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第五章ー3

「……イメージの問題、か」

 思い当たる節はあった。

 百坂・東都のグレーゾーンは、人気番組である反面、多方面にケンカを売る内容であることも事実だ。

 一般的にグレーゾーンと呼ばれていることを、パーソナリティー二人が、自分たちの価値観で話すのだ。反感を買ってもおかしくない。

 南原株式会社が持っている番組の中で、百坂・東都のグレーゾーンは最も長く続いている、息の長い番組だ。言い換えれば、南原株式会社を支えてきた番組であると言っても良い。

 しかし、今現在は、他に人気番組が多数できたこともあり、無理に番組を継続させる必要がなくなった。反感を買いやすい内容をメインとしているこの番組は、会社のイメージダウンになり兼ねない。

注目度の高い人気番組であるが故に、会社を運営する南原さんにとって、邪魔なのだろう。

 そんな折、タイミング悪く――南原さんにとってはタイミング良く――彩花が『声を作れない』という声優として致命的な弱点を見せてしまった。

 遠回しにチクチクと攻撃してくるのはそのためだ。

「どうするかな」

 今回だって綱渡りだった。

 桜川さんのメールでなんとかやり過ごせたが、次回も乗り切れるとは限らない。

 今後も、同じような状況が続くかもしれない。運営会社の代表である南原さんの指示を遂行できなかったら、どんなペナルティが課せられるか……。

 最悪、彩花への配慮という名目で、番組の一時休止、果ては強制終了させられる可能性もある。

 手っ取り早い解決策は、彩花の声を取り戻すこと。

 こちらが弱みを見せなければ、南原さんも無理に終了させる流れにはもっていけないだろう。

 だが、それに関しては明確な打開策はない。



 ――打てる手はうっておくか。



 私はスマホを取り出し、スタジオをあとにした。

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