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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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72 鳥の国から カモがいなくて・千葉環境文化賞・震災後1週間の釧路 1993年2月

鳥の国から  カモがいなくて   すずがも通信78号 1993年2月


 観察舎とわが家のまわりにいつもいる雌のジョウビタキ。よく物干し竿にとまっては、部屋の中をのぞきこみます。窓にうつった自分の姿を見ては、パタパタとガラスに攻撃をしかけているのです。室内から見ているととても面白いみものです。窓に体当たりをしていない時は、傷病鳥舎の外の植木やくいにとまって、きれいなオレンジ色の尾羽を見せながら、ぱっと飛び立って立木に移ったり、時には地面におりたり。雄にくらべるとずっと地味な姿ですが、なかなかかわいい。

 まだ1月なのに、トウネズミモチの黒い実、トベラの赤い実はあらかた食べ尽くされてしまいました。芝生の2本のセンダンの実もなくなりました。木の実のつき方がよくない割に小鳥が多いのかなあ。そろそろ餌の補給をしてやろうと、半分に切ったミカンを枝にさしておいたら、1日で落とされました。ハシブトガラスのしわざでしょう。


 いやあ、この冬くらいカモが保護区に入らない年ははじめて。毎年続けて同じことを言っているような気もしますが、ほんとうにいない!!数百羽、すら見られない。数十‥‥‥数羽‥‥‥これって、冬のカモのことなんだろうか。

 ここまで少ないともう開き直りの心境。よく探せばいろんな種類はいるんだ。チュウヒだって飛ぶんだ。オオジュリンだって鳴くんだ。アオサギは寝てるんだ。しかし、しかし、カモだけじゃなくて、ハマシギやダイゼンも入らない。どうなっているんでしょう。1月17日、シギ・チドリの移動調査(個体数調査)として11時から午後2時までの3時間、5分ごとにシギ・チドリの数と行動を記録したのですが、観察舎から観察した不運な海宝さん、出てきたのはたった1羽(か2羽)のイソシギだけ。船橋海浜公園で2000羽のハマシギを数えさせられた箕輪さんと、どっちがつらかったでしょうか。


追記

 千葉日報社と千葉銀行が昨年創設した「ちば環境文化賞」の第1回受賞者に思いもかけず選ばれ、賞状と楯と賞金50万円をいただきました。ありがとうございました。賞金で実態顕微鏡と顕微鏡の画面をテレビに映写する装置を購入し、行徳野鳥観察舎図書室に置く予定です。ご利用ください。


 阿寒町に設置される国際タンチョウ保護センターの設置準備委員会に出席のため、地震後1週間の釧路に行きました。建物の倒壊はあまりなかったそうですが、揺れ方はものすごかったとのこと。

「部屋の四方から食器が雨あられ、その後へ本棚がどさーっ」「タクシーを運転して橋にさしかかったとこで、いやいやあ、えらいおもしろい目にあったよ。全然運転なんかできないの。このまんまじゃ橋が落ちるかなあ、川は浅いよなあ、でも水が冷たいよなあ、なんてね」

主催者である阿寒町の公民館の館長さんも、「成人式が終わって4時間後、公民館の天井がきれいに落ちました。支えている金具がのびきってしまってね。成人式の最中でなくてよかったですよ。」

冬のさなかで地面が凍結していたことも、かえって幸いしたとか。報道されている釧路ばかりでなく、隣の阿寒町や白糠の被害も相当なものだそうです。でもみなさん、からっと明るくて、被害がひどかったご近所の方や、近隣の市町村の心配をされていました。


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