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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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73 鳥の国から  ツリスガラがいっぱい  1993年4月

鳥の国から  ツリスガラがいっぱい  すずがも通信79号 1993年4月


 まあ、なんでしょう、今日の雪! 餌場の池にはヒキガエルがたくさん卵を生んだというのに。この冬(?)初めて地面がうっすら白くなりました。犬どもは例によってストーブの前で丸くなり、外に出たいという気ぶりすらみせません。おしっこもがまんしています。私がストーブをそばにひきつけてワープロ机に向かっているので、猫も犬もストーブのある部屋にかたまっています。コタツで書きものをしている時はコタツに集まるのに、なんとなく人のそばにいたいみたい。ちょっといい気分。

 3月8日の月曜、冬中設置してあったバンディングの網場の撤収に来ていたバンダーの原島氏と杉野目氏、なかなか戻ってきません。朝のうちはぽかぽかした春めいた陽気だったのに、寒冷前線の通過らしく、一天にわかにかきくもり、凍るような冷たい北風が吹きはじめました。月曜日課の保護区巡視に出かけると、ちょうど2人が最後の網をたたんでいるところ。「今、北池にツリスガラがいっぱいいてさえずってるよ。20羽じゃきかなかった。行けばきっと見られるよ。」

 ツリスガラ。ちっちゃくて愛くるしい小鳥です。以前は九州で冬に見られるだけだったものが、今では大阪あたりでも冬鳥として定着するようになり、数年前に浦安の埋立地で初認されて以来、バンディングでの記録を中心に、この保護区でもほぼ毎年越冬するものが出ているようです。アシ原に隠れて生活するため、なかなか人目につきません。北池のアシ原の中では冬に何度か捕獲されたり、観察例もあります。それなのに、私はまだ野外で見たことがない!

 北池の端から中央近くまで、延々とつけられている網場をたどってみましたが、やはりツリスガラを目にすることはできませんでした。それでも、遠くでチュウイチュウイチュウイという甘い声のさえずりを聞きました。メジロとかシマアオジに音の質が似たきれいな声です。ツリスガラの声だったのかどうかはわからないのですが、これまで聞いたことがない声でした。この日、捕獲されて標識されたツリスガラは8羽!野鳥観察舎から放鳥されたのですから、案外欠真間三角あたりに落ちついたのもいるかもしれませんね。目と耳にみがきをかけなくっちゃ。

 カンムリカイツブリは夏羽に衣がえ。造花のようにきれいです。行徳高校の前あたりの水面に、スズガモを中心としたカモが数百羽、それから千鳥町交差点の前あたりの岸にはヒドリガモを中心としたカモが数百羽。それなのに、観察舎から見える鈴が浦に出ているのはコガモを中心に数十羽がやっと。潮がひくと干潟は割合広く出るのに、鳥がいない干潟ってこんなにもわびしいものなんだ‥‥‥

 保護区に入る鳥が少なくて、ただ一つのよいこと。この冬の入院鳥は去年の3分の2以下で、たいへん仕事が楽でした。3月に入って暖かくなったので、リハビリ室のヒヨドリ3、オナガ1、キジバト4、ゴイサギ1、大部屋の鳩16、治療室のオオコノハズク1を放鳥しました。26羽も鳥を放したから、いくらか禽舎が空いたかな、と外からのぞいてみたら、見た感じは全然減ってない!目下入院鳥は100羽とちょっと。このうち何羽放してやれるかしら。




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