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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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71 鳥の国から  晩秋・PNファンド・市川南ロータリークラブ  1992年12月

鳥の国から  暖かな晩秋   すずがも通信77号 1992年12月


 観察路のかたわらに一本だけ立っているナンキンハゼの木。観察台から望遠鏡でよく見える位置です。みごとだった深紅の葉がそろそろ散って目立たなくなりました。この木はタカの止まり場にちょうどよいらしく、いつ歩いても木の下には獲物の羽が散っていたり、白い糞の跡があったり、時にはペリットや獲物の頭骨などが落ちています。

 ナンキンハゼの葉を散らしたのは木枯らしならぬ南風。この何日か、晩秋とは思えないほど暖かい日が続いています。丸浜川の岸はユスリカの蚊柱がいっぱい。家の中には蚊がいくつも。コウモリや赤トンボの姿もふつう。今年もあと50日を切ったというのに。

 暖かいのをいいことに、念願の干潟の簡易ベントス調査を決行しました。自然保護協会のPNファンドの試験地(註)は、バイト生の石川一樹さんが桟橋づくりから10トン近くの砂運びまで、ほとんど独力で仕上げてくれましたが、砂運びの初日、砂を運んだリヤカーが上り坂でストップ。私と2人、力いっぱい押してもひいてもびくともしません。そこへふらりとあらわれた和久本氏。前回、干潟の標識つけや足場板運びを手伝って、さんざんひどい目にあったのに、こりずに助っ人に来てくれたのです。3人がかりでリヤカーがスムーズに走りはじめた時は、和久本氏から後光がさして見えた!

 さて、50㎝四方の枠内の動物の穴数えと、200㏄ほど入るプラスチックのパックを使って泥をとる簡易調査を実行中。ウラギク湿地の干潟には5㎜そこそこのイトミミズ(と思う)や1㎜に満たない小さい巻き貝もいます。こういう小さな連中は、きっと小さな魚の餌になるのでしょう。今晩はこれからソーティング(動物をよりわける作業)。肩がこりそう。更に粒度分析といって泥をよく乾燥させ、ふるいわけて粒の大きさを調べます。これは有志様大歓迎。助っ人さま大募集。

 ボツリヌス菌による中毒のようなカモ等の急死が相次いだ9・10月。毎週のように立つ気力もないコガモが保護区内や丸浜川で見つかっていましたが、どうやら峠を越えたもよう。カモはまだ少なめですが、きれいなトモエガモが見られたリして、さいさきはまあまあ。



助成をいただいて すずがも通信

(財)日本自然保護協会の「P・Nファンド」から助成金をいただきました!!!


 「干潟の保護に関する調査や保全のための活動」を主な対象として公募されていた(財)日本自然保護協会の「P・Nファンド」に、「保護区の干潟の底質改善実験」をテーマとして応募していましたが、このほど審査に通り、160万円の助成金をいただくことができました。

 行徳鳥獣保護区の干潟は、造成時に周囲の埋立地から粒子の細かいシルト質の泥水を大量に流し込まれたため、20年後の今も底生動物が少ない状態が続いています。表面に砂を入れたらどうか、もっと貝やゴカイがふえてシギやチドリが多くなるのではないか、と提言されていましたが、実行に移す機会がありませんでした。

 今回の実験は、行徳野鳥観察舎からよく見える「うらぎく湿地」の奥に、質の違う2通りの砂を各3㎥ずつ投入し、干潟の底質や底生動物の状態変化をみるというものです。

 粒の荒い川砂、それに山砂を使いました。山砂は干潟の改良にはよくないと言われているのですが、単価がずっと安いので、ほんとうによくないかどうかを確かめるためにあえて入れました。

 これからそれぞれの試験地で、干潟をよく掘り返したところ、放置したところを設定し、春ごろに底生動物調査をやる予定です。

 試験地設定にあたって、足場づくりから砂運びまでほとんど独力で黙々と作業を続けて下さったアルバイト生の石川一樹さん、ありがとうございました。



市川南ロータリークラブからのご支援・ご協力をいただけることになりました!


 市川南ロータリークラブ(設立1976年7月、今年度会長青野博氏、会員数53名)の会員の方々が10月7日に行徳野鳥観察舎や保護区を見学されました。これに先立って、会長や役員の方々が新池や保護区を視察され、また8月の例会に蓮尾が招かれて説明をしています。

 会員には古くから行徳にお住まいの方も多く、「保護区にかつての行徳の面影をわずかでも取り戻したい。水鳥や自然が豊かな環境を作って行きたい」という友の会の願いに共鳴し、今後協力や支援をしてくださることになりました。 

 10月15日には東・鈴木・清水・蓮尾が役員の方々の会合に招かれて話し合いをしました。野鳥保護のための募金箱を置くことなど、積極的な動きを始められていますが、当面の目標は目下計画中の「新池の拡大」で、蓮田のような環境を作ること。水源確保、資金確保など、たいへん心強い味方です。私たちの活動もいっそうひろがりを持つことができるでしょう。


 市川南ロータリークラブからのご支援・ご協力として、去る11月3日の市民祭に、ロータリークラブが出店されている横で、友の会も宣伝を兼ねて展示や出品をしました。

 当日は晴天に恵まれた中、多くの方で賑わい、友の会の宣伝が多いにできました。また、出品した品物も予想以上に売れ、57,870円の売り上げをあげました。

 売り子等ご協力して下さった友の会のみなさんお疲れさま。市川南ロータリークラブのみなさん、どうもありがとうございました。



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