表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/87

第六章ー8

「東都さん」


 直後、思った通り南原邦彦が、動く。

「その言葉、本心と受け取って良いのですね?」

「いいですよ」

 悠はためらうことなく答える。

 南原さんはそれを見て、また、にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべる。

「なるほど? つまりあなたは、自分の好き嫌いで、レギュラー番組を勝手にやめるということで良いのですね?」

「そういう話じゃ――」

「それも! 発端となっているのは、あなたたち自身の力不足ですよ。違うとは言わせませんよ? 今日、百坂さんの様子が普段と違ったのは、一緒にやっていたあなたが一番分かったはずです。それを修正できなかったからこんなことになっているんですよね?」

 どこまでも煽るように、南原さんは続ける。

 悠は何度か口を挟もうとしていたが、その度、南原さんは声を大きくしてそれを阻止する。

「声の仕事、大いに結構です。でもあなた、ここでこんな辞め方をしたら、噂になりませんか? こちからとしては辞めてもらって構いませんよ? あなたたちは、数多くある人気番組の一つに過ぎませんからね。ですが東都さん、こんな辞め方をしたら、『自分の気に入らないことがあると仕事を放り出す人だ』、『好き嫌いで仕事を選ぶ人だ』って噂が流れますよ。それ、結構致命的なことだと思いますが、大丈夫ですか?」

 正しい。

 南原さんの言葉は、正しかった。

 経緯がどうあれ、このまま悠が自身の意志で、百坂・東都のグレーゾーンを辞め、幕を下ろすことになれば、他の仕事にも影響し兼ねない。

 というより、南原さんが他のスタッフへ、言いふらすだろう。そのくらいの影響力がこの人にはある。

 例え、悠が重視する『声の仕事』には影響しなくても、悠も声優の一人であることに違いはない。変な噂が広まれば、活動の幅が狭められることは必至だ。

「この――っ!」

「なにか? 本当に辞めたいのなら、自分の口から言ってくださいよ? 後腐れないように、『自分たちの都合で迷惑をかけてすみませんでした。辞めさせてください』ってね。我々は、普通に仕事をしていただけで、なにもしていないんですからね。あなたが勝手にキレて、喚いてるだけじゃないですか」

「――っ!」

 さすがの悠もそこは否定できないようで、睨み付けるのが精一杯だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ