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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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82 みなと新池ができました   1994年4月~8月

「みなと新池」ができました。


 1993年4月、行徳鳥獣保護区の一角に千葉県自然保護課によって家庭排水を水源とする「みなと新池」が作られました。この池は、ぜんたいが100m×65mほどで、60m×60mほどを1m弱掘り下げ、その土を片側に斜面として積み上げて、5段に分けて棚田状にし、その棚田を順々に排水が流れ下って池本体に入るという構造です。棚田からの水の流入部、池本体の4分の1ほどは40㎝ほどと浅くしてあります。

 1989年にトヨタ財団の研究コンクールの一環として行徳野鳥観察舎友の会が造成し、維持管理を続けている池(上池・下池)の経験を活かし、計画と維持管理を友の会が、揚水のためのポンプ・養魚用水車・パイプライン等を市川南ロータリークラブが設置というものです。行政・地元・環境保護団体の三者が協力して行われた画期的な事業です。

 揚水設備等の許認可に時間がかかって、池に水が入れられたのは9カ月後の1994年1月9日のことでした。その後、隔月の「すずがも通信」の発行ごとに「みなと新池 現在進行」が掲載されるようになりました。それ以前の「水車ニュース」と同様、淡水の池の造成によって見られた変化や水の浄化の様子、生きものの様子を中心に書かれています。

「みなと新池 現在進行」は、後には保護区の管理作業ぜんたいを書いた「保護区はいつも現在進行」の稿となり、野鳥病院を含めた鳥中心の「鳥の国から」との二本立てが毎号のすずがも通信に連載されました。



みなと新池 現在進行  すずがも通信86号 1994年6月


 湊排水機場の遊水池から本格的に生活排水を導入しはじめた「みなと新池」。いろいろとおもしろいことがありました。日を追ってご紹介します。


4月16・17日 アシの地下茎ぬき、島づくり。この時抜いたアシは、国分高校と市川学園の生物部のみなさんが江戸川放水路のトビハゼ護岸で土砂流出防止のために植えつけてくださいました。

4月20日 市川南ロータリークラブ 姫スイレンの試植

5月7日  同 蓮の植え付け(17株) 新浜の原風景再現の第一歩!

5月11日 セイタカシギの卵発見(1巣3卵) 棚田4枚目のなかで

5月17日現在 同 抱卵中(13日には4卵そろっていた)


 5枚の棚田全部にミジンコがうようよいます。3月に入れたヒキガエルの卵は、もう金茶色で目にきゅっと黒い線が入った小さなヒキガエルに育ちました。イトトンボやアカネのヤゴがいます。ポンプからの揚水量がどんどん少なくなったので調べたら、ポリ袋がいっぱいぎっちりとつまっていました。袋を取り除いたので、順調に水が入るようになりました。

 心配していた水質も、予定通りリン、窒素とも十分の1以下になっています。セイタカシギをはじめ、カルガモやオカヨシガモのヒナが育つといいですね。




みなと新池 現在進行  すずがも通信87号 1994年8月

  ―水草や水生動物が導入されました―


 注目されている水の浄化能力は、まずまずといったところ。導入するナマ下水中のリンや窒素は、浅い5枚の棚田を通した後は十分の一以下になっています。イネを育てるために特に水を浅くしてある3枚目は、酸素や光が供給されやすいので、水質浄化に大きく貢献していると考えられます。

5月末 棚田1枚目に田植え

6月初旬 棚田3枚目に田植え(市川南ロータリークラブの皆さん、本当にお疲れさまでした!)

6月中旬 いろいろな水生動植物を導入(茨城県浮島・静岡県沼津市浮島沼)

 協力者リスト 原島政己 海宝佐記子 佐藤達夫 角隆博 鈴木晃夫 竹内暉雄 鈴木博之

 鈴木裕子 鈴木譲 鈴木慧 柳沼薫 小池哲 加納光樹 別所宏紀

     動植物リストは省略


 棚田3枚目の田植えでは、田起こしの段階から市川南ロータリークラブの皆さんが泥まみれで大奮闘。同クラブによって5月に植えられたハスとともに、6月中旬に導入されたガマやマコモがなかなかいい雰囲気。水田雑草のコナギやアギナシも加わって、「行徳の原風景再現」に進行中。楽しくなってきました。

 6月中旬に導入したメダカは今のところ生きのびています。タニシやアマガエル、シュレーゲルアオガエルたちは定着できるでしょうか。土地っ子のクロベンケイガニやイトトンボ類、大きなウシガエルのおたまじゃくしが幅をきかせています。


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