第七章ー4
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塗りつぶされていく地図を見て、不安を隠せなかった。
――どこに行ったんだ……?
捜索を開始してから、二時間以上。
十七時を過ぎている。
「目撃情報すらないってのが……」
「こんなこと、あるんですか?」
情報共有のため、俺と松岡主任は西条家へ戻ってきた。
捜索隊の人数は五十名を超えている。
西条家に関わりのある親戚の方々だけでなく、近隣住民の皆さんもどんどん増えている。その他、我々ふれあい西家の職員や、地域のお年寄りを支えている民生委員さんなど、様々な人が続々と集まってきていた。
警察も俺たちとは別に捜索を続けており、時おり、互いの情報を交換し合っている。
だが、それでも足取りが一向につかめなかった。
「考えられるとすれば、どこか、物置の中とか、見つけにくい場所にとどまっていて、全く動いてない、とか……」
「ですよね。西条さんは足を痛めているはずだから、そんなに遠くへ行けないはずですし……」
西条家の駐車場には、大きなテーブルが置かれ、その上には拡大コピーされた地図が置いてある。
俺と松岡主任は地図を見つめ、首を捻る。
西条家の周辺は、何十人もが何度も歩いて回り、見落としがないか確認している。捜索済みの道路や住宅、商店などに印がつけられているが、西条家の周囲は地図が見にくくなるほど印がつけられている。
これ以上、捜索の仕様がないレベルだった。
時間とともに、少しずつ捜索範囲を広げているが、目撃情報すらないのはおかしな話だった。
つい先日、転倒で足を痛め、ウォーカーがなければふらつきがあるような人が、一体どこへ行けるというのか。
「田んぼの方も、ほとんど回ってるしな」
「そうなんですよね……」
五十人も捜索隊がいれば、回れるところは全て回れる。
だだっ広い田んぼも、ほとんど全て回り切っていた。
「……」
視界の端に市川園長を見つける。
スマホを手にどこかへ連絡していた。
市川園長は人数が増えてきたため、自身での捜索を切り上げ、少し前からここに張り付いて情報をまとめる役割を担っていた。
休む暇なくあちこちへ電話し、情報共有を行い、それを伝達、警察への対応なども一手に引き受けている。
ただ探し回っているだけの俺たちよりも、余程、神経をすり減らしているだろうに、そんな様子は微塵もなかった。




