しかったし、聞いてくれとわざわざ連絡された理由も分かった。が、それよりも気になったのは――

「ですよねー」

 SNSを見ると、『ヒロ?』、『え、誰?』、『名指しwww』、『これ大丈夫なの?』、『誰なのか特定しろ!』、『知ってる人挙手!』などなど、そりゃもう大騒ぎになっていた。

 ま、本名はどこにも公開していないし、『ヒロ』だけで俺にたどり着けるわけがない。

 俺自身も、SNSへ『ヒロって誰? 地元の人?』とてきとーに書き込んでおく。



「あのー、すみません」



「うわ!?」

 不意に、幽霊のような声が背後から聞こえ、びっくりする。

 振り返ると、西条さんが立っていた。

 ウォーカーを調整して以来、西条さんのウォーカーは押す時、全く音がしなくなっていた。たまに、知らないうちに背後に立っていたりするから怖い。

 いつぞやの幽霊を思い出す。

 夜間は本当に勘弁してもらいたい……。



「今、うちの孫の声がしませんでしたか?」



「へ?」

 驚く俺を無視して、西条さんは俺の隣、空いている席に腰かける。

「今、うちの孫の声が聞こえた気がしたんですが……?」

 俺は「ああ、それはですね」と答える。

 七夕の日、西条さんがテレビに映るアニメキャラを見て、彩花だと気付いたため、俺は個人的に試してみた。


 本当に、声を作っている彩花を認識できるのか。


 結果は言うまでもない。

 西条さんは、地声で喋るラジオ番組では分からないようだが、声を作っている時の音声ならば、絵がなくても、彩花のことをきちんと判別できるようだった。

 とはいえ、御利用者に迷惑をかけないよう、かなり音量を絞っているというのに、聞き間違えることなく察知するとは、孫への愛がとんでもない。

「西条さんも聞きますか? 彩花が出てますよ」

「そうですか?」

 スピーカーを西条さんの方へ向け、少しだけ音量を上げる。

 西条さんは興味津々といった様子だ。

 本当に、こんなところを見つかったら怒られるだろうな。

 俺はそう思いつつ、西条さんと二人、番組に耳を傾けた。



 ――彩花、西条さん、楽しんでくれてるぞ。



     ◆◇◆



 おばあちゃんへ。



 わたしは今、幸せです。






                               END.


 初めまして、初雪奏葉と申します。

 『アイドル声優が認知症のおばあちゃんに残せること ~大好きなおばあちゃんへ~』、無事、完結しました。読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます。


 得意分野である介護と、大好きな声優さんを絡められないかと思い、書き始めたのが今作となります。

 認知症についてや、小規模事業所についての(地域密着型であるからできることが沢山あるとか、そういった)細かい説明は省かせていただきました。なるべく、『介護』の部分が重くならないよう、省ける説明は省き、『読みやすさ』を重視したつもりでしたが、いかがでしたでしょうか?

 本日、七月七日に最後まで一気に更新させていただきましたが、最後は少しずつ更新する形ではなく、「一気に読んでいただきたい!」という作者の勝手な気持ちを反映させていただきました。


 もし、最後まで読んだよ、という方がいらっしゃいましたら、評価、感想、なんでもかまいません。一言だけでも良いので、感想を残していただけると嬉しいです。


 最後に。

 繰り返しになりますが、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

 これからも地道に執筆活動を続けて行きたいと思いますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ