エピローグー2
御利用者の迷惑にならないよう音量を落とし、待機する。
数分後。
聞きなれたオープニング音楽が鳴り、番組が開始される。
《皆さんこんばんは。今日は番組を開始する前に、重大なお知らせがあります》
「ん? なんだ?」
開始早々いきなりの重大発表。
音楽も消される。
数秒の間の後。
《百坂・東都のグレーゾーンは、南原株式会社から、藍南エンタープライズさんへ、制作会社が変わります。そして、それに伴い、番組名を改名します!》
「はあああああああ!?」
びっくりしすぎて、大声を出してしまった。
藍南エンタープライズと言えば、アニメ、声優界のラジオ好きなら誰もが知っている、ラジオ制作会社、最大手企業だ。
南原株式会社も知名度はあり、最近では人気番組をいくつも持っている有力企業だが、知名度、歴史、影響力、その全てでレベルが違う。
藍南エンタープライズは年に数回、全番組を集めた大規模な合同イベントを開催したり、番組企画のロケでは国内国外問わず、パーソナリティや、ファンが希望した場所へどんどん行かせている。
南原株式会社と比べて、できること、やれることが全く異なる。
「そう言えば……」
思い当たる。あの日、仕事が長引き、二人の到着が遅れてしまったのは、百坂・東都のグレーゾーンの仕事が長引いたからだと聞いた。
北条さんが来られなかったのも、『後処理』があるからだと。
衝撃的なことが多すぎて深く考えていなかったが、ひょっとして、なにか関係があるのだろうか。
「うわぁ……」
SNSを開いてみると、やはり衝撃が広がっていた。
栄転だと賞賛する声が多いが、一方で、南原株式会社内で繋がりがあった番組との関係性や、他番組への影響を懸念する声もちらほら見える。南原株式会社を支えてきた最古参で、人気のある番組だっただけに、残念だという意見もあった。
中には、上手くいっていた番組がいきなり制作会社を変更するなど、ほとんど例がなく、なにか事情があるのではないかと怪しむ声も見られた。
それはさすがに考えすぎだと思いたいが……。
《そして、それとは別に、もう一つ、大切なことをお伝えしなければなりません》
ひとしきり、番組に関する話題で騒いだあと。
打って変わって、彩花の神妙な声が届く。
《わたしが、ここ一ヶ月ほど、仕事に穴をあけていたことについてです》
真剣な声音。
緊張しているのが伝わってくる。
百坂・東都のグレーゾーンは生放送ではない。
当然、編集はしているだろうが、どこまで、なにを話すのか。
ファンにとっては、初公開となる情報が多いだろう。
耳を傾ける。




