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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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74 鳥の国から  三番瀬の干潟  1993年6月

鳥の国から  三番瀬の干潟  すずがも通信80号 1993年6月


 見渡すかぎり沖合まで、干潟がひろがっています。そこここには潮干狩りを楽しむ人々の姿。そして人影がとだえたはるかな沖の洲にぎっしりとかたまったシギの群れ。近づいた人に驚いたのか、端のほうからめくれ上がるように群れが飛び立ちました。数百羽、いや千羽、2千羽‥‥‥3千羽くらいはいたに違いありません。大半はハマシギのようですが、大型のものもまじっています。黒々とした群れは大きく旋回して一部はもとの洲に戻り、半数以上は分散して何ヶ所かに下りました。

 みごとでした。ほんとうにひさしぶりに広い干潟や大群をなして飛ぶシギを見たような気がします。5月6日、三番瀬の干潟調査の日のことでした。鳥のカウントはあまりにも距離が遠く、いることがわかっているチュウシャクシギやキョウジョシギもアオサや貝の堆積に隠れて、十分には数えられませんでした。また、オバシギやキアシシギといった中型のシギもあまり見られませんでした。それでも、「東京湾にもまだ干潟があったんだ、シギの群れがいたんだ!」と感動しました。

 保護区の干潟にも、きれいな夏羽のダイゼンやメダイチドリ、キョウジョシギなどがぱらぱらと来てくれています。何千キロもの旅をしてきて、これからさらにまた何千キロかの距離を渡るシギ・チドリたち。日本で十分に休んだり餌をとったりできるのでしょうか。普通に見られていたいくつかの種類は最近めっきり数が減っているとか。谷津干潟がラムサール条約の指定湿地になるのはうれしい話ですが、世界をかける渡り鳥たちの日本での生活の最低限の保証をするのは日本人の義務と思います。

 4月末まで保護区内にがんばっていたハシブトガラスとハシボソガラス、合計20~30羽近い混群が、4月28日ごろを境にぱっと姿を消しました。セイタカシギの繁殖に備えての上池の草刈りと島づくりは17・18日に終わっていたのですが、カラスがいる間は上池に一羽のセイタカシギも見られず、今年の繁殖はだめではないかと思いました。

 現金なもの、と言うか、賢明なもので、4月29日から上池に1つがいが陣取り、5月11日になって、2巣(2卵と1卵)が確認されました。5月13日にはさらに1組がふえました。今年もかわいいヒナがかえってくれるとよいのですが。

 目下、あたらしくできた池へひく揚水パイプ、電線、水車、etcへの許可申請で、会長さんは毎週のように役所まわり。なんのかんのといっても、このすずがも通信がお手元に届くころには、まだ水入れが始まっていないのではないかしら。それでも、前回のように書類作りから許可まで丸8ヶ月もかかるわけではない‥‥‥あとひと息。


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