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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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96 鳥の国から  晩秋―ツリスガラとヒゲガラ  1995年12月

すずがも通信95 1995年12月  鳥の国から


 このところ、さわやかな晴天続きです。ちょうど10月ごろの「運動会びより」で、ぬけるような青空、暖かい陽ざし。晩秋のぴりっとした冷涼な気候やこがらしはまだまだ。コウモリや蚊も飛んでいます。それでもコタツを出しました。夕食後、ぼんやりテレビでも見ていようものなら、いつの間にかぐっすり。

 10月なかばから、バンダーの原島氏や亀谷氏が交替で毎週末バンディングをやっておられます。暖かくてカモやカモメ、タカ類の渡来、増加が例年より2週間近く遅いのにくらべ、オオジュリンをはじめとする冬の小鳥たちの到着は少し早め。オオジュリンが1週間ちょっと早く10月15日、でもジョウビタキは普通で27日。

 11月3日からはツリスガラがどんどん捕獲され、4日間で30羽も標識されたとのことです。この3日間で400羽以上の小鳥が標識されたのですが、ほとんどがオオジュリン。ツリスガラはもしかしたら第2位かも知れない、と亀谷氏があきれていました。数年前まで千葉県ではほとんど記録がなかった種類ですが、わずか十年ちょっとで「九州地方のみで越冬」からみるみる東に分布を広げ、行徳の普通の冬鳥になりつつあります。アシ原にひそんでいるため、めったに姿は見られませんが、ごくごく小柄な愛くるしい顔の活発な小鳥です。

 10月22日には行徳で2羽目のヒゲガラが捕獲されました。昨年11月に捕獲された第1号の雄が千葉県最初の記録です。今回は若い雄で、翌週にも再度捕獲されました。口ひげのような黒い飾り羽をつけた美しい種類です。大陸からの渡来ルートができつつあるのか、それとも成田空港からのエスケープ組なのか。たぶん野生のものらしいのですけれど。数年前のロビン(ヨーロッパコマドリ;イギリスの国鳥)は日本初の記録で、今年になって裏日本で2例目の捕獲例が出たようですが、これもどう見ても野生のものとしか考えようのない個体でした。ヒゲガラといい、ロビンといい、切っても切れないつながりができたと思っているイギリスのミンズミア保護区を思い起こさせる種類です。ずーっと出遅れているけれど、うちの保護区だって同じ大事な湿地環境なんだなあ、と感じます。

 今のところ、カモは適当に入ってくれています。あいにく観察舎からは遠くにしか見えないのが泣きどころ。みなと新池にはかなり集まっていて、のぞくたびに飛ばせてしまうのが申し訳ないほど。

 このままの数で(望むらくはもうすこし多く)越冬してくれるといいのですけれど。暖かいせいでセグロカモメの餌付きはまだまだ。堤防にずらりと並ぶまでは間がありそう。ありがたくないことには、ハシブトガラスの小群が並んでいます。

 秋恒例の干し草集めが終わりました。晴天のおかげで、一回も雨に当てないうちに取り込むことができ、きれいな緑色に乾いた干し草が倉庫にぎっしりとつまっています。これで梅雨明けまで安心。

 さあ、これからはいよいよ保護区の再整備工事です。9日に請負業者の千葉建設、設計業者のアジア航測、千葉県、市川市、観察舎との初顔合わせと現地の下見をやりました。次の「すずがも通信」が出るまでには、新しい池の造成は終わっているでしょう。水鳥が利用しやすい状態ができるよう、全力投球の構えです。日のある間は造成現場に出て、時間があれば湊新池の耕耘。体力勝負でがんばるぞーっ。相棒さん、よろしくね。



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