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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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89 鳥の国から   オオタカの成鳥   1995年4月

鳥の国から  オオタカの成鳥   すずがも通信91号 1995年4月


「またいつものところにいますよ」

 魚のアラを切っていたアルバイト生の佐藤くんが知らせにきてくれました。いるいる、オオタカの成鳥。すごくきれいです。精悍な黄色い目、きつい眉線、白い腹の横縞もよう。常緑樹の黒っぽい葉の間で、遠目にも白い姿がめだちます。止まっているのはいつも決まった葉の落ちたセンダンの枝。ご猟場のへりで、保護区に作業に入る時、ゆるやかに曲がった昔の堤防にそって、立ちふさがる枯れた竹藪をまわった裏にある木です。スコップを持って通りかかると、竹藪のうしろで大きな鳥が動いた気配がして、まわりこむとセンダンの枝が揺れていることがあります。よくよくこの木が気に入っているのでしょう。そう思って眺めると、風よけの常緑樹もあるし、前がずっと見通せて止まり心地もよさそう。ときどきオオタカが飛び立ったすぐあとに(おどかして飛び立たせたのかも)ノスリがとまっていることもあります。

 タカが多いのはとてもうれしいけれど、これまでずっとタカのすみかだった浦安の入船地先の埋立地で公団住宅の工事が進んでいるのが原因ではないかと思うと、ちょっと悲しいなあ。おなじみのチュウヒに加えて、今年はノスリ、オオタカ、ハヤブサなどもよく見られます。

 3月に入ると、ヒーターがなくてもいいかな、という暖かい日がそろそろ始まります。南向きの芝生ではオオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ナズナ、セイヨウタンポポなどの花が咲きそろいました。さあ、いそがなくちゃ。ヒキガエルが冬眠からさめる日が近いのです。それまでに産卵場所の餌場の池を掘りなおさなければなりません。丸浜川の改修工事で水位が低いので、冬中ずっと干上がっていました。ぽかぽかした日ざしにあわてて池を掘り返し、水をいっぱいに入れて、ようやくひと安心。この日は夕方冷え込んできたので、まだヒキガエルは起きてきませんでした。

 今年の秋か冬、いよいよ保護区の湿地復元事業がはじまります。まず最初に、みなと新池から百合が浜や北池にかけての一帯に淡水の池が作られます。この2日ほど各半日をかけて、ススキやオギの群落の位置を調べました。「つっこめーっ!」かわいそうに、やぶこぎの先に立つのはこれまた佐藤くん。後についてあっちだ、こっちだと指示を出すのが私。カヤネズミの生息場所を根こそぎにしてしまわないため、カヤネズミが巣を作るススキやオギの位置を地図上に表わしたいというわけです。 

 何年か前、トヨタのコンクールに参加した年に本土のあちこちを歩いて植物の様子を見ましたが、池がふえて水の条件がかわったためか、その時よりずっと草の生長がよく、また大きなススキ群落やチガヤ群落ができているのに驚きました。やぶこぎはしんどかったけれど、戸外で体を使う仕事はなかなか楽しいものです。

 頼もしい相棒の佐藤くんは4月6日にイギリスに出発。RSPB(イギリス鳥類保護協会)のミンズメア保護区でボランティアとして働き、研修するために出かけます。入れ替わりにアメリカの国際鶴財団で同じくボランティアとして1年間働いてきた石川君が帰ってきます。

 保護区もよい方向に育てなくっちゃね。




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