78 鳥の国から 冬来たりなば春遠からじ 1994年2月
鳥の国から 冬来たりなば春遠からじ すずがも通信84号 1994年2月
みぞれまじりの雨がふる寒い寒い一日。ストーブのついた部屋にぬくぬくとおさまって、昼前からずっとワープロに向かっているなんて、ぜいたくなことこの上なしです。もっとぜいたくなのはわが家の犬猫どもで、ストーブのついた部屋にぬくぬくとおさまって、ずっとごろごろ寝ています。もっとも、足長黒猫のチョンマは誰かとけんかしたらしく、目の上が腫れてお岩さんみたいな顔ですし、灰色猫のケムリは下側の犬歯が一本ぐらぐらしていて、いのししみたいな顔。新入り猫のオルカは涙目になってるし、三毛猫のカスミはオルカにやきもちをやきっぱなしだし、ススムは太りすぎだし、まあ、みんなそこそこ幸せといったところかな。
1月9日に無事通水祝いをして、みなと新池もあと若干(相当?)の手直しをすれば順調に水を入れられる運びとなりました。みなさま、いろいろとありがとうございました。水の浄化用の5枚の棚田がどれだけうまく機能するかが今度の池のポイントです。例によって悲観的な見通しの主人と、楽観的な私とのケンカの種がまたふえてしまった。
今冬はほんとうに保護区のカモが少なく、鴨場を除けば一周して数えても千羽そこそこです。千羽くらいはいるのに、観察舎からは20羽も見られればましなほう。なぜか行徳高校の側と千鳥橋の側にぴったりはりつくように集まっているので、望遠鏡の視野には全然入らない! 保護区の側から眺めると、下水処理場に高いクレーンが何台か動いているのがよく見えます。湾岸道路側のホテルの増築現場でもクレーンがさかんに動いています。そのせいかなあ、それだけかなあ。ハマシギやダイゼンもぜんぜん見られません。
タカがよく見られることが唯一の救い。常連のチュウヒばかりか、オオタカやハヤブサもよく姿を見せます。獲物を襲うところも時には見られますが、カラスに追われておろおろしている時もあります。かわいそう。
そういえば、この冬はジョウビタキやツグミも少ないような気がします。オオジュリンはいつも通り多く、カシラダカやホオジロを見かける機会は少し多いかも。それでももう赤い木の実はなくなりました。そろそろセンダンの黄色い固い実にヒヨドリが集まりはじめています。
なんのかんのといっても、季節のめぐりの着実なこと。ロウバイが馥郁とした香りを漂わせ、そろそろ梅も咲き始めました。コガモがかわいい求愛ダンスをしています。秋からそのまま春になってしまった昨年の超暖冬に比べると、今年は冬らしい寒さがいくらか味わえるような気がしますが、丸浜川はまだ3回ほどしか凍っていません。観察路の草にもまだ緑色が残っています。天井に黒いしみのようにはりついているオニグモが、だんだんやつれてきました。冬を乗り切るまであと2ヶ月。生きものたち、がんばれ。




