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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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76 鳥の国から  冷夏がすぎて  1993年10月

鳥の国から  冷夏がすぎて  すずがも通信82号 1993年10月


リーリーリー、リーリーリーリー

リリッ、リリリリッ

 草やぶでコオロギが鳴いています。秋らしい秋です。ススキの穂がみごとに色づいてきました。思いきり息を吸いこむと、少しひんやりした風の中に秋のかおりがまじっています。刈った草、しめった土、生長しきったアシやセイタカアワダチソウの葉のにおい、もっとこうばしい桜の落ち葉のにおい。モクセイの花のかおりはあと10日ほどたってから。落ち葉たきの匂いはもっと後。

 夏らしい暑さがほとんどないまま夏がすぎてしまいました。冬に備える干し草のストックがまるでできておらず、頭がいたい毎日。ただ秋晴れに期待するのみ!

 冷夏にもかかわらず、冬鳥たちは着々と到着しています。9月3日:ハシビロガモ3羽(シマアジ1羽も一緒にいた)、5日:コガモ1羽、12日:オナガガモ10羽。夏鳥の渡去のほうはどうでしょう。9月15日にはコアジサシがまだ見られており、わりあい遅い記録です。9月3日にはツバメのヒナが堤防に5羽並んで止まり、親鳥がくるたびに声をそろえてにぎやかに餌をねだっているのを見ました。巣立ってからほんの数日といった様子です。こんなちびさんたちが海を越えて渡って行けるのかと心配になってしまいました。

 昨年は干ばつのせいかほとんど見られなかったナンバンギセルは、今年は順調に開花しているとのこと。雨のおかげで「みなと新池」にも満々と水がたまっています。見た目には澄んでとてもきれいですし、夕方などサギやウミネコがたくさん集まって水浴びをしているようです。ただ、あいにくなことに「みなと新池」の水はPH3.5というまるで火口湖のような酸性水で、昆虫や魚が住めるかどうか。許可が下りさえすれば、湊排水機場から「栄養たっぷり」の汚水を入れることができるのですが、すぐに水が濁るだろうな、とさみしい気もちょっぴり。

 野鳥病院で入院中のカワウの若鳥が、あとから入ったもう一羽にしきりに求愛しています。ウーウーウーとがらがら声で優しくささやいては、枝や大きな羽など、巣に使うような材料を拾ってきて渡そうとします。新入りさんをつかまえて、無理やりアジを呑み込ませていたら、後ろから若鳥につつかれました。自分もアジが欲しいのかと差し出してみても知らん顔。「僕の彼女をいじめるな!」というつもりだったのかしら。




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